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ブラックメタルで感じる夏 明日の叙景2rdアルバム「アイランド」

突然ですが、みなさんはメタルで季節を感じられたことはありますか?

「メタルで季節を感じるって、お前は何を言っているんだ」
と私も最初は感じましたし、皆さんも考えている方が多いと思います。
私自身、雨や雪などの気候を連想させる楽曲は、いくつか出会ってきましたが、アルバムを通して季節を感じさせられるモノに出会うことは、今までありませんでした。(ポストブラックメタルでは多々あるようですが)
しかしながら、メタル音楽と日本的な夏という、一見結びつかないような二つの要素が合わさった傑作アルバムが、昨年発売されました。
それが、明日の叙景2rdアルバム「アイランド」
今回は、夏のJ-POPとブラックメタルが交わった、真夏の青空でポカリを飲むような姿を連想させてくれる傑作アルバムをご紹介致します。

明日の叙景について

バンドについて

2014年結成。東京を中心に活動するポストブラックメタルバンド。2016年に1st EP『過誤の鳥』をリリースし、台湾で公演を行う。2018年には1st Album『わたしと私だったもの』をリリース。その後、中国5都市を回るツアーを敢行した。2020年に2nd EP『すべてか弱い願い』、2021年にDigital Single『キメラ』『ビオトープの底から』と継続的に作品を発表。2022年夏に2nd Album『アイランド』を発表する。

http://asunojokei.com/biography/

ポストブラックメタルというジャンルについて軽く補足させていただくと、ブラックメタル的な音楽要素を持ちつつも、神秘性や叙情的な要素をプラスして、空想上の産物や自然信仰などを表現する音楽ジャンルです。
王道なサウンドでいうと、ブラックメタルとシューゲイザーが交ざったものが特徴的で、ブラックゲイズとも呼ばれています。(シューゲイザーとは精神的な考えから相反するようですが)
ポストブラックメタルという大枠の中に、ブラックゲイズだったりのサブジャンルがあるイメージです。

2rdアルバム「アイランド」

bandcamp夏期ベスト筆頭にも選出された、夏を連想させるJ-POP要素とブラックメタル要素をブレンドした傑作アルバム
アートワークも特徴的で、一見メタルバンドの出すアルバムとは思えないです。
四季とオタク文化がある日本でなければ、日本人でなければ作ることができない、オリジナリティ溢れる作品。
清涼飲料水CMを彷彿させるようなサウンドを醸し出しつつも、歌唱や演奏でしっかりとブラックメタルバンドであることは忘れさせない仕上がりになっています。

ノイジーなイントロから、ゆったりと始まり、緩急のきいた静と動を感じさせる01. 臨界
夏フェスでかかったら盛り上がるようなノリノリ夏メロディで構成されつつも、ブラストビートでブラックメタルサウンドを忘れさせない02. キメラ
ミドルテンポなイントロから始まり、哀愁を漂わせながら語りで終わりを迎える04.土踏まず
こちらも夏を感じさせつつも、どこか懐かしいような、あの頃の思い出・感触を味わえる05. 歌姫とそこにあれ
01,02,04,05のような浮遊感を醸しつつも夏を感じさせる、J-POP要素が強い前半

イントロからのブラストビートで、ブラックメタルファンの心をつかみ、緩急はありつつもメタル色が強い07. 忘却過ぎし
今アルバムで一番長い7分作ではあるが、長さを感じさせない叙情系メタルコア的な楽曲08. 甘き渦の微笑
02のキメラと同じくデジタルシングル曲として発表され、語りで締める10. ビオトープの底から
10.ビオトープの底から続く語りで始まり、クライマックスと言わんばかりにブラストビートで爆走する11. 遠雷と君
のような、ブラストビート満載でブラックメタルファン納得の後半部で構成されています。

03. 見つめていたい
09. 子守唄は潮騒

のアンビエントソングも、曲と曲とを繋ぐ小休止として、クライマックスへ向けての盛り上がりとして、安らぎと期待を感じさせてくれます。


さいごに

最初にも書き連ねたが、私自身メタルで夏を感じる日が来るとは思ませんでした。
明日の叙景のおかげで、ポストブラックメタルというジャンルを知ることができたし、好きになることができました。
bandcampなどで作品販売しているようなので、気に入った方は是非購入してください。
私はLPで購入しました!

メタラーの皆、是非「アイランド」で夏を感じよう!!

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