見出し画像

インタビュー編: 兼業システムトレーダーのためのビギナーズガイド - Kory Hoang Part 1/2

はじめに

今回のインタビュー動画は[Beginner’s guide to (part-time) system trading · Kory Hoang]になります。

今回のトレーダーはKory Hoangです。

この方は何十年という経験があるわけでもなく数年の経験で兼業でシステムトレーダーとして安定した収益を上げている人で、今回は兼業でシステムトレーダーやりたいけど、何から始めていいのか分からないと考えている方にお勧めです。

動画撮影時期は2017年12月07日になります。

今回は内容が濃いので二部に分けて解説したいと思います。

インタビュー内容

大学には行きましたか?

ワシントン大学でビジネスの学位を取りました。ファイナンスとマーケティング専攻でした。

大学を出てから何をしましたか?

私が3年前の学生時代は、メリルリンチのウェルスマネジメントで3か月間インターンシップをしておりました。アドバイザーのお手伝いをしていただけですが、ある日、ケリーさんという方がいて、その方を訪問した時に、彼のオフィスはガラス張りでスクリーンやチャート、その他沢山カッコいいものがありました。それからああなりたいと思い、金融や投資に凄く興味を持ち、株式市場や金融市場にとても魅了されました。

インターンシップはトレーディングの役に立ちましたか?

銘柄を探す方法やどういったセクターにどういった銘柄があるか等の基礎的なことはインターンシップで学べたので、それは役に立ちました。それからはそういった方向で、自分で調査しながら、オンラインで情報収集したり、本を読んだりして不足している知識を補いました。

いつから実際にトレーディングを始めましたか?

インターンシップが終わった直後からトレーディングを始めました。まだ学生でしたので、軍資金は数十万円程度でしたが。最初はテック銘柄やグロース株に賭けました。KNDという中国の※クリーンエネルギー車の会社に投資しましたが、最初は数十万円って物凄い儲かったのですが、業績が悪化し、それでも取引をし続けたら、一気に利益が沈みました。

※注釈:CEV (Clean Energy vehicle) : 従来のガソリン自動車・ディーゼルエンジン車に比べて走行中の二酸化炭素の排出量が少ない、電気自動車・ハイブリッドカー・プラグインハイブリッドカー・燃料電池車・クリーンディーゼル車の総称。

銘柄選定の方法論はございますか?それとも直感で選んでいますか?

最初は確かにギャンブルでした(笑)どの銘柄が一番出来高があるかでそれに飛びついていました(笑)

方法論はなかったです、最初はチャートを見ても全く効果的ではなかったです(笑)

あなたは最初は儲かったけれども、利益が無くなっても持ち続けたと仰っておりましたが、どのような理由でギャンブルであると感じたのでしょうか?

私はルールに従っていなかったという点でギャンブルをしていたと思います。ルールはあってもちゃんと従わなかったのです。科学的な過程に基づいていなかったのです。ここでいう科学的な過程というのは、観測対象について何か思いつき、そして、仮説を立て、実験し、根拠を集め、結果を分析し、結論を出すということです。

私はそういったことをせず、最初にアイデアや直感、または誰かが勧めた銘柄だったり、インジケーターがここの値になったら等で意思決定をするということをしておりました。

ただ、そこには、バックテストもフォワードテストもなく、全く科学的ではなかったのです。そういった意味でギャンブルをしていたと思います。

最初のトレーディングを始めた時はどのような期待を持っておりましたか?

最初は一日1%稼げれば人生安泰だと思っておりました(笑)

期待は高かったですが、すぐに現実に直面しました(笑)

では、どういった理由でシステムトレードを始めたのでしょうか?

それは2015年の出来事でした。ルネッサンス・テクノロジーのジム・サイモンのTED Talk(The mathematician who cracked Wall Street | Jim Simons)を観たのです。彼は天才的な数学者で、輝かしい学歴だけではなく、その知識を金融市場に活かして、今まで誰も見たことがなかったような利益を叩き出したのです。彼はアルゴリズムやルールに従って取引していて、私にとってはとても科学的だったのです。私も同じような結果を出したいと思いました。

その時初めてジム・サイモンという名前を聞いたのでしょうか?

はい、その時は初めてです(笑)

この前、彼がインドに行ったことがニュースに取り上げられており、彼のメダリオンファンドがずっとヘッジファンド業界で一位だったというのを見ました、めちゃくちゃ興奮しましたね(笑)

ブルームバーグで取り上げられているメダリオンファンドはとても凄い業績ですよね(笑)あなたはジム・サイモンのアプローチが好きだと言っていましたが、そこからどのようにしてシステムトレードを学んだのでしょうか?

私はQuantopianで学びました。Quantopianをご存じない方のために、これはシステムトレードのプラットフォームで、オープンソースです。最近ライブトレーディングが出来なくなったので、トレーディングのプラットフォームではなくなったのですが、まだこのプラットフォーム上でPythonベースで沢山の調査が出来ます。他の人とトレーディングのアイデアやアルゴリズムを共有できるのです。

私は最初は何も知らず、初心者のように、他の人のコードをコピペして、色々くっつけて、フランケンシュタイン・アルゴリズムをつくって、バックテストしてそれがうまくいくのか見ていましたが、それを何日も、何週間も、何か月もやっていたら、どんどん上達していきました。

ある日、QuantopianがPythonで作るシステムトレードの講座を公開したのですが、それは文字通り、大学で学ぶ定量的なトレーディングの講座レベルでした。上級者ではない人にとっても、とても役に立ちました。

そこから私のアルゴリズム取引にエンジンがかかりました。

※Quantopianの講座は見つからなかったですが、Youtubeチャンネル(https://www.youtube.com/channel/UC606MUq45P3zFLa4VGKbxsg)は全部無料でとても参考になります。ただ、全部英語です。

あなたはこれらのことをする前にPythonを使えたのですか?

