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ゾンビ婆に噛まれた俺は異世界で賢者してきたんだけど話聞く?       ー迷宮の賢者・後編ー

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主要登場人物


【私】果哉屋叶子(カナリヤカナコ)
ご職業は主婦という話の実際は何してんだか分んない人
家族は夫 今回噛まれた人

【爺】埴虎成辰(ハニトラナルタツ)
愛称はタッちゃん 今回超本人の癖に一切関わってない人
カナコの仕事相手

【婆】已寺絵巳子(ヤミデラエミコ)
タッちゃんの社交ダンス仲間から一気にハニーな関係になろうとしてた人 今回噛んだ人

【兄】埴虎健創(ハニトラケンソウ)
爺の息子 通称「兄ちゃん」 
いいとこの坊な為かプレッシャーに弱いが基本は良い人


【警察】
カナコの地元の警察の皆様 暴れる婆2名の夕闇の乱闘に一番迷惑しただろう人達

前編はコチラ

ゾンビ婆に噛まれた俺は異世界で賢者してきたんだけど話聞く? 
ー死闘前編ー


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お兄ちゃんのボロボロ軽自動車はパトカーの後ろを粛々と付いて行った

興奮した兄ちゃんは何かしら元気に話しかけてくる


ぶっちゃけ、すごく煩い(酷


警察署の駐車場に車を入れ、降りて中に入る


「わー、新築だー」と感激するも

「あれ?意外に殺風景?真四角なだけのエントランスやな」


四角の広さのロビーには固そうな長椅子が壁に一列だけ
そして反対の壁にかなり小さめの受付の窓が見えた


役場などを想像してたのでなんかバランス悪いなぁというのが印象だった


パトカーのように外壁を白黒で塗り分けられた建物で
まさかそんなに長時間過ごすとはその時点では予想してなかった


大騒ぎしているお兄ちゃんを横目に
窓越しに見えたオレンジの牛丼屋の看板で
今日まだ水分すら取ってない事に気づいた
が、
薄いTシャツ・スエットの下と言う The部屋着状態で
所持金0の自分にはどうしようもこうしようもない


「取調室でカツ丼出るってのは都市伝説らしいもんなー」


スタミナもつかなぁ? 今はまだそんな悠長な考えしかなかった

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一旦、正面玄関から入って
ロビーで待たされていた時ある事に気が付いた


「あれ?」

先にパトカーで連れて行かれた婆がいないのである


まぁ、入り口を変えたか、先に入れたんだろう
そりゃー、顔を合わせたら第2ラウンドになりかねないもんな

まだこの時点で傷害事件の当事者だという実感が薄い


と、言うかぶっちゃけ全く自覚がない(迷惑)


椅子に座っているといきなりお兄ちゃんが横に座り手を握ってきた


『カナコちゃんっ!!』


なんだよ気持ちの悪い


『俺な、俺っ、、カナコちゃんの事は親友だと思ってるからな!』


へー、なんすか、マブな友って奴すか いきなりすかwww


『だからっ、だから、何があってもカナコちゃんは俺が守るからな!』


あー、その言葉 いい言葉だねぇ


乱闘になる前に聞きたかったすけどね


やや不貞腐れ気味の私のところへ
警察官が迎えに来てこちらへどうぞと促した

警察官はまだ若い女性
おかっぱに眼鏡というクラス委員ぽいタイプの女性だ

背が低めで童顔なので
制服を着てたら女子高生でも通用しそうなタイプ

つい先日までやってた警察ドラマの主人公によく似てる

彼女の後ろをついて行く


警察の廊下は真っ直ぐなのだが真っ白でポイントが無く
なんかただ真っ直ぐなのにグネグネと曲がっているような印象があった

距離感とか方向性がわからなくなりそうだ

そして何故か廊下の幅が狭く感じる

実際、なんでこんなに狭いんだろう?
捕まえた犯人とかが逃げずらいように?まさかね?


