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なりわいカンパニー株式会社、設立します。

Right Time, Right Placeという言葉がある(らしい)。「正しい時に、正しい場所にいる」

いわゆる「コロナ禍」と言われる状況で、何が自分のやるべきことなのだろう? と、私はだいぶ迷っていた(らしい)。ふだんゲバラのTシャツ着て社会変革を語り、仲間たちと実践し、ソーシャル・イノベーターとか言ってもらって(NewsPicksインタビュー)。で、いま何ができんねん?

この春、Zoomミーティングの画面の向こう側には、コロナ前と変わらない仲間たちの姿がありました。私たちはずっとリモートOKだし、こども同伴出勤もOKで、ミーティングのときに「こどもがお母さんに登ってくる」「授乳で離脱」は、当たり前の光景。……あっ、そういうことか!!

たぶんいまが、"Right Time, Right Place"。「育児中でもフルリモートでも、尊厳をもって働ける場」、本日、法人化します。 


▶会社の目的(ボツになったやつ)

「当法人は、個人がそれぞれの仕事を通じてそれぞれの幸福を追求し、お互いの幸福を尊重する、新しいコミュニティをつくることを目的とする。」

なんどもなんども書き直して、現段階でとっぷり納得いく「目的」ができた。じゃ、これで! と鼻息荒く司法書士さんに伝えたら、「株式会社の定款には目的は要らないんです」とのお返事。あらヤダ。というわけで、定款には載らないけど、そんなつもりで立ち上げる法人です。

2013年から、私は一般社団法人リベルタ学舎という団体を運営してきました。その定款の目的は(※一般社団法人は目的を書く)「当法人は、個人と法人の『生きる知恵と力を高める』ことを目的とする」。

とはいえ、経営なんてしたことなかったもので、七転び八起きしながらの、8年目に入るところ。いまはなんとか「起き」ていた……はずだったのだけど、コロナウィルスという突風が、びゅん。


▼「やりたいことを仕事にできてきた!」、はずだったのに。

すこし話を戻すと、リベルタ学舎で、「これからの”自律分散”や”人生100年”や”AI”の時代、つまり『個人の時代』を自分はどう働きながら生きるか」を学んできた講座参加者さんと、「じゃ、実践までやってみようぜ!」と一緒に仕事づくりをはじめたのが、4年前。

育児中の女性が圧倒的に多いので、最初から在宅ワーク中心、全体ミーティングは週2~3回の各2時間(リモートOK)、出勤時はこども同伴大歓迎(おむつ替えと昼寝がしやすいように畳の広間)、そして全員が個人事業主で複業(※パートナーもPTAも1事業とみなす)。そんなチームで、講座をつくり、企業や行政に企画提案もしてきました。

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(↑こんなかんじ。その後、のりちゃんは3人めも誕生!)

試行錯誤しながら、売上も順調伸ばし、昨年度末にかかわっていた全員が「リベルタで働けて楽しい! 地域の企業さんや自治体さんと一緒に、やりたいことを仕事にできてきた! もっとやろう!」と年間計画を立て元気に走りだそうとしたところで、コロナさん。主力事業だったセミナーやワークショップは軒並み中止。企業や行政の予定も何本も吹っ飛びました。


▼「ワーク」と「ライフ」は、ごちゃまぜだ。

コロナ禍で、「くらし」も大きく変わった。3月、学校がなくなり、そしてトレペもなくなった(笑) メンバーが地元で確保したトレペを福利厚生で支給したり、みんなで助け合いながら乗り越える。定例ミーティング中のZoomの先には、「ワーク」中のお母さんたちによじ登ってくる「ライフ」(こども)たちの姿。いや、これ「バランス」とか無理やんね? 「インテグレーション」(融合、ごちゃまぜ)しかないやん。

ある日のミーティング後の会話。「なんか、『テレワーク中はこどもの世話厳禁』って会社も多いらしいね」「え、保育園行けないのに?」「『わ、うつ伏せ寝!』とか『うんこ!』とかどうするの?」「『母親の役割』、ってことみたい」「何それ、共働きは?」「うちシングルだけど?」「まあいいけどさー、数分のおむつ替えくらいで生産性が下がるような仕事してないよね」「みんなどうしてるんだろうね」「よかった、こういう働き方できて」「私も。やっぱりこどもも不安定だし、いままでの職場だったら無理だったかも……」

会社ってなんだろう、組織ってなんだろう。ずっとそこへの問いがあり、プライベートと仕事とを融合できるかたちにこだわってきたのですが、あ、これでよかったのだ、と思った瞬間でした。


