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「自分が事業をすることで、誰かが幸せになるのでしょうか?」 重なる逆境を乗り越え続ける経営者&名物銀行マンに聞いてみたい。

私の場合、まずは片思いから始まります。「この人の話を、もっと聞きたい!」と、うずうずしてしまう。そして、自分だけで聞くのはもったいないから、対談イベントか取材記事にしてしまう。

もちろん、今回の自由人大宴会のゲストのおふたりも、そう。私の「うずうずポイント」、お伝えします。


■ 「元プロレスラー」って。

神戸に「金八」という魚が美味しくてお安い居酒屋があった。お金がなくて魚好きの私は子連れで何年も通っていた。ある日ふと社長の経歴を調べてみたら、「元プロレスラー」って書いてあった。なんだそれ。うずうず。

で、さっそく対談を申し込んだら、「人見知りなので」と断られた…。それが今回のゲストであり、「金八」やイベント会場「ひょうご五国ワールド」や「土佐清水ワールド」など、神戸・東京・大阪などに30店舗以上展開する飲食チェーンの社長・河野圭一さん。

リングネームは、”チョコフレークK−ICHI”

<現役時代こんなかんじ。でも本当に人見知りでした。>

●震災、プロレス…たどりついた「郷土」。

学校になじまなかった河野青年。卒業後、工業高校のあっせんで自動車整備の仕事につくも、合わずに退職。はみ出し者となりかけた青年を育んでくれたのが、三宮の飲食店のひとたちだった。やがてバーを任され、20代前半で経営者となる。順調に進み始めた矢先に起こったのが、阪神・淡路大震災だった。

避難生活をしながら、店のスタッフと共に、大阪で再興を試みる。みんなで瓦礫の神戸からキラキラとネオン輝くミナミにやってきて、なんとか開店。幸い店は軌道に乗り、2号店、3号店と拡大する。趣向を凝らして出店したキタの店舗も大当たりして予約が取れない人気店となったが、半年もすると次第に客足が遠のくようになる。「調子に乗っとったんですわ」というのが、当時を振り返る河野さんの弁。

途方に暮れる河野さんに声をかけたのが…正確には「勝手にプロデビューのお膳立てをしていたのが」、縁のあったプロレス団体だった。誘われるままメキシコで半年間プロレスの修行をし、帰国してからは全国を巡業した。

<おおぅ!>


プロレスで全国を巡業するときには、試合後、地元の居酒屋で郷土料理を食べるのが慣わしだった。見慣れない地酒や料理、飛び交う地元の言葉…。そこには「郷土」への熱い思いがあふれていた。ええなぁ、ほんまええなぁ。

怪我が続いたタイミングで、あの沖縄で食べた味を神戸でも食べられる場所をつくろうと、再び三宮に飲食店を開くことにした。やっぱり大好きな飲食店で、もう一度勝負しよう。それが、20年前のこと。

<今年、20周年を迎えた沖縄料理「金魚」>


●「ニッポンの風景を熱くする」

経営も、組織運営も、まじめに考えるようになった。縁があった地方の店を出すときには、生産者とその現場で何日も共に過ごし、地域のすべての酒蔵をまわり、自治体にも話を聞きながら、はりぼてではない、本物の料理と雰囲気を出せるようにした。「郷土」と「地方」を結びたいから。ニッポンの光景を、熱くしたいから。

その姿勢が圧倒的に信頼され、土佐清水市・高知県・青森県・熊本県…と連携協定を結ぶ自治体も増え、神戸だけではなく、大阪、東京、高知……と、毎月のように新規出店が続く状況になった。上り調子というやつだ。そんなとき、突然、コロナがやってきた。主力の神戸・東京・大阪の全店が営業できなくなる。いわば「二度目の震災」

長い長い長い3年間を、デリバリーやクラフトビールなど様々なチャレンジをしながら乗り切り、ついにワールド・ワンの存在がそのまま町おこしにつながっている土佐清水市連携協定店9店はひとつもコロナで閉店させることなく、今年、再開までこぎつけたところ。

災害で2回大きなダメージを負い、それでも立ち上がるたびにより多くのものを背負い、何度も続ける…「経営」って、いったい何なんだろう? もっと、話を聞いてみたい!

<河野さん。当日、照れずに話してくれるやろか?>


■「初日に、銀行辞めようと思った」って。

私は、「銀行」に、良い印象を持っていない。理由は単純で、お金を貸してもらったことがないからだ。フリーランスの時も、一般社団法人で教育事業をやっているときにも(※一般社団法人は銀行の信用保証協会の対象外)、銀行は、いちばん困っているときにお金を貸してくれる存在ではなかった。

初対面の私にそう言われて、「いやほんまそう思いますよ。それが銀行の限界です。ごめんなさい。その限界を超えたいんです」と頭を下げてくださったのが、りそな銀行の藤原さん。
・「REENAL(リーナル=RESONA+REGIONAL)という地域協働手法を確立して天満天神繁盛亭をはじめ500以上の地域プロジェクトを実現
・その手腕が評判となりアメリカの国務省からIVLP(インターナショナル・ビジター・リーダーシップ・プログラム)で招聘
・AERAの「日本を突破する100人」に選出

そんなめちゃくちゃすごいひとが、「だから僕は、銀行は変わらなあかんと思ってるんです。なので、勝手にいろいろやってる。で、こいつ何しとるんや?と思われてます」と笑った。


●どうせやったら、銀行変えたれ。

大学時代は、落研(オチケン=落語研究会)。大手銀行に就職し、支店配属初日に「こんな理不尽なことばっかり。アホちゃうか。やってられへん」、辞めようと思った。でもそこから、「いつクビになってもええんやから、どうせやったら銀行変えたれ」と思い直す。そんな、ふてぇ新入社員。

11年後の2003年、就職した銀行が合併によって、りそな銀行になる。そのたった3か月後に、資本不足で2兆円の公的資金注入による実質上の国営化が決定…まぁ民間企業なら”倒産”レベルの「りそなショック」が起こる。これを受けてトップとして送り込まれたのが、元JR東日本副社長の細谷氏。彼が掲げたのが「新しい銀行像をつくろう!」というメッセージだった。あっ、変わるかも!?