今来た方向から曲がった方向と歩数を計算して頭の中で地図を描く
ところどころ見えたドアの名前を脳内のマップに書き込んでいく

ダンジョンゲームで鍛えた
マッピングスキルがこんなところで役に立つとは人生は皮肉なものだ


自分がプリズンブレイクの主人公になった気分で
自分が逃走するならどういう経路で逃げるかなぁとか考える
こっちでこう走ると警察官2名程が前にいたら難しいかなとか
ニコニコとした笑顔で考えている


はい、完全に不審者です ありがとうございます



[はい、こちらの部屋入って下さい]


主要な廊下から1枚ドアを開けたその場所は
さらに薄暗い細い廊下があり
直角の方向に数個のドアが並んでいた


その先は明るくて狭い小さな部屋

1つのテーブルと2個の椅子


はいっ、カツ丼出る部屋ですね!(違)


所謂 取調室って奴だな


わー、アイボリーホワイトで腰壁と上の壁の2層になってんだ
へー、オッシャレー・・・に見えなくもない

アツシの建もの探訪とか来ちゃいそう・・・

普通の部屋ならな!


[はい、そちらに座って]


ボケをかますつもりで入り口側の椅子に手を掛けたら

[いえ、そちらです]

と、奥の椅子を指示される

そらそうだw  わかってるがなw


深刻なムードに耐えきれないので
おばちゃんおどけただけだがなw

目の前には男性の若い警察官が座った


[ええと、じゃ、まずはお名前と・・・]


と聞かれて個人情報が聞き取りされ書かれて行く

[職業は]


「えーと、、、のうぎょ・・・うーん主婦?うーん??」


[無職ですね]


わー、情け容赦ないw


[身分証明書はありますか?]


財布すらねぇんだもん あるわきゃねーべw

「ないですー」


つまり、自称(本名)でしかない無職  ヤバイ怪しさ満点

[えーと、本籍地の住所わかりますか]

今時? 今 本籍地って言った?


えー、、、、 まぁ知ってるけどw

「商業施設◎◎の住所です」


[え?元あの商業施設になる前に実家があったとか?]


「いいえ、結婚の際に面倒だったんで思いつきやすい住所がそこでした」


警察官は驚いている


[えー、そんな理由で本籍・・・いや、ありっちゃありか]

「それに結婚以前の本籍の場所が遠かったので取り寄せが面倒で」


警察官はうなづいている


そうか、キミにもそういう経験あるのか(笑)

[正確な住所番号わかりますか?]


いやちょっとそこまでは・・・というと

警察官はスマホを片手に住所をググりだした


「そんなんアリなんすかw」

[え?]

「いや、スマホ」


「それって、警察のほうで配ってるビジネス用ですか?」


[ああ。これ僕の私物です]


えーそれってアリなのか へぇえええ


「へー、意外 あ、でもあのドラマでもそういうシーンありましたね」


[あのドラマって?]

「ほら、こないだまでやってた
【オリヅメ】(仮題)って女性警察官のやつ」


[ああ、【オリヅメ】!あれはよく出来てるドラマだったよねー]

「なんかそういう書類をずっと手書きしてるシーンとかありましたねぇ・・・」

警察はねー、まだ手書きとかなんだよねーと言う彼にそういうと


[そうなんだよねー]

もの凄く笑顔で答えてくれた

ヨシ、つかみはOKだなw


注:ここで微笑んでる女は[暴力事件]扱いの加害者疑いの者です

大体の受け答えが終わり


[で、なんで今回こんな事になったのか、お話をですね]

はいきた、ホイきた、 試される私の記憶力


元々彼女が爺さんに近づき過ぎて警戒された事、
相談された事 多少揉める可能性はあったにしろ、
まさか今日このような事になるとはといった事などをかいつまんで話した

「で、彼女が執着した理由なんですが、、、」

という事で爺さんが私に概算を出してくれと言った
日記のコピーを警察官に見せた


「つまり、彼女にしてみたらあわよくば後妻か、
さもなくばこのままの関係でどんどんお金だけでも・・・と」


若い警察官はうなづいている

[最近彼や家族に対して横柄な態度になったため
彼が彼女を切り離しにかかっているらしき事を感じ取ったら
執着が酷くなったと?]

