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【レポ】土井善晴先生 やっぱり家庭の料理が1番

郁です。
先日は、宮崎女性のための講演会第1回・土井善晴先生の講演を聞きに行ってきました〜!!
本当に、中身の濃い90分でした。

うまくまとめきれているかわかりませんが、今日はそのレポです。

登壇者:土井善晴先生。
和食を基礎とした家庭料理と食文化を探求し続ける料理研究家。
日々の食事は、ごはんと具だくさんの味噌汁、漬物などの一菜があれば十分という「一汁一菜」(いちじゅういっさい)のスタイルを提案。
スイス、フランスでフランス料理を学ぶ。
帰国後、大阪「味吉兆」で日本料理を修業。
お父様の土井勝さんが開かれた、土井勝料理学校講師を経て、1992年に「おいしいもの研究所」を設立。



今回のお題:「やっぱり家の料理が一番」


1.おにぎりから、全ては始まる


さて、楽しみにしていた土井先生の講義。
最初、スクリーンに映し出されたのは、おにぎり。
まあるい、大きなおにぎりでした。
これは、先生の手作り。

先生のお話は、このおにぎりからスタートしました。
おにぎりといえば、亡くなられた陳建一さんと共演されたNHKの特番で、皆さんが得意料理を作られる中、おにぎりを握っていらした土井先生の姿を思い出しました。 




おにぎりって、確かに1番シンプルだけど、1番美味しい。
土井先生は、塩むすびで大事なのは、「あたりまえのことをきちっとすること」だとおっしゃいました。

丁寧に手を洗う。
そして手に塩をつけて、米粒をつぶさないように優しく握る。
握ったときに外側に塩の壁ができることで、中に水分をふっくらと残し、雑菌を外から入ってこさせない効果があるそう。

日本は、昔から水が豊かな国でした。
水があるのが当たり前だったから、手を洗うという文化が根付きました。

そして、手を洗うこと、清潔にすることが、そのまま日本人の精神として根付いたのだと土井先生は語ります。

私たちは昔から、清潔にして、清らかなものに触れる感覚を教えられてきました。


2.世の中の料理のハードルが上がっている




私なんかは、小さい頃からマクドナルドやケンタッキーがあり、「手軽に、素早く食べられる」ことが当たり前として生きてきました。
母に聞くと、初めてマックで食べたときの衝撃が忘れられないと言います。

世の中が便利になり、手軽に何かを手に入れることができるようになったけれど、母のように「初めて食べて、感動した食べもの」を思い返しても、なかなか思いつきません。

そして、外で食べるものが当たり前になり、家庭にもそれを求めるようになりました。
土井先生は、「世の中の料理に対するハードルが非常に高くなっている」とおっしゃいます。

キラキラした、SNS映えするようなすごい料理が作れなければ意味がない。
当たり前のように、子々孫々古来から伝えられてきた、「名前のない」料理は、料理ではないと思ってしまうようになったのだと。

栄養士を目指す学生さんたちに、「今まで料理をしたことはありますか?」と聞くと、「していません」というそうです。

でも、中には一人暮らしをしている子もいる。
料理をしていないはずがなかろうとさらに質問をしてみると、「ごはんと味噌汁しか作っていません」という。

つまり、お味噌汁は料理のうちに入らないと思い込んでいるわけですと先生は熱弁されていました。

この話を聞きながら、「私もそうだったなあ」と思い返したんですね。
お味噌汁は、当たり前に作れるものだから、料理というほどでもないと、以前は思い込んでいたのです。


3.食事とは、何か?


辞書で「食事」と引くと、「人間が習慣的に1日のほぼ決まった時刻に、生存のために主たる食物をとること」と書かれています。
土井先生は、「これは違いますよ」とおっしゃいました。

習慣的に決まった時刻になんてできるわけがない。
これは男の理屈だ、食事が決まった時間に出てくるのが当たり前と思っているからこういう書き方になるのだと。
会場のみなさん、うんうん頷いてらっしゃいました笑

母が料理を作ってくれる。
すると、子どもは幸せを感じる。
食は、家庭の居場所を作ること。




料理を作ってくれるひとがいて、そこにいたら、無条件にほっとする。
そうして、料理から伝わる愛を受け取り、それが自信となり、やがて社会に出ていくときの糧になるのだと。

確かにそうかも、と思いました。
幼い頃、台所に立つ母のそばにいるのが好きだったので、台所にいることが多かった気がします。
あれは、母がじぶんのために何かを作ってくれているという幸せに浸っていたんでしょうねえ。

そしてさらに先生は、自信がある人は、人に愛を注げるようになると先生はおっしゃいました。
食が、私たちを作る。
生きる糧になっているのだと。


4.食から全てが生まれる


先生は、食事は一汁一菜でよいと常におっしゃっています。
なぜか。
一汁一菜は、ずっと安心して食べられるものだからです。
そして、一汁一菜さえ作れるのなら、さらに食を発展させることができます。

ごはんと、お味噌汁。
日本人が古来から当たり前のように食べてきたものは、基本です。
基本ができれば、応用もできますよね。



さらに、家で食事をすることは、心を癒す作業です。
外に出て、手のほかに、体も心も汚して帰ってくる。
そうして家に帰ってきて、家庭の味を味わいます。
すると、心がほぐれていくのです。

食事は、美味しくなくても良いと先生は常におっしゃいます。
ただ、食材の旬を感じて、食材を味わうことが大事だと。

さらに、食事をすること、食事を作ることは、自主性や感性を育てることでもあります。
素材を味わい、旬を感じることは、経験の構築です。
感受性のマップを作ることです。

そしてそれは、賞味期限やレシピの数値にとらわれない、じぶんなりの目安を作ることにつながると言います。

食事は、じぶんの経験となり、人とのつながりを生む。
果ては、素材から、この地球の偉大さを感じることだと先生はおっしゃっていましたね。


おわりに


実は、講演の最初に、「今日の講演で話したいこと」を先生がパワポで教えてくださったのですが笑、半分もいけませんでした笑
お話が本当に深く、幅広く、90分では足りなかったんだなあと笑

でも、テレビで見たままの先生で、ますます素敵だなあと思いました。
優しい語り口で、しかし食への確固たる信念を感じる力強さがあり、ずっと聞いていたかったです。
本当に、有意義な時間でした。











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