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不動産投資のお話 -アービトラージ(arbitrage)

タイタンキャピタルの金澤幸雄です。

主に株や証券取引の場で使われる「アービトラージ(arbitrage)」という言葉は、金融・証券用語のひとつで、「裁定取引」「理論的価格差」などの意味があり、「サヤ取り」「スプレッド取引」とも言います。
裁定取引とは、まず、同じ価値を持つ商品に生まれる一時的な価格差(歪み)を利用して、高値になる方を売り、安値になる方を買います。その後、両者の価格差が縮まったときに、それぞれの反対売買を行うことで利ざやを稼ぐという取引の手法です。
保険会社や銀行、政府系金融機関などの、大量の資金を使って株式や債券で運用を行う大口投資家(=機関投資家)などが、なるべくリスクを負わずに利益を出したいときに利用することの多い手法です。

基本的には株や証券などの金融資産における取引に対して使われることの多いアービトラージですが、不動産投資の世界でもこの手法を活用することができます。

不動産アービトラージと言っても、アービトラージは不動産投資のさまざまなシチュエーションで取り入れられるので一概には言えないのですが、ここでは初めて不動産投資に興味を持った人にもイメージしやすい、マンション投資の場合で考えてみましょう。

当然ながら、新築マンションの価格相場は中古マンションよりも高額の場合が一般的です。さらに、実需(購入者本人が自宅として使用するための不動産)マンションの相場は、仮需(第三者に貸し出して賃貸収入を得たり、売却などによって収益を得たりするための、いわゆる投資向けの不動産)マンション市場の相場よりも高額です。
また、仮需マンションの購入の決め手はほぼ「利回り」だけです。目的が投資であり、購入者本人が実際に住むわけではないため、客観的な利回り以外の主観的な要素は重要視されにくい傾向があります。
ところが、実需マンションとなると話は変わってきます。購入者本人の住まいに対する好み、希望など、主観的な感情が優先されます。そのため、購入者の理想に近いマンションに対しては、少しくらい相場より高くても良いか・・・などと、財布の紐がゆるくなりがちになります。
以上のことをふまえると、他の条件が同一の場合、価格は高い順に

新築実需マンション>新築仮需マンション≧中古実需マンション>中古仮需マンション

・・・となる場合がほとんどです。

この、相場的に一番価値が低いとされる中古仮需マンションが新築実需マンションのような価格で売れればいいわけです
あくまでも一例ですが、中古マンションを購入し、賃貸期間中は入居者を集めて家賃収入を得ます。賃貸人が退去したら空室を修繕、リフォームし、新築同様にする事によって物件の価値を高めます。
要は、その中古仮需マンションを新築実需マンションに見せることで、価値を高めるということです。
そのマンションの特性を理解したうえで、リフォームや賃貸方法の変更など、適切な戦略を行っていきましょう

金澤幸雄

Photo by Constantin Popp on Unsplash

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