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高校生が選んだ驚きの研究テーマとは?WBTアンバサダープログラム活動レポート2

※この記事は、日本科学未来館で科学コミュニケーターとして活動しているときに執筆したブログ記事です。【2015年7月16日の投稿】を編集・追記。当時の活動を振り返る”編集後記”を載せて再掲載しています。

【編集後記】5人の高校生は研究の成果を英語でプレゼンテーションしました。当日の様子と研究内容は、マイナビニュースで記事になっています。服部さんは、調査研究の課程で、制服で腸内細菌学会に参加しました。その様子は学会主催者の目に留まり、多くの腸内細菌研究者にお話を聞くことができました。彼女は、素直で周囲のアドバイスをよく聞き、実践しているのが印象的でした。食事の条件を1週間ごとに変えてトータルで3週間、家族6人の便を採取し腸内細菌を調べるという、家族のチームワークに特に驚かされました。東野くんは花王のヘルシアの開発担当者や農研機構の茶カテキン研究者に取材をしました。静岡市立大学の協力を得て、うめぼし、わさび、茶カテキンの抗菌効果を比較する実験を行いました。彼は誰かに助けを求めることなく、一人でコツコツと調査し、質問を考え、計画を立ててじっくり取り組んでいる姿が印象的でした。彼は自立型だったので、細かいところまでアドバイスせず、大筋だけ注意し、彼のやりたいことのサポートに徹していた記憶があります。彼らは現在大学生です。今どんなことを感じ、考えているんでしょう。彼らが将来どんな仕事をしているのか楽しみです。


WBT(ワールド・バイオテクノロジー・ツアー)アンバサダーの研究が本格的にスタートしました!

"アンバサダー"とはバイオテクノロジーと社会との関係を考えるために任命された高校生と大学生です! 

これまで、「バイオテクノロジーってなに?」、「研究する者の心得」などを学び(過去記事レポート1)、ポルトガルとベルギーのアンバサダーたちとも英語でオンライン交流をしました。 

このたび5人のアンバサダーの研究テーマが決定しましたので、このブログでは私がメンターとなった高校生2人の研究内容をご紹介します。

まず1人目は、服部真央さん(高校2年生)です。

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研究テーマはずばり!「腸内細菌と私たちの健康の関係」

「腸内細菌」を意識して、乳酸菌飲料やヨーグルトを摂っている方も多いのではないでしょうか?

「腸内細菌」はヒトや動物の腸内に共生している細菌のことです。

共生って言っても、ほんの少し住み着いてるくらいなんじゃないの~??と思われた方!

いえいえ!

1人の腸には、約1000種類の腸内細菌が500~1000兆個はいると言われています。

一方で私たち人間の体は、約37兆個の細胞でできています。

ということは...

私たちの体の細胞数よりも腸内細菌の数の方が圧倒的に多いということです。腸内細菌が、私たちの体に何の影響も与えてないとは考えられないほどの数です。

近年、腸内細菌に関する研究が進み、腸内環境と私たちの健康が密接に関係していることが分かってきました。

高校生の服部さんも、腸内細菌に関する新聞記事を読んで腸内細菌に興味を持ち、このテーマに決めたそうです!

彼女の研究内容は以下の通り。

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腸内細菌と健康との関係が明らかになれば、私たちの腸内細菌へのイメージや日々の生活習慣も変わるかもしれません。

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九州大学 大学院農学研究院 中山二郎先生に取材している様子

調査には、インターネット、本や新聞を活用したり、腸内細菌研究の最前線で活躍されている研究者の方に取材をしたりして研究を進めています。

2人目は東野昌伸さん(高校2年生)です。

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東野くんの研究テーマは「緑茶成分カテキンの機能と新しい活用法」です。みなさんおなじみ、緑茶に含まれている「カテキン」についてです!

「カテキン」はポリフェノールの一種で、緑茶に多く含まれる成分です。 

高濃度茶カテキンを配合した特定保健用食品(通称トクホ)もあるように、一般的には脂肪燃焼効果があると言われています。

なんとなくですが、体に良さそうなイメージを抱いている方が多いのではないでしょうか?

そこで、東野くんはこんな研究テーマを設定しました!

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