▼チームじゃないと、やっていけない。

「組織ってなんだろう?」には、もうひとつの、実感があります。かつて私は十年間、フリーライターをしていました(しかも海外で)。ひとりですべてをやらないといけなかった。質の良い仕事を期限内に納品することはもちろん、経理も、営業も、企画提案書作成も、取材先やフォトグラファーとの調整も、通訳も運転もロケハンも撮影も、そして、赤ちゃんの世話も。なおかつ、倒れられない。ひとりだから

帰国して起業して、4年前、シングルマザーになりました。そしてすぐ、こどもが熱を出します(※こどもは熱を出す生き物)。それまでずっと、自分ひとりで講座を企画・集客・当日ファシリテーションまでしてきたのだけど、当時のメンバーが「お母さんの代わりはいないよ! お嬢さんの傍にいてあげて」と休ませてくれました(あだっちゃん、あきちゃん、しのちゃん、ありがとう!)。涙が出るほど嬉しかった……というか、えんえん泣いた。

チームじゃないと、私はやっていけない。ものすごく感じたので、それからは自分のために(!)、「こどもの急病の時は誰でも心置きなく休める、そのときすかさず他のメンバーがフォローに入り、全体として質の高いサービスを維持できる」チームづくりに取り組んできました。自分のためだから、もちろん本気。TEDxKobeで「弱みを軸にした強固なチーム作り」をお話させていただいたのは、その経験から得たヒントです。あ、弱いのは、私自身ね。

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(↑こういうやつ。日本語字幕版が、私はすき)


▼組織は、個人のためにある。

きっと、会社や組織や家族とかの「チーム」って、それにかかわる個人が、よりいきいきと動けるためにある。
弱み(育児や介護も、今の社会では実質「弱み」)をフォローしあい、自分の適材適所を見出し、めいっぱい気持ちよくパフォーマンスを発揮して、自分ひとりでやるよりもずっと多くのひとを幸せにする。そのために組織はある。つまり、「個人のための組織」であって、けっして逆ではない。

今回のフルリモート体制で、あらためて思いました。ミーティングのときにはこどもたち(ライフ)がよじ登り、これもオンラインでの飲み会ではパートナー(ライフ)がニコニコ会話に入る。ワークをふくめたそれぞれのライフまるごとを支え合い、希望をもって毎日を生きることができる。そんなチーム(組織)を、もっとちゃんとしっかり形にしなくちゃいけない。こういう生き方や働き方をやってみたいひとも、他にもいるかもしれないし。

そこで、リベルタ学舎の1事業として行ってきた、「メンバーが、プロジェクト毎にチームをつくり、仕事をつくる」働く場を、内容をよりしっかりと拡充できるように、別法人化することにしました。もっと多くのひとと一緒に、もっと幸せになるために


▼大好きなベビースターラーメン「おやつカンパニー」へのオマージュ(も)。

それが、定款に書かれることなくボツネタになった、「当法人の目的」。個人がそれぞれの仕事を通じてそれぞれの幸福を追求し、お互いの幸福を尊重する、新しいコミュニティ。名前は、「なりわいカンパニー株式会社」。

●「カンパニー」の語源は、ひとつのパン「pany」を、分かち合う「com-」こと。いわば同じ釜の飯を食う「仲間」。
●「なりわい」は、誰かを幸せにし、価値を生むこと。


仲間たちとなりわいをつくり、その中で自分自身の「なりわい」を見出していく。作りたいのは、そういう場所。つか、もともと「カンパニー」って、そういう場所だよね? 

ともかく、頭の中にこどもの頃から大好きな「ベビースターラーメン」を思い描きながら名付けた、「なりわいカンパニー株式会社」。ライフでワークなメンバーたちと、それぞれの「やりたい!」を軸にチームを組成し、企業や行政へ、「あなたの理念を実現させて、もっと多くの人が幸せになるように、みんなでやっていきませんか?」という企画提案、運営、広報をやっていきます。


▼「あなたは何をしたいのか?」と問われ続ける。

実際にいまいるメンバーのうち、業務全般にかかわる、いわゆるマネジメントもするメンバーだけ、ちょっとご紹介。(ほかにもいろんな方が、たくさんいらっしゃいます)

