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渡航雑感(05)

その場所は緩やかな谷状になっていて, たくさんの民家が見渡せる. 圧倒される広さがあった.

地面は赤土が剥き出しの部分, 植物が生えている部分, そして斜面を下ったところにある井戸から続く小さな池や川などの水辺に分かれる. 人々は斜面の赤土が見えている道の部分を下り, 井戸に水を汲みに来る. 草地は大部分がゴミ捨て場と化していて, 時折ゴミを投げ捨てに来る人を見かける. 膝下くらいの高さの低木の上は, 洗濯物を平置きで干す場になっていた.

昼前くらい, 毎日おおよそ決まった時間になると川の両端の門のところから牛の群れがぞろぞろと現れる. 牛たちは斜面を上りゴミやら草やらを食べはじめ, いつの間にか帰っていく. 牛の通るところは, 人の道と重なったりするがそれよりもざっくりと広く自由な範囲だ. ヤギを3匹連れて悠々と斜面を突っ切っていく女の人がかっこよかった.

帰っていく. そしてまたやって来る.

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