全く出来ませんでした。それまで私が一番プログラミングらしいことをしていたのは、エクセルのスプレッドシートでした。大学では、ビジネスと金融専攻でしたのでプログラミングの授業もほとんどなく、大学時代に戻れるなら、専攻を情報系に変えていたでしょうね(笑)

何も知らない状態で始めたのですが、何週間もかけてようやくバックテストのやり方や手数料、スリッページの考慮、銘柄のシンボルの変更方法等の基礎的なことを理解しました(笑)

最初は学習曲線はとても険しいですが、私はとても情熱的でした。分からないことだらけでしたが、とても楽しんでおりました。友達と朝2,3時まで一緒に起きてプログラミングやプラットフォームの使い方を学んだのは良い思い出です(笑)

中毒性は高かったでしょ?(笑)

はい(笑)一度、このツールが何を提供してくれるのかについて理解したら、それについて学ぼうとし、上達しようとします。そういう考えで、無理やり自分を奮い立たせておりました(笑)

QuantopianでPythonを学んだのでしょうか?それとも、他の授業等でPythonを学びましたか?

UdemyのPython講座は取りましたが、正直終わりませんでした。ですので、私のPythonの経験は、典型的なPythonコーダーではなく、Quantopianのプラットフォーム上でPythonを使えるだけです(笑)

私が一気に上達したのは、トレードステーションを発見したことです。トレードステーションはeasy languageというとても単純な言語を使っております。そして、チャートのプラットフォームとインターフェイスもありました。

Quantopianはより技術的で、チャート等もほとんどありませんでした。もちろんコーディングすれば使えますが、私がそれを行うには最初はとても学習コストがかかりました。トレードステーションを見つけた時は、チャート等を簡単に見たりすることが出来たので、自分の投資戦略をトレードステーションに移行させることにしました。

最初は色々学んでうまく行かず、ストレスも溜まることがあると思いますが、そういった時はどのように対処していたのでしょうか?

そういった時は、それを解決できる友人に助けてもらいました。ただ、苦労した点は、金融専攻ではプログラミングが出来る人がほとんど居らず、コーディングが出来る人はほとんど金融を知らないということがあり、両方の知識をある程度持っている人を見つけることは苦労しました。ですので、プログラマーに金融や自分の投資戦略を伝えることは非常に苦労しました。しかし、Quantopianの掲示板では同じようなスキルの人が沢山見つかります。そこで、自分の戦略を実装してくれる人がいて、そのコードから自分もPythonを学び、上達しました。

それは掲示板を賢く使いましたね。実弾運用するまでにどれくらい準備したのでしょうか?

2002年から2016年までのデータでバックテストをしていたのですが、最終的に自分の戦略に自信を持てるようになったのは7か月目くらいからです。最初は5000ドルから1万ドルくらいから始めました。最初はそれでも保守的に運用し、元本に対して少ない金額で実験しておりました。それでも自分のアイデアを実験するには十分でした。それで何週間か運用して自分の戦略についてより深く理解し、自信を築いていきました。百聞は一見に如かずと言いますから、色々聞いても最終的に自分が経験しないと自信を持てないですからね。

最初の自動売買について覚えていますか?

最初の売買については覚えておりませんが、最初に大勝した思い出ならあります。

それは2016年の夏でした。何が起きたかは覚えておりませんが、あの週、私のアルゴリズムがXIV(ボラティリティ・インバースETF)を購入して、数週間後に物凄い儲かっておりました。

それは良い思い出ですね。では、あなたは色々な戦略を実験しますが、それでどのように特定の戦略に自信を持てるようになるのでしょうか?

私が最初に利益的なアルゴリズムを開発した時は、私は利益的であることを知っていました。なぜなら、それはとても単純なアルゴリズムだからです。ただの移動平均線の交差で取引するアルゴリズムでした。銘柄選びと時間軸選びが完全にマッチしたのです。とてもシンプルだったので、自信も持てました。

自分の手で取引せずにコンピュータに取引させるというのは怖くなかったですか?

それに関しては私は大半の人よりも気は楽だったと思います。戦略を構築しアルゴリズム化し、どの銘柄を選んでどのように取引するかを理解することが私の最初の調査方法でした。それはただの運かもしれませんが、私が構築したこのフレームワークには機能していましたし、このフレームワークに自信を持っておりました。戦略は単純でロバストでしたので、ウォークフォワードテストでも良い結果を出していたので自信ありましたね。

※ウォークフォワード解説

バックテストの手法の一つで、以下の図のように青色で最適化等して、黄色で検証します。それを検証期間ずつ時間軸方向で前に進ませながら行います。
例えば、全体の期間が2016年1月1日から2020年1月1日で、1年間を訓練期間、半年を検証期間としますと、最初は2016年~2016年12月31日で訓練し、2017年1月1日~2017年7月2日(1年の半分の日)まで検証し、次に2016年7月2日から2017年7月2日まで訓練し、2017年7月3日から2017年12月31日まで検証し、それを全体の期間の最後まで繰り返す手法になります。

画像1


この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?