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『映画大好きポンポさん』 4人の天才女優の演技メソッド

『映画大好きポンポさん』という漫画があります。来年、映画化も予定されています。


この漫画を、初めて読んだときの衝撃は今でも忘れません。

読後、一番最初に抱いた感想は「あ、脳ってこんな形をしてるんだ。」でした。

脳の後頭部がジンジンして、前頭葉がゴリゴリして、頭頂部がキリキリして、脳の機能を100%フル活用してむせび泣き、感動している自分がいました。

とにかく面白すぎるので「いいから買って読め。」と、強くお勧めいたします。(無料でも読めるのですが、いいから買って読んでください。)

現在、『映画大好きポンポさん』は、4シリーズが刊行されているのですが、私は全シリーズで号泣しています。

タイトルが示す通り、この漫画は、映画、そして映画に取り憑かれた表現者たちの物語なのですが、現在刊行されている4シリーズで、全て主演女優が異なっています。

以下に、キャラクターごとの特徴を紹介いたします。


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ナタリーちゃん 天才女優 かわいい

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ミスティアさん 天才女優 かわいい

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フランちゃん 天才女優 かわいい

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カーナちゃん 天才女優 かわいい

要するに、みんな天才女優でかわいいのですが、その役者としてのタイプはびっくりするほど異なります。

これは、シリーズ4作目、『映画大好きカーナちゃん』の中で、天才映画プロデューサーである、ポンポさんも

演技のやり方なんて人それぞれ
万人に正しい演技メソッドなんて存在しないのよ

と、言及しています。

具体的にどう違うのか・・・あくまで私個人の解釈ですが、図にしてみましたのでご覧ください。

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せっかくなので、漫画の刊行リリース順に、キャラクターの魅力と合わせてご説明いたします。

ナタリーちゃん 憑依&センスタイプ

『映画大好きポンポさん』に登場する映画「MEISTER」は、ポンポさんが、ナタリーちゃんに作らされてしまった映画です。

ナタリーちゃんは、終始一貫(他のシリーズでは特に)常識人、作劇中の良心ともいえる立ち位置のキャラクターなのですが、その演技力は、他3人の女優たちを圧倒していると思います。

ナタリーちゃんは、憑依型の天才女優です。
しかも、努力とか、演技メソッドとか、そんなもの吹っ飛ばして、もう、その場にたたずんでいるだけで、絵になる。作品が完成する。

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圧倒的な憑依能力を有した天才女優です。
ナタリーちゃんのデビュー作は、ポンポさんがナタリーちゃんに当て書きをした作品です。

また、続編の「映画大好きポンポさん2」に登場する「LOVE・Begets・LOVE」でも、当て書きで準主演を務めています。

おそらく、彼女のために作品を作りたくなる、そう言った引力をもつ、天才女優なのだと思います。


ミスティアさん 憑依&努力タイプ

ミスティアさんを一言で表すなら、大女優という単語が一番適していると思います。

ミスティアさんの特徴は、ナタリーちゃんと同じ、その役に乗り移る憑依能力だと思います。

ただ、ナタリーちゃんのように、役が自然と憑依するシャーマンタイプではなく、地面に埋まって死ぬまで念仏を唱えている即仏神のようなストイックさを帯びています。

同じ憑依タイプのナタリーちゃんとの最大の違いは、どんな役でも演じきってしまいそうな、圧倒的な適応能力です。

そして、やっかいなことに、主演女優しか受け付けないような堅牢たるプライドを持ち合わせている天才女優です。

これは、「クレジット表記が何番手か?」という、みみっちい理由ではなく、キャストとしてクレジットされるのならば、スクリーンに写るからには、例え端役であろうとも「私が誰よりも観客を虜にする」という、挟持からくるものだと思われます。

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作者の杉谷庄吾【人間プラモ】先生も、以前Twitterで言及しておられましたが、間違いなく狂っていると思います


フランちゃん 投影&センスタイプ

これは、あくまで私個人の妄想なのですが、フランちゃんは、ニャリウッドスターの中で、ダントツ一番人気の女優さんだと思っています。

まごうことなき、世界のスーパースターです。

なんというか、映画館に物語を観に行くのではなく、フランちゃんを観に映画館に行きたい。

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そう思わせる、圧倒的な主人公力を持つスーパースターです。
(ボリウッド映画に近いのかもしれない)

このお方に関しては、演技とかメソッドとか、そんなもんはどうでも良く(そしてそんな器用な事ができる娘ではなく)て、ただただ、役に自分を投影することで、目まいを起こしそうになるくらい強烈な輝きを放つことができる天才女優なのだと思います。


カーナちゃん 投影&努力タイプ

カーナちゃんは、作中で言及されているように、他の3人に比べると、スター性も演技力も、一歩劣っているキャラクターだと思います。

ですが、おそらく、天才女優という肩書きが最も相応しいのではないでしょうか。

カーナちゃんが、他の3人とは決定的に劣っているもの、それは、女優になりたいという願望が希薄である事です。

ネタバレになるので、多くは語れないのですが、他の3人は、夢を掴むために女優を目指すのに対し、カーナちゃんだけは、居場所を取り戻すために主演女優を志します。

はっきり言って、不純な動機です。そして、主演女優を勝ち取った経緯も、他の3人と比べると、明らかに邪道です。

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ですが、そんな自分の歪な自己投影を、徹底的な努力で補って、主演女優を勤め上げます。

圧倒的な努力による、完璧な演技。間違いなく一番の天才女優だと思います。


主演タイプと助演タイプ

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余談となりますが、うっすらと四隅に書いてある「主演タイプ」と「助演タイプ」について簡単にご説明いたします。

これは、私の想像でしかないのですが、劇中劇の内容を読む限り、おそらくエンドロールでは、

ミスティアさん&フランちゃんは、ファーストクレジット
ナタリーちゃん&カーナちゃんは、セカンドクレジット

に、表記されていると思ったからです。どちらが良いと言うわけではなく、「そう言ったタイプの女優さんである」と言う事です。


最後に

もう、感想文を書いているだけで泣けてきました・・・辛い、面白すぎて辛すぎる。感動しすぎて辛すぎる。苦しい。この苦しさをどうか皆様も、味わっていただけないでしょうか。

無料でも読める作品もありますが・・・「いいから買って読め。」

あ、ちなみにこの外伝的シリーズは、現行、コミックス化されていないので、無料で読んでもいいです。是非お読みくださいおねがいします。

そして、

「読み終わったら、シリーズ4冊買って読め。」


よろしければ、こちらもご覧ください。


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