「いや、執着は以前かららしいですが、お金が絡んだので余計でしょうね」


「ほら、ヤンデレっているじゃないですか アレですよ」

苦笑いする警察官


「それにこの彼女、どうも調べてみたら、
同じようなお爺さんを相手にしてた事がわかって
良く言えば恋多き女、悪く言えば

あの、後妻業の女殺人事件で捕まった、カケイチサコ?
あれにやり口がそっくりだったんですよ」


筧千佐子(カケイチサコ)は後妻業という言葉が有名になった頃
高齢孤独男性たちを“籠絡”する手口が巧妙で
6人を殺害したとされて逮捕された女性だ

筧千佐子も狙いを定めた男性たちと食事の機会を設け、
一気に親密な関係を築いた

その中から「持病」のある人を選び、本格的な交際に発展させていたという
そういう人間は根底に不安を抱えている 

その不安を寄り添う事で信頼させる手口だ

そして熱烈なラブレターのようなメッセージもやり取りしている
その辺も已寺の婆とイメージが重なる

爺さんの年代は恋文が強烈なアピールの方法だった

淑やかそうな女性の秘めた情熱が書かれた恋文
それこそが王道の恋愛のテクニックだった筈で

それに対して篭絡されたのは言うまでもない

已寺の婆もタッちゃんに熱烈な手紙を書いていた
毎日会ってると言うのに

「買ってあげたものや、かかったお金、
それについては不問だとしてたんです
だから普通の友人関係に戻って欲しいと 
しかも複数回そういうやり取りがあった
で、警戒してたのは事実です」

[つまり交際してた女性が拒否しても押しかけてきたので
このようになった と?]


「本人は一寸親しい友人のつもりでも
彼女は誤解してるようだと言ってました」


[で、今回、何故、カナコさんがこういうことになったんですか]


事件の顛末をかいつまんで話し、
欲をかいた彼女が納得せず困ったために
爺さんが使った噛ませ犬が私だったと告げた


実際噛まれてるので笑い話ではないのだが



[その噛まれた場所というのを撮影しても良いですか?]


ああ、はいとTシャツの腕をめくりあげて見せた
色が変わりだしていて 婆の歯形がくっきりと見えた


[痛そうですね]

警察官が顔をしかめて言った


そりゃー噛まれましたから痛いです 
なんか腹とかもざくざくやられてちょっと痛いんですよね」

掴まれねじられた腕や指を突っ込まれた右目、蹴られた足
実際満身創痍状態だったがやむを得ない


[結構やられてますね]


「そうですねぇ」


その際に気になったことを告げた


「あの人、なんていうか慣れてましたね」

慣れてましたとは?という問いに


「人ってどんなに憎しみあってたとしても
最初人を殴る際には躊躇したりするもんですけどね
彼女はまったく躊躇しないで殴ったんですよ」


ああ、この人そういうのに慣れてる人なんだなと
そう思いました と告げた


「あと、あいつ、入れ歯じゃないんだなと(苦笑)」


これだけ歯形がつくのだから歯は丈夫そうだ

写真撮影をしたいというので
細かい部位なども面倒なのでTシャツをめくり上げようとしたが
面倒なので脱ぐ事にした


が、警察官があわてて


[女性警察官呼びますから]と静止した


そりゃー仕事とは言え、

オバハンの身体は見たくないわな!

(そんなことは言ってません)


そして代理であの【オリヅメ】ちゃんが入って来た


面倒だったのでそのまま下も脱ぎ


ぱんつ一丁のままで何枚も撮影されるワタシ



ハハハハハハwwwww
この年で 何してんだwwww


そして真顔になる


その際、壁に手を付くと

腰壁から上の壁がフワフワしてる事に気づいた


へー、なんか緩衝材入ってんだなぁ

なんでだろ・・・

暴れたりした際に怪我とかさせないためかなぁ


(後日気づいたのだが、
取り調べ室が複数並んでいるので防音の意味もあると思う)



「Tシャツをですね」


[はい]


「あんまりにもグイグイ引っ張られるんで」


[はい]


「ああ、このままじゃ破れるなぁ」


[はい]


「アタシ、このままじゃ 警察来たら」

[はい]


「乳とか放り出したままで説明せなあかんかと思って
 超ドキドキしたわぁ」

[はい]



笑えよ! 渾身のギャグだぞ?


だからクラス委員タイプってこれだから、、、
真面目って嫌ね


クラス委員が去った後

今度は中堅どころの警察官(男性)がやってきた

そしてまた最初から色々と(ry


ああ、めんどくさい

そしてまたへらへらと話す その繰り返しを数回行った


[あ、奥さんなんか警察詳しいっすね]


「あー【オリヅメ】好きでよく見ててぇー」


[あー、アレよくできてましたよねぇ]


「なんかすごく警察のイメージよくなりましたよー」

[そうですかぁ?(笑)]


