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マネージャーにならなくても幸せになれるこの時代に、あえてマネージャーになる理由

こんばんは。

今回、私主催で「マネジメントアドベントカレンダー2021」という企画を開催させていただいております。ベンチャー、スタートアップのマネージャーさんを集め「マネジメント」をテーマに1年を振り返る企画です。意外とマネジメントをテーマにした企画をみんなで出し合うってなかったよな...?と思い、本企画開催に至りました。※ここでは経営者の方もマネージャーと呼ばせていただきます。

24人のマネージャーが1年を振り返ります。お楽しみに。(ご協力頂いた皆様、本当にありがとうございます…!!!)

さて、何を書こうかな

2021年を振り返ると、正直前回の入社エントリでほぼ大半を書きつくしてしまった。この1年の中で一番大きいイベントはやはり「転職」だったと思う。

現在有り難いことに、業務執行しながら沢山のベンチャーマネージャーと交流し、これ以上ないほどの成長機会・環境に身を置けている。

ベンチャー企業のマネージャーは、経営者であってもほぼ全員がプレイヤーを兼務している。
私が出会った人たちは「マネージャー」としてはもちろん、プレイヤーとしても十分すぎるほど実績がある人たちばかりだ。では何故、わざわざプレイヤーとしてではなく、マネージャーとして生きるのか。それには興味深い理由や背景があるように感じた。今回は彼等、彼女等にフォーカスを当てて一筆書いてみようと思う。

マネジメントはやらなくても良い

初っ端から「どうした?」となりそうだが、本心でそう思っている。最近ソフトウェアエンジニアの藤吾郎さんがICというキャリアパスについて記事を執筆しており、それを見て自分の中で今まで思っていたことがよりクリアになった。

日本独自の終身雇用制度はもう「当たり前」ではなくなり、ジョブ型雇用もこの10年でだいぶ普及したように感じる。

私達の両親の時代は長い期間を経てジェネラリストになることが求められたようだ。ただ、今は専門性の高い業務ができない(知識が幅広かったとしても)ジェネラリストよりも明確な特技を持つスペシャリストが活躍し、より稼げる時代になっている。

私も過去3年半ほど、エンジニアが半数を占める企業で働いてきており、スペシャリスト集団のサービスの立ち上げの速さやプロジェクト発足のスピードには毎度驚かされていた。身を持ってスペシャリストの凄さを実感している。「創る」プロが会社にいることはスタートアップにとって間違いなく強みである。

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▲前職のスペシャリスト集団の集い(※イメージです)

また、スペシャリストというと市場価値云々の話がよく出てくるが、少なくとも私の尊敬しているスペシャリストは「自分の市場価値をどう上げるか」という観点で働いている人はいない。自分が関わっている会社や事業に対して、最大限のバリューを発揮するにはという観点で、自分の強みと弱みを俯瞰して認識し、その強みに磨きをかけて勝負している。純粋にカッコいい。

何者にもなれなかった自分

2018年ごろのことだろうか。私が30歳という節目を直前にしていた時期である。私は何者かになりたくて必死にあがいていた。何かのスペシャリストになりたかったのだ。もともと器用貧乏な性格で何をやっても(デザインやエンジニアリングを除く)75点くらいは出せる自信があった。

当時創業3年目のスタートアップに入ったこともあり、我ながらスペシャリスト集団と、何をやらせても75点を取れる私の相性はすこぶる良かったと思う。ただ事業が成長し、人が増えてきた時に、「なんでも屋さん」のバリューは急激に落ちていく。90点、95点が出せるスペシャリストがどんどん入ってくるから当たり前といえば当たり前である。

その時に改めて、「自分の価値は?」と自分に問うた。でも、答えは出なかった。

▲迷走した結果、ルームメイトを巻き込んで「冬の海を見に行く」という突拍子もないイベントを開いた29歳の冬


スペシャリストになれと言われても、正直尖ったところがない。とにかく自分は中途半端だなとずっと引け目を感じていた。社外から引きの有るような学歴・職歴・経歴があるわけでもなかった。

必死に事業のために、会社のために働いたが、結局私は「何者にもなれなかった」のである。同世代の起業家やビジネスマンが名を上げていく一方で、中途半端なスキルを中途半端に披露して、中途半端な評価しか得られない人間だった。

当時の自分はまだ若くて、誰かに評価されることでしか自分を奮わせることができなかったのかもしれない。

目の前の仕事に向き合うことでしか価値は作れない

自分は何者にもなれなかった。同時に、何者にもなれない自分をそろそろ許してあげたかった。

そもそも性格が飽き性なのだ。何をやっても続かない、唯一続いているのはLINEマンガで自動でレコメンドされるタイトルに脳死で月数万課金し続けていることくらいで、その他のことはほぼ何も続いていない。オタクという存在に憧れる非オタ。これで何者かになりたいと思っていること自体がそもそも間違っていた。

であれば、もう目の前のことをひたすらにやるしかない。人に関わることが好きで、人が成長する過程を見るのが好きだ。その成長が事業の成長につながる瞬間を見るのがこの世で一番好きと思える。そして、当時十数名のメンバーを持つマネージャーだった。やっぱり「マネジメント」に向き合うしかないと思ったのが31歳を迎えた時だった。

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今の自分で良いし、ダメなところも含めて自分のことが心から好きです

マネジメントって、実は専門職なんじゃ?

