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メキシコ #2 / 幸せまでの距離


いつもは大型リゾートには泊まらないけど、今回はギリギリのブッキングだったのと、カンクンにはこういったホテルの中でなんでも済むようになってるところが多いからそうした。

私達のホテルは“ホテルゾーン”と呼ばれるところになって、周りはとんでもない別荘か、ホテルしかなかった。街も見たいなと思ってエリアに迷ったけど、長旅になるから疲れているだろうし、せっかくならビーチフロントにしようとこのエリアにしたのだ。

トゥルムまでの移動もそこそこあるし正解だったと思う。朝の散歩を早々と切り上げて部屋に戻り水着に着替えて本格的にビーチへ。

本当に信じられないくらい海が青くて、砂浜が白かった。ヤシの木の陰にベースを構えると、風で揺れて葉の隙間から太陽がキラキラしてる。

日常がどんどん遠ざかっていった。本を読む気にも音楽を聴く気にもならず、ただただ風の音を聞いて、海を見つめて、ぼーっとした。

東京にいるとこう、“なにもしない時間”が異様に少なくて、性分なのかマッサージ中まで写真や動画を編集したり、仕事のメールを返したりする私には、心にものすごい栄養を与えているようで、慣れるまで少し時間がかかった。

海は思っていたよりも冷たかったからビーチベットでゆるゆると過ごし、しばらく経ってからプールに移動して初めての入水。優しい風にヤシの気の葉が揺れて、水面がキラキラしてた。

こういうところに来ると、「私なんで東京住んでたんだったっけ?」って純粋に不思議になることがある。それはもちろん生活があるからに他ならないんだけど、本気を出せば生活のベースを変えることは不可能なことじゃない。

住みたいところでやりたいことをやるのが僕 / 私の幸せだと言って、実際にそうしている友達がいるし、私は自分のプライオリティーがはっきりしている人ほど幸せまで距離が近いと思う。

こうやってゆっくり過ごすと、普段自分が忙しさを言い訳に見過ごしている感情と向き合うことになって、液体のように思考が動く。

特に何もしないで数時間が過ぎ、部屋に戻って互いに仕事をし、バルコニーで外を眺め、ルームサービスをつまむ。とても静かで穏やかな時間。

昔 旅にくると1日の時間がぐんと伸びる理由を探ってみたときに、きっと無意識でいる時間が短いだからという答えにたどり着いたことがある。

こう全部吸収しようと、何かを見逃したりなんかしないようにと、注意深く過ごしていると、世界はもっとずっと魅力的になる。

夕方からダウンタウンに行くことも考えてたけど、ここは欲張らずにゆっくりしよう。

またビーチに散歩に出た。明日はトゥルムに移動だ。

続く


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