何度かこのネタを使いまわす

【オリヅメ】さまさまだ


そして30代くらいの男性が入って来た際
その単純ルーティンが崩れた


なんていうか 彼は最初から好戦的な様子だった

ワタシが嫌いなタイプなのか、
知人に似た嫌いな奴がいるのかはわからないが

最初からお前は何様や的なオーラが出まくっていた


[もうそれ、その場で揉めないで
行かせたら良かったんじゃないですかね]

[あの路面で足払いとかしたら危険ですよ怪我させちゃう]

[年配者に配慮のない、可哀想に]



フーン、そういう事言うんだ

ヘー、そういう事言っちゃうんだ



ま、キミ、たぶん先に彼女の意見聞いてきたんだろ?
人間ファーストインプレッションってなかなかキツイもんなw
はいはい、暴力女にはそんな扱いで良いんだもんなw


よしよし、わかったよ 

オバちゃん反撃していいすか(笑)



「その場で揉めないで 来なきゃ良かったんじゃないですかね?」


「電話で来るなと言われて、なのになおかつ何度もやってきて

その都度人の顔見るたびに逃げて」


「挙句にストーカーのように何度も周回して伺って」


「で、こちらは家の敷地に入ったら捕まえようとしてて待機してたのに」


「わざわざ遠くに車止めた状態で家の前で息子さん襲って揉めて」


「話し合いしましょうかって言ってんのに
人の顔見ていきなり殴りかかってきて」



「そんな人間をそのまま放置しておいて、合鍵持ってる疑惑もあるのに?」


「爺さんが金持ってる事も良く知ってて、
それに執着してての行為だともわかってて」


「それで逆上して爺さん殺して火でもつけられたら、

あんた責任取れますぅ?」


何のために何時間もそこで雨に濡れつつも
張り込みしてたと思ってんだよ
人の命の危険性もあるからだってわかってんのかよ

普通の神経の婆なら日を改めるだろうよ


だけどこいつは諦めないんだよ わかってる?



そういうと他の警察官に言葉を遮られ

彼は別の警察官に挿げ替えられた

今までの和気あいあいモードとはうって変わって
不貞腐れモードで受け答えを続ける


[なんか用事があってきたらしいし、本人に会いたかったらしいんですよ]


婆は薬を持ってきていた

そしてお兄ちゃんにその薬を握らせて

【これはタッちゃんの薬なの!渡さなきゃならないの!】

だから会わせろとねじ込んだらしいが

そんなもの危なくて飲ませられない


(その薬の事実が後日判明して皆驚愕する)


「へー、でもその本人がもう一切会いたくないって言ってて
用事なんかないって言ってるんだからしょうがないですよね」


ストーカー事件でも別れた旦那が用事あるって言ってきて
刺しちゃうケースもそういう時ですよねぇ」


「で、そういう時に限ってそちらはいつも
先に相談してくれればとか言っちゃうんですよね」


「死んだら2回目はないんですけどね」



まぁまぁとなだめられたが 

考えたら私がここに居る理由も含めて


全部
 

ワシ関係ないがな!


って事に気づいてしまった(遅)


そりゃー不貞腐れもしますわ

そして真顔になる



もう、誰が来てもにこやかになんかしてやんないと思った矢先

一番最初の警察官が入ってきた


[カナコさん、この書類をねー、書いて欲しいんですけど、、]


「おw なになに、どこに書けばいいの? 何でも書くよ(嬉)」



この違いである


どこに差が? 顔だ 

この警察官、若く俳優の生田斗真に似ている

つまり非常にカッコよいのだ

たとえオバハンと言えど
むさ苦しいオッサンとこんな場所にハコヅメは嫌だ


いやぁ、カッコいいわぁと見てると
淡々と書類の説明をする生田斗真(似)


[つまりですね僕聞いただけではカナコさん悪くないんですけど…
相手もそう言ってる事もありましてね]


「いんや、それはしょうないよ 
目撃証言っても兄ちゃんのくらいしかないし彼はこっち側だし、

あれで兄ちゃんがもうちょっと気が利いて
持ってた携帯で動画でも撮影しててくれたら良かったんだけどね」


「何より、婆さんを後ろから抑えてくれれば
噛まれなくて良かったのにねー」



笑う生田斗真(似)


ほんとそこなんだよなぁ


警察は相手とお互いに怪我をした、
怪我をさせられたという書類を書いて欲しいという事だった

ま、そうなりますわな


痛み分けと言えば聞こえがいいが
譲れない1点があってそこを聞くことにした


「今回こんな事になったきっかけの
相手のお爺ちゃんの家ですが、
本人が嫌がってる以上、彼女は訪問できませんよね?


