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パワーメタル万頭開発の経緯

こんにちは。板屋4代目です。

板屋の商品ラインナップを見て「なんだこれ?」と思われる商品があるのではないでしょうか。タイトルにある「パワーメタル万頭」です。今回はその開発経緯や裏話を記事にします。

そもそもパワーメタルとは何かという話ですが、パワーメタルとは分かりやすく明るいメロディと疾走感が特徴的なヘヴィメタルの中のジャンルの一つです。そのパワーメタルをテーマにした商品がパワーメタル万頭でして、販売開始から1年半ほど経過しました。

作ろうと思った理由は単純に”ヘヴィメタルが好きだから”です。何かを形にして世に出せる仕事をしているということで、自分が大好きでアイデンティティにもなっているヘヴィメタルをテーマにした和菓子をどうしても作ってみたいという思いからです。

ヘヴィメタルはあまり一般的な音楽ではなく、そのためメタルファンは周りにメタル好きがいない場合が多いため、僕もそうですがメタルの何かがあるとつい反応してしまいがちです。そういった状況にあって、もっとメタルが世の中にあってもいいじゃないか、メタルの和菓子があってもいいじゃないか、と考えて商品化に踏み切りました。また後述しますが、商品化できて本当に良かったと思っています。

さて、ここから少し脱線して現実的な話をします。

おそらく全国各地には僕のようにメタルが好きな和菓子屋さんや洋菓子屋さんはそれなりにあると思います。でもこれまでメタルをテーマにした商品というのはほとんど出てこなかったか、もしかしたらあったかもしれませんが日の目をみることはなかったと思います。なぜでしょうか?

理由は簡単です。

収支として絶対に赤字になるから、そしてそれが分かり切っているから、です。

つまり、あまり売れないだろうから経費も資源もかけられない、だから商品化できない、しない、ということです。

新商品を世に出すまでには結構な時間と労力、そして何よりもお金がかかります。新商品を出すのに考えなければいけないのは大きく分けて商品の中身と外身の二つです。

一つ目の中身はどんな和菓子にするか。新作を考えるとすると当然まずはどんなものにするか構想を練ります。それが固まったら試作をして、上手くいかない部分を洗い出して、また試作して洗い出してを繰り返します。その中で商品化できる製造体制も併せて考えたりする必要が出てくるわけですが、それを日々の業務の合間を縫ってやっていくのでなかなかスムーズに進みません。

試作も30分や1時間で終わればいいんでしょうが、材料の準備から計量から色々やっているとそのくらいの時間ではとても終わらないので、結構しっかりと時間をとらないとまぁ無理です。試作はお金を生むことがほぼない(試作品を店で安く売れれば多少マシですが)ので、材料費から人件費から全て経費になるということですね。

そして二つ目の外身です。実はこれが一番ネックです。我々が目にする"商品"はだいたいパッケージが存在します。デザインが印刷されている袋や包装紙、箱などですね。これらの印刷物ですが、100枚や1000枚で作れれば特にネックでもなんでもないんですが、大概の印刷物はツラいことに万単位で仕上がってきます。

印刷業界の仕組みとしてこれはもうどうしようもない話なのでどこも悪くないですし仕方ないことではあるのですが、例えばお菓子を個包装するオリジナルの袋を作る場合、だいたい中くらいの和菓子のサイズで2万枚くらいできます。1枚15円程度だとするとそれだけですでに30万円になり、そこにデザイン費や印刷に必要な「版」と呼ばれる道具代がかかってくるので、40~50万円くらいのお金がかかってきます。

当然その印刷物は作ってすぐに出ていくことはなく、商品が売れればだんだん減っていく、売れなければ在庫として残り続けるということになるので、経費をかけたのに売れずに印刷物だけが残るというというのはおそらく和菓子や洋菓子業界(それ以外でもあるでしょうが)でそれなりにある話だと思います。

商品を世に出すにはこれらの経費的なことを考えなければいけないわけで、余程お金に余裕がない限りはヘヴィメタル好きにしか売れないような商品にお金をかけるなんて正直バカげた話だと思います。先述した通りもしかしたらこれまでに和菓子屋さんや洋菓子屋さんでヘヴィメタルの商品を出そうとした方はいらっしゃったかもしれませんが、冷静に考えてみると「無理」という結論に達するのが普通でしょう。

といった状況にあるわけですが、なんとかヘヴィメタルを商品化できる道を探していたメタル好きなわたくし4代目。一昨年の6月に「いけるかも?」と思ったわけでありますが、長くなったのでその話はまた次回にします。

お楽しみ(?)に!


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