<実は藤原さんは、2012年に亡くなった細谷さんとの約束を守り続けている>

●予算0円、だからできること。

細谷会長や執行役員の理解を得ながら、藤原さんは銀行改革に奔走する。とはいえ、当然、組織内では浮き続ける。その批判を避けるため、藤原プロジェクトの予算は0円となった。…銀行なのに? 当然、まちでは「銀行が金も持たずに、何しに来たんや!」となる。

でも藤原さんは、だからこそ、「このひとはこんなええとこある」「この会社はこんな技術もってる」「ここにはこういうひとが集まってくる」など情報を引き出し、つなぎあわせ、まちのひとたちが主役となってまちをつくっていくサポートをし続けた。なぜならそれが本来、銀行がやるべきことだから。お金を貸すことではなく、それによって、素敵な主体の事業機会を拡げること。

そしてりそなショックから19年後となる2022年。りそなホールディングスの関西みらいフィナンシャルグループから、伴走型コンサルティング事業を行う「みらいリーナルパートナーズ株式会社」が誕生した。軸となるのは、藤原さんがひとりで始め、誰からも理解されなくても続けてきたREENAL(リーナル)式。それはいつの間にか、銀行の未来を切り拓く切り札となっていた。藤原さんは、その取締役。

そんな、「未来の銀行」を予見してつくってきた、藤原さん。銀行マンとして、また地域での協働を推進するプロジェクトで、数多くの企業を見てきた。そんな藤原さんが考える「経営」の話を、もっと聞きたーい!

<「仕上がったプロフィール写真も疲れたかと思うので、証明写真で」って…変人!>


▶経営するって、なんですか。

私は、リベルタ学舎を創業して1年で、いちど経営破綻させています。つい最近も、めちゃくちゃ危ないところで首の皮一枚つながったことがありました。自分が事業をやっていることで、誰か幸せになるのだろうか? ぜひ、ふたりに聞いてみたいのです。誰か、一緒にきかへん? そんな、会です。

会社の経営に正解はあるのか?
●青コーナー:阪神淡路大震災の影響による断念。自治体連携の郷土居酒屋を軸に再興し東京で急拡大中に、再びコロナによる大激震。逆境を乗り越え続ける、元プロレスラーの株式会社ワールド・ワン代表。
●赤コーナー:入社初日に銀行に絶望しながらも「銀行マン本来の仕事」をするべく誰より地域の中小企業支援を続け銀行全体の在り方を変えつつあるりそなの銀行マン。
●レフェリーは、創業1年で経営破綻経験ある湯川がつとめます。
…経営するって、何やねん!

■ 藤原明さん(りそな総合研究所 リーナルビジネス部長/みらいリーナルパートナーズ株式会社 取締役)
大阪市立大学商学部卒業後、大和銀行入社。支店配属初日に「辞めよう」と思うも、「銀行を変えることをライフワークにしよう」と思いなおす。銀行マンとして2000社以上にヒアリングして潜在価値を再発見した経験から、産学官民連携の地域協働創出セオリー「REENALプロジェクト」を考案・展開。5年間で500以上のプラン策定をサポートする。雑誌「AERA」で“日本を突破する100人”に選出。

■ 河野圭一さん(株式会社ワールド・ワン代表取締役社長)
神戸市出身。高校卒業後、自動車整備士として働くが1年で退社。飲食業界に入るや才覚を現し店舗経営を任されるも、阪神・淡路大震災に遭う。メンバーと大阪に拠点を移し、一時は7店舗まで経営拡大するが、プロレスラーに転向し、5年間にわたり全国を巡業する。2002年、あらためて神戸に沖縄料理店を開店するところから飲食業を再開、現在「土佐清水ワールド」「あら、りんご。」等、神戸や東京などに30店舗以上を展開する。

【詳細・お申込】 

<主催>一般社団法人リベルタ学舎
<共催>関西ベンチャー学会ダイバーシティ研究部会/株式会社ワールド・ワン

<開催日時>2023年9月16日(土) 14:00-16:00

<開催場所>ひょうご五国ワールド
〒650-0012 神戸市中央区北長狭通2-1-6 三宮三陽ビル2階
(最寄り駅)三宮各駅(JR、阪急、阪神、地下鉄、ポートライナー)より徒歩約3分

<定員>24名限定

<参加費>5,500円(税込・乾杯+2ドリンク(兵庫を中心とした地酒 or ビール or ソフトドリンク)+テーマにちなんだ酒の肴つき)
・お子様連れOK!(託児はありません)
・小学生まで参加費無料(別途ドリンクなど注文の際は実費必要)
・学生割引:2,750円

<お支払い方法>当日会場にて、現金orクレジットカード

<お申込み>
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