Vtuber楽曲大賞に送った曲の紹介&レビュー

2019年から行われているVtuber楽曲大賞。

元々はオタクたちが酒を飲みながら今年良かった楽曲を振り返りながら駄弁るイベントで、Vtuber音楽オタクとしては年に一回の紅白歌合戦みたいなもの。Vtuber楽曲って括りも曖昧だし、ジャンルも様々なので、こんな形で纏めてくれるのは振り返る上でとても有り難い。年末の風物詩として毎年楽しみにしてるイベントだ。

今年はVtuber音楽カルチャーの一大イベントとなったバーチャフリークという場で行われる。クラブに疲れたら楽曲大賞のところに行って酒を飲みながら一喜一憂できそうで、今でも楽しみで仕方がない。

さて、今年のV音楽を振り返ることも含めて楽曲大賞に送る音楽を選考した。

せっかくなので、各楽曲のレビューをしていきたい。

楽曲部門

1.アマカミサマ/名取さな

一瞬、この曲は今年だっけ?と思ったけど、MVは2021/03/29に出ているからヨシ!

名取さなにとっては念願のリアルイベントとなったさなのばくたんにて披露された楽曲で作曲・編曲は田中秀和 (MONACA)さん。これだけでも、文脈的に強い!! 歌詞も名取とせんせいの絶妙な距離感を上手く示していて、歌を通して彼女の本音が聞こえてくるようで胸に刺さる。私自身も彼女のライブを見て泣きそうになった思い出の一曲。

2.八月の蛍/HACHI

ライブユニオンに所属するバーチャル・シンガーHACHI。素晴らしい歌唱力をもつ彼女だが、個人的に彼女の歌声の良さが最も良く出ていると思うのが八月の蛍。僕自身が夏の曲がとても好きなこともあるのかもしれないけれど、夏の郷愁を強く感じさせてくれる。特にサビのメロディが好きで、「ねぇ、もっと縋ってくれても良いんだよ」へ繋がる盛り上がりとサビ終わりに残る淋しさが印象深い。

3.スローモーション・ジャーニー / 諸星ツキナ

アネモネプロジェクト所属の諸星ツキナさんの楽曲。

僕はアザミの楽曲が大好きなんだけれど、スローモーション・ジャーニーは特に好きな曲の一つ。特にこの曲は諸星ツキナの声とぴったり合っていて、透き通るようなオシャレな空気感がとても好き。諸星ツキナのサビにつながる息遣いを感じられるのも良いよね。

4.Defiant Deadman Dance/えのぐ

VRアイドルとして長く活動しているえのぐ。久々に概要欄を見たら、2018年3月~と書いてあってビビった。時が流れるの早すぎ……

この曲は初めて聞いた瞬間から打たれてしまった! 僕は元々アイドル系のロックチューンが大好きで、ライブでガンガン叫んで踊れるような強い一曲を求めていたのかもしれない。作曲・作詞はa crowd of rebellionの丸山漠さんというメタルコアバンドの方で随所に特徴を感じられると思う。ライブでこの曲を聞くまで死んでも死にきれないな……

5.ふんわりディスコード/てれかす

ギリギリ選考内の期間じゃん!と選んだこの曲。
てれかすさんはVRCで活動している方なんだけれど、良い歌を作るんですよ~。

「あと三十分だけ遊ばせて、あと何十年も君のそばで」という歌詞が耳に残る。ちょっと切なさが残る歌詞だけど、インターネットで繋がる現代らしいシチュエーションで僕も似たような経験があって感動した。繋がりやすく離れやすい今だからこそ、みんなに聞いて欲しい一曲。

MV部門

楽曲部門は好みが強いけれど、MV部門は斬新な表現、面白いMVを作っている人たちをピックアップしてみた。

1.とろける哲学/長瀬有花

リアルとバーチャルをゆらゆら揺れる脱力系シンガー、長瀬有花。

とろける哲学は2つのMVが出ていて、一つはアニメーション、もう一つはリアルとなっている(リアルの方はショートバージョンだけど)。リアルのMVは細かい仕草が長瀬有花だな~って思うし、アニメーションの方は長瀬有花がMVのようなことをしてそうと妄想させてくれる。それぞれの特徴を上手く活かしているMVとなっている。

2.神様ハラスメント/THE BINARY

THE BINARYも3D、リアル、アニメーションと様々な媒体で活動しているアーティストだ。

作曲・作詞をすりいさんが手掛けた神様ハラスメントは、ストーリー仕立てのアニメーションが面白い楽曲。この曲は初めてライブで聞いて強く記憶に残っている一曲だったんだけど、その後アニメーションが公開されてMVのストーリー性に驚いた。ぜひ楽曲だけではなく、最後までMVを見て欲しい。

3.いたいよ/高峰伊織

人形アニメーションという新たな挑戦をみせてくれた、いたいよ/高峰伊織。movieを作っている巡宙艦ボンタさんは、昨年のMV部門に選曲された「星凪の地」を作成された方で細かい時代考証と作品世界の奥深さにいつも感動してばかりだ。

本作は人形アニメーションMVという形に挑戦している。昔に「高い城のアムフォ」という人形のVtuberをやっていたので、その経験を活かしたものだと思うけれど、人形劇しか出せない空気感が伊織さんのジャジーな声と共鳴して唯一無二のMVとなっている。

まとめ

全体として今年は「これ!」という楽曲がなかった印象だけれど、V音楽カルチャーが認知されてパイが広まった気がする。全体のクオリティも上がっていると思うので、来年ももっと良い楽曲たちに出会いたい。

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