[一応、本人はあって話をしたいの一点張りでしたが、
相手が嫌がってる以上無理強いはだめですよと言ってあります]


それを聞いて大きくガッツポーズする私

よし、生田斗真(似) 
さすがはイケメンや いい仕事する

きょとんとした顔の彼に

「いや、言わば警察公認の接見禁止令が出たようなもんなんで つい」


ああ、と頷く彼


「夜になっちゃったのに、皆さんには本当に申し訳ないです 
あの批判してきた1名を除き 本当にありがとうございます」


[なんか心の声が聞こえた気がしますが、聞かなかった事にします]

 さすが生田斗真(似)  性格もイケメンや


そして書く書類


えーと名前と住所とー、、、


あれ、書類、なんで折られてるんだろ

ピロッと裏返す


[ああっ、ダメっ]


あ、下の欄に婆の署名と住所と書いてあるのね、 
オッケーオッケーw


[見ちゃダメですよぅ]


「見えなかった事にします っていうか
婆さんの住所・氏名・電話番号全部知ってるんで問題は薄いです」


「でもゴメン、オバちゃん、迂闊やったわ」

つうか、そうならないよう、もうちょい考えようよ

警察さんもさぁ、、なんかこの紙薄いよ?


なんかアナログだよねぇというと深くうなづく生田斗真(似) 


[えーとですね、この後、お迎えに誰か来て貰う事になるんですが、、、
親族の方とか友人とか旦那さんに連絡…取れますかね?]

「あ、旦那、携帯持ってないんで連絡無理です」


[おうちの電話は?]


「家の電話ないです そういう家最近よくあるみたいですけどね」


頭を抱える生田斗真(似)


[じゃ、誰か友人か誰かで]

一瞬、M女氏の顔が浮かぶが 時間が時間なので打ち消す

(Twitterで告知してた為
M女氏は呼び出しがあるかもと思って
自宅で待機してたそうだ・サンクス)


「あれ、そういえば現場の警察官さんが
お兄ちゃんの車で行ってお兄ちゃんの車で帰ればいいんだよって、、、」


あー、、、という空気


どうやらお兄ちゃんが
身元引き受けの為の書類を書いてくれるようだ


そしてふと気づく


「これって、あちらさんも同じですよね
つまり親族が来ないと帰れない・・・」

[そうなりますね]


うおし!!! やったwwwww


息子の耳に入れるのだけは嫌がってたので
なんでこうなったのかっていうやり取りがあれば
まだマシになるだろう


オラわくわくすっぞwwww

ま、息子が公認で婆に勧めてなきゃ別だが(汗


さぁ、書類も書いたし、、、帰れるのかなと思ったが


さすがは日本の警視庁が誇るダンジョン

まだまだクエストは残っていた


「今度はなんだよぅ」

[えーと、、、ですね 写真と指紋をですね・・・]

あー 一応書類送検みたいな感じだから
写真と指紋取るのね・・・

「あーはいはいOKOK いいよなんぼでも採って」


警察官はきょとんとしている

[あれ、すいません 皆さん結構嫌がるんで…なんか]

「え、別に悪い事してないしいいよ全然OK 
この先もする気ないし」


[すいません、そういってもらえると]


「私が身元不明の死体で見つかっても
ちゃんと見つけてくれるんでしょ(笑)」



そうなんだけど、そりゃそうなんだけど、、、という
苦笑いの警察官

取調室を出て警察官に連れられ
また細長いダンジョンを歩く


小さく区切られた部屋が何個か


見れば「捜査◎係」と書かれている

おお、あの有名な(笑)

へー、1係だけじゃないんだなー
そういえば1って殺人とかの凶悪系なのかな

ま、今回には縁ないけどね


そう思っていたら


モロに【捜査一係】と書かれたドアを開けられ

[あ、入って下さい]と促された


マジ?

そして真顔になる



捜査一係に入った印象は


「狭っ」

だった

なんか書類が乗った机が向き合っていて
後ろを通るのも難儀しそうな感じ

え、なんで?新築したばっかだよね?
そういうの計画しない建築なん?


