ボクは摂食障害⑦ 束の間の安心
10月24日、拒食期を少し抜けた。
はずだった。
10月23日の夜、施設の担当スタッフと行動記録表(認知行動療法)の振り返りをした。その時、最近の食行動について話した。
「痩せたね」
たったその一言で僕は救われた気持ちになった。もちろん他にもいろいろ話したが、その一言が僕には大切だった。
そのスタッフは「最近ちゃんと食べてる?」とか、心配の言葉はたくさん掛けてくれたが、はっきりと「痩せた」と言ったことはなかった。だから、そのスタッフに痩せたと言われて、ようやく努力が認められた感じがした。
そうして次の日、普通にご飯を食べた。
数ヶ月ぶりに、なにも考えずにご飯を食べた。
僕は冒頭で”少し抜けた”と言ったが、普通に食べれたのになぜ少しなのか、というと、満腹感はやっぱり怖くて食べ過ぎで2回吐いたし、下剤乱用はやめられなかったから。
でも、ここ最近で一番楽に食事ができた。事細かに書いていたカロリー計算の記録もやめられて、頭で計算する程度だったし、毎日の体重測定もやめた。もう少ししたら拒食期から抜けられると思った。
しかし、現実は甘くなかった。
1週間も経たないうちに拒食に戻った。
たったの1週間だったのに、急にお腹が出てきたような気がした。体重計に乗ったら2kg増えていた。今思えばただの浮腫みだったのかもしれないが、一気に食事に対する恐怖が戻ってきた。
もう食べたくない。
施設にいるから、食事は食べざるを得ない。なら、吐けばいい。
完全に拒食脳が帰ってきた。
1週間とはいえ、間食をする癖が戻ってしまったので、食べたい気持ちがすごく強い。でも食べられない。食べてしまった時には、吐く。
拒食期を抜けた、だなんて、まったく、束の間の安心だった。
また、先の見えないトンネルを歩き出した。
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