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「これでいいのだ」

手塚治虫の描く「ブッダ」

当店は絵本屋なのですが、一つの棚を仏教関係の本が占めていて、これは売り物ではなくてお客さんにみてもらうようにしています。というか、私の本棚なのです。
そこに、あの名著、手塚治虫氏の「ブッダ」 が置いてあります。結構、読んでくれている人もいるようです。
この漫画に描かれている「ブッダ」は、他の仏教書で描かれる「ブッダ(目覚めた人)」という印象ではありません。
人の不道徳や人生の不条理に怒り、高邁な理想を語る一方で、運命を受け入れざる得ない自分の無力さに絶望しするような、人間らしい姿を見せています。
手塚治虫氏は、聖人としてのブッダではなく、人間としての「ゴータマ・シッダルタ」を描きたかったのだと思います。

名称未設定

「ブッダ」を軽々と超越する「アッサジ」

ブッダ修行の旅の途中に出会ったのが「アッサジ」というお荷物です。ご覧のとおり愚鈍さが強調されたキャラクターで、手塚治虫の創作した人物で、経典には出てきません。
彼は、神からのお告げで、10年後に死ぬことを知っています。それは、彼の父親が多くのケモノを殺したことの報いであるという理由です。
結局、アッサジはその予言通り、10年後に腹を空かせた狼とその子どもに食べられて死にます。

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このエピソードはジャータカ物語の「月のウサギ」を連想させます。

バカボンのパパは、ブッダである

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バカボンのパパは、誕生後、ヨチヨチと歩き出し、「天上天下唯我独尊」と宣言します。まさに、釈迦の生まれ変わり。また、「バカボン」には、ブッダの呼び名の一つ、「薄伽梵(ばきゃぼん・ばかぼん)」は、聖なる者、徳ある者、賢者という意味があります。
タモリ氏は、赤塚不二夫氏の告別式の弔辞で次のように語りました。

「あなたの考えは、すべての出来事、存在をあるがままに前向きに肯定し、受け入れることです。それによって人間は、重苦しい意味の世界から解放され、軽やかになり、また時間は前後関係を断ち放たれて、その時その場が異様に明るく感じられます。この考えをあなたは見事に一言で言い表しています。すなわち、『これでいいのだ』と」

旅の終わり2

「この世は美しい。人の命は甘美なものだ」

諸説ありますが、大乗仏教に伝えられるブッダ最後の言葉は、「この世は美しい。人の命は甘美なものだ」であったとされています。
四苦(生・老・病・死の四苦とし 生苦 - 生まれること。 老苦 - 老いていくこと。体力、気力など全てが衰退していき自由が利かなくなる。 病苦 - 様々な病気があり、痛みや苦しみに悩まされる。 死苦 -死ぬことへの恐怖)からの開放を目指したブッダが、たどり着いた答えは、その全てを受け入れて味わうことだったのです。
すなわち!

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