しかも机と机の間には
薄いビニールシートが吊り下げられている

ソーシャルなスタンディングに配慮って奴かしら


その割にはあんま美しくない 


その部屋のその隅っこにこちらですと促された先には
何やら機械類と撮影のためのブースがあった

あー、あれだな、外国でいうとこの
自分の名前とかもったプラカードもって
身長の線のところに並んで撮影するアレか


プリズンブレイクとかで見たわー

記憶の小箱の引き出しがぽんぽん開く

どうも鑑識のほうの部屋は婆が使ってるので
私がこちらに回されたらしき事を会話から拾う

・・・って事は(笑)


「もしかして、相手側さんもコレ今させられてるって事ですか?」


[そうなりますね] クラス委員の彼女が言う


うぉし!!と思わず小さくガッツポーズすると

写真撮影の係の警察官がどうして??と驚いて見せる


「いや、このめんどくさいやり取りを

彼女も延々させられてるって聞いたら
そりゃー少しは溜飲下がるでしょうや(笑)」

「それにこれをまたさせられると思ったら
再度ばかなことをしようとか思わないでしょ普通の人は」

そう言うと小さくうなづいた


「さぁさっさと撮影して帰りますよー」


お前何様やねんと撮影する警察官が苦笑している


[えーと、撮影の前にですね、、、身長測ります]


見れば身長計が置いてある


「海外だったら後ろに大体の身長線書いてあるんですけどね」


素直に乗って身長を測ってもらう


・・・

そして、、、気づく


「まさか・・・」


[まさか?]





「体重も測るんですか!?」


[あ、体重、、測りたいんですが、、、]


だよねーーーーーーーーーーーーwww


そうだよねーーーーーーーーーーwww



「いっそ殺してーーーーーーーーーwww」


本気でジタバタする私


[だ、、大体の重さ、、、自己申告で行きますか]


えーとえーとえーと




「40キロです(キリッ)」


[はい、ちゃんとお願いします]


えーダメ??ダメなん???

ざっくりで良いってさっき言ったじゃんwwwww



「えーと大体◎㌔くらいデース」


[あ、そんなもんですか??]




「公文書偽造でもなんでも
とって下さいよっ!(血の涙)」

ここにきてなんでそんな辱めをわしが受けねばならんのか


[まぁそうしておきますけどね]


納得しろよwwwwwwwww


ひでぇなwww


可愛く
キティちゃんみたいに「リンゴ3個分」とか言ってやりゃええのか!


魂の抜けきった状態

はい、こっち向いてーで


何パターンも撮影されるワタシ

横向いて 45度の角度で さらにそっち向いてとか


ああ、コレ、もしどっかで何かあっても
コンビニの防犯カメラからでも


[ぬ、何時にカナコが●●買ってったな]とか


分かっちゃう奴ですね やだわぁ、監視社会~~~


ま、何もするつもりもないので関係ないけど(笑)


「そいや昔も写真こうやって何枚も撮られたなぁ」

[え、なんかあって撮影したんですか?被害とかで?]



「いいえー、



昔、鳥に似た名前の宗教の潜伏犯と間違われて
朝の5時から家の周りを40人近い警察官に包囲されて
挙句に上が納得しないと困るからって理由だけで
何枚もパシャパシャやられてねー腹立つったらねー
どうして内偵とかナシで来たんだか馬鹿じゃねぇっていうか


ま、長くなるんでザックリしか言いませんが」


そして真顔になる私



[ぉ、ぉぅ]

じゃ、、、じゃあ、、、と

今度は指紋を撮られる

「へー今は全部デジタル化してるんですね」


機械のガラス面に押し付けて何度も撮影する

指、指の横、指を回転させつつ

1本1本を丁寧に撮影する

上手く撮影できないため
何度も何度もガラス面を拭き取り
撮影は続く


[えーと手のひらもお願いします]

「ああ、掌紋って奴ですね」


[詳しいですねー]


「ああ、【オリヅメ】とかで見ました、あと列島警察24時とか」


[あー、【オリヅメ】ねーあれはよく出来てるよねー]

ずいぶん視聴率いいな 警察内部で


そして左右の指紋と掌紋を何度も撮影されるワタシ


[はい、お疲れ様でしたー]


「いいえー、どういたしまして!」


[元気ですねー]


「ああ、これで万が一、身元不明で見つかっても安泰ですよ はっはっは」


[縁起でもない(汗)]