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●企画・ファシリテーションチーム(※写真は2019年11月)
・マネジメント全般を担当する屋台骨のしのぶさん(元食品メーカー、管理栄養士、PTA副会長)
・情熱的な企画と神プレゼンのなおちゃん(元リクルート、起業準備中、シングルマザー)
・冷静で魅惑の営業と本気のSDGsともちゃん(リクルート、病院経営補助)
・ソーシャルベリーグッド探求型コミュニティコーディネーターのかなみん(元貿易事務、事実婚)
・男女共同参画凄腕ほっこりファシリテーターかもネギちゃん(元パソナ、キャリアコンサルタント)
・産学官民女性支援プロセス爆速全力構築ちかちゃん(元農水省、元コンサルファーム)

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●編集チーム
・金髪“協働”有田編集長
・ライティングデザインシステム剛柔なんでも神ちあっきー(元SE)
・踊念仏でみんなが躍るシナリオを描く仏マニアぱんだちゃん(劇場企画運営)
・魂パンクロッカー表現の求道者のんきー(元ミュージシャン)
・三輪山がつかわした日本酒と地域おこしの妖精福部長(秋冬は灘の酒蔵で酒造り)
・名古屋から世界へ陽気な天然パーマカルチャーあずみん(元リクルート)
・西区農業日本酒編集呑兵衛ちあきちゃん(デザイナー)
・まさにここでもパラレルコミュニティコーディネーターかなみん
・編集長と同じ金髪新人編集者ゆいちゃん

なんだなんだ、あらためて個性豊かだな……というか、個性しかない。いや、みんな、いろいろあるのさ。そのあいだを、「自分らしく生きることを、1ミリも諦めないで、どんどんやろーぜー!」と、ドタバタ走り回っている私。うっかり参加した誰もが、自分もみんなももっと幸せになっていくための仕事づくりを、真剣に楽しんでいます。楽ではないけどね。いちいち「あなたは何をしたいのか?」と問われ続けるものね。


▼自律分散型・合体ロボ、それは憲法13条的な。

そもそも本来、「権利」というのは、人間(自然人)だけがもっているもの。だけど、「私たち、チームとして、ちゃんと責任もって社会に参加してきっと誰かを幸せにするので、ひとりの人間と同じように、契約や仕事をできるようにしてね」と約束して、法律上、権利主体となることを認められたのが、「法人」。いわば、拡張型人間。なんつーか、キラメイジャーの合体ロボ、みたいなもんス。

「法人」という組織になっても、主役は個人。合体ロボになったら個人の心を失くさないといけないとか自分を殺さないといけないとかではなくて、あくまで各個人の輝きを主体として組織内外と協働する。いわば「自律分散型・合体ロボ」的な、働き方・生き方を実践していく、そんなコミュニティをつくります。だって、個人の尊厳は尊重され、自由も幸福も追求できるんだぜ、ただしみんなと仲良くな(公共の福祉)……って憲法13条に書いてあるしね。

なので、なりわいカンパニー株式会社では、「個と公共」との関係を構築する事業、つまり「世の中のいろんなひとが、いろんなことに自分事でかかわり、相手と自分がどうやったら一緒に幸せになれるのだろうか? と提案しつづける、企画・編集・ファシリテーション」を行います。


▼私たちの問い

・ひとは(自分は)、どういう仕事をすると、自分の幸せを追求できるのか?
・ひとは(自分は)、どういうふうに他人とかかわると、相手の幸せも尊重できるのか?


私たちはこんなこと問いを立て続けながら、自律と相互扶助のなかで、社会に価値を提供していきます。コロナの中でも、その後も。


一般社団法人リベルタ学舎
“個人と法人の『生きる知恵と力を高める』学びの場”
なりわいカンパニー株式会社
“個人がそれぞれの仕事を通じてそれぞれの幸福を追求し、お互いの幸福を尊重する、新しいコミュニティをつくる実践の場”

どちらも、どぞ、よろしくお願いしますね!

現在、リベルタ学舎は6月の超リニューアルに向けて最終調整中。そしてなりわいカンパニーは、より多くのひとが安心して参加できるよう、これまでの仕組みを、「ゆっくり急げ」でブラッシュアップ中。

もしも「うー、待ちきれないぜ! 仕組みつくるところから一緒にやろう!」という奇特な方がおいででしたら、ぜひご連絡ください。
(info@nariwai-kobe.com)


みんなでもっと、幸せになろうぜ!!!!

自分らしく生きること、1ミリも諦める必要なんて、ないけんね。


2020年5月18日
(ことばの日/第1回平和会議が行われた国際親善デー)

なりわいカンパニー株式会社 代表取締役 湯川カナ
 

※最新情報は、リベルタ学舎のメルマガでお伝えするようにいたします。しばらく発行できてないけど、6月からちゃんとやるっす!
<登録> http://lgaku.com/index.php/magazine/



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