私は、今はEVeMという会社でマネジメントのトレーニングプログラムの開発や提供に勤しんでいる。マネジメントと言っても人によって解釈は様々だが、私達は147個のフレームワーク(「型」と呼ぶこともある)としてプログラム提供している。

147個。

自分たちで提供しておいてなんだが、全てを完璧にできている人はこの世にまだ存在しない。よくキャリア相談のシーンでジェネラリストか、スペシャリストかという議論が巻き起こる。ただ、147個の型をフレームワークを習得し、ベンチャー企業ではプレイングも行いながら使命を全うしている人が世間一般で言われる、ジェネラリストというものにまとめられるのだろうか。プレイングを行いながらマネジメントという総合格闘技に挑む専門職に近い印象さえ受ける。

マネージャーが輝ける社会をつくる

冒頭にも書いたように、私が尊敬する「マネージャー」「CxO」の人たちはプレイヤーとして十分に市場価値がある人たちだ。マネージャーにならなくても幸せになれる、この時代に、あえてマネージャーになる選択をしているのは何故か。

もちろん人によって理由は様々だが、「人より偉くなりたい」という気持ちだけで出来るほど簡単な仕事でもない。マネージャーになる理由なんてなくて良い。大志なんて必要ないと思う。ひたすらに目の前の仕事を向き合った時に、もし挑戦できるチャンスがあったら、飛び込んでいくのも一つの選択肢ではないだろうか。「私に出来るかな?」と悩む時間は案外勿体ない。やってみて、足掻いてみて、初めて見える景色があったりするから。

本当に高い成果を出すマネージャーは、自らがそのキャリアを選んでいるというよりかは、より高い頂に到達するために、チームの中で何を求められているか、役割を再定義し続けた結果、その選択に至っている人がほとんどなのだ。たまに組織の話になると「それより事業の話に時間を割きたい」という人がいるが、そもそも事業と組織は分離させていはいけないと思っている。むしろ組織作りは事業作りの一貫だ。

背中を見せるだけがマネージャーの仕事ではない。スペシャリストに最大限の力を発揮してもらう環境を作ることもそうだし、まだスペシャリストとは言えないメンバーの意見も尊重し、あますことなく会社に存在している能力を活かす必要がある。そして、その技術はどんな会社でも間違いなく求められる。そんな果てしない高度な技術の習得に励みながら、日々事業のために、メンバーのために悩むマネージャーは、ベンチャーという業界の枠にとどまらず、日本全体にとって尊い存在であるということを声を大にして伝えたい。

(面倒くさそう、大変そう、そんなイメージが先行するかもしれないが、そもそも仕事なんてものは、どんな職種であっても真剣に取り組めば全て大変なものである。)

会社を10倍、100倍にしていくために羅針盤を作り、多くの人を巻き込みながら果てしないゴールに立ち向かう仕事。この仕事に関わる人が増えるように、そして「偉い」ではなく、彼等も専門性を持った1人のプレイヤーとして輝けるように。そのために心熱を注いでいきたいと思っている。

ちなみに、マネジメント職に挑戦してみた結果、違う道を選びたいと思う人も当然いて良い。冒頭あげたICというキャリアパスであったりスペシャリストを軽視しているわけでは一切ない。むしろ一度挑戦した人はこの仕事の尊さや難しさを一番理解していると思うので、手を取りながら、そういうキャリアを選んだ方にも最大限パフォーマンスが発揮できる環境を作っていきたい。

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▲マネージャー仲間と岐阜県郡上市に行った思い出の写真

今回、本企画に至ったのは、そんなベンチャー企業の厳しい環境にも関わらず、マネジメントの仕事に奮闘している、彼等、彼女達の働き方を1人でも多くの人に知ってもらいたいと思ったから。私は彼等、彼女たちに心底惚れ込んでいるのです。

明日から、またそんなヒーローたち(私は勝手にこう呼んでます)の素敵なエントリーが続々と上がるので、是非楽しみに待っていて下さい。


最後に、、ちょっとだけ、宣伝させてください。

私はEVeMという会社でマネジメントのトレーニングプログラムを提供しています。法人向けも個人向けも展開しているので、是非興味ある方はご連絡下さい。EVeMで働くことに少しでも興味を持ってくださった方も是非!(Twitter DM大歓迎です🙆)→@kanamist_53


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👌個人向けサービス「Emo」 ※第3期募集中です

👌ヒーローたちのインタビュー記事はこちらから


長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。今回は所々感情が溢れ、読みにくい部分が多々あったかと思います。しかし、今私がお伝えしたいことは、記せておけたのではないかなと思っています。

ぜひ今後の記事もお読みいただけると幸いです。
本当にありがとうございました。





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