「ちゃんと見つけてねーはっはっはw」


そして真顔になる私


やっと
[はい、お帰り下さっていいですよ]
の声を聞いて警察署のロビーに向かったら


ベンチでお兄ちゃんが小さくなって眠っていた


「お兄ちゃん大丈夫?運転できそう?」


声を掛けるとお兄ちゃんは慌てて飛び起きた


『だ、、大丈夫!カナコちゃん大丈夫だったか?』

別になにもされまへんでしたがな

ちょっと辱めを受けただけで(苦笑)


『俺な、身元引受人の欄に


親友 って書いたからな!
親友だからな!俺達!』


えー、それ拒否権無いんですか・・・


さぁ帰ろうとして車に向かうと


高級車が停まっているのが見えた

『あれ、たぶん婆の息子だぞ』

お兄ちゃんが言った

へー、挨拶しちゃおうかなwと言う私に
お兄ちゃんは慌てて止めた

『ダメだダメだ帰るぞ』


車に乗り込もうとすると


いかにも武闘派と言う風体の警察官2名がこちらに来た


[一応ですね、ご自宅に戻った際に
身分証明書を確認したいので同行します]


との事だった


現場には婆の車が置きっぱなしなので
婆が乗り込んで去るまで監視するつもりだったと告げると


[我々もその指示を受けていますので
今回カナコさんは身分証明を見せていただいたら
そのまま就寝されて結構ですので]


また再度揉められては・・・そう思うのは当然だろう

かくしてまたお兄ちゃんと一緒に
パトカーの後ろをついて走る

旦那はどういう風に聞いたのだろう

今の今まで忘れていた家族を思い出す


ま、彼の事なので

「おかーさんどうしたんだろー」くらいで

終るんだろうな とも思った


家に帰ったら
玄関が無施錠のままで放置されていた

たぶん私が出た時のままなのだろう


家に入り猫達に挨拶を済ませ
カバンから身分証明書を出し提示した

撮影していいですかと問われ許可し


撮影していたら
旦那が後ろから玄関を覗き込んで叫んだ

「え、なんで警察?!どしたの???」




聞いてなかったんかーいwwwwwww


俺達はマブダチになったんだと
うるさいお兄ちゃんを家に帰らせ

どこから説明していいのか

そして「教えとくね」と言った近所の婆はどうしたのか

そういう事が混乱と共に流れ込んできた




とにかく眠たい
時間はもう【明日】になっていた




PCを立ち上げTwitterで報告した


「恥ずかしながら帰ってまいりました」と


真顔になりながら


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*賢者タイム*


あの怒涛の1か月が過ぎ


婆に噛まれた腕は真っ黒に腫れあがり
牛のタンか鮑のようになっていましたが
1か月程経った為だいぶ薄くなりました


旦那に知らせに行った筈の近所の婆さんは
実は旦那に知らせてなかった疑惑があったのですが
玄関の鍵が開いてたため玄関に入り
大声で呼んだのですが、
旦那が起きなかっただけと判明しました
本人はいたくショックを受けていました

私に際しては
「おかーさんならそういう事あっても
しょうがないと思う刺されなくて良かったね」
だけでした

あの事件の際に
噛んだ婆が渡した薬は
実は以前お爺ちゃんが
病院から貰った下剤を婆に譲ったもので
車の中にあったために
「会う理由に使える」と思って
使われただけのものだったようです

つまり会う必要性はなかったという事です

そしてあの婆が
爺ちゃんに手を挙げていた事も
後になってから判明しました
曰く男性なのに女性に殴られたと言いづらかったと

爺が良く言ってた
「あれでもあいつもいいところが」というのは
完全にDV被害者の言うそれで
もっと早く気づくべきだったと反省している次第です

あの次の日の昼に
已寺婆は平然と爺ちゃんの家の前を
伺うようにして車で走ってゆきました

警察にはその旨を報告してあります

あれだけの事件を起こしたら
普通は現場に近寄りもしないようなものですが
彼女はやはり常人とは違った精神力の持ち主のようです

ここ数か月何度も彼女が
お爺さんの家の前の道路や
お兄ちゃんの家の前などを通過していくのを
何度も目撃されています

お爺ちゃんは社交ダンスのサークルを休み
今は仲の良かった友人らと
カメラの撮影などをして楽しんでいます

たまに散歩などに付き添いますが
婆によく似た車を見かけるのは
きっと気のせいだと思います
メモっておきますが・笑

それでは皆さま
どうかご無事に平穏にお過ごし下さい


果哉屋 叶子拝


ゾンビ婆に噛まれた俺は異世界で賢者してきたんだけど話聞く?
前編・後編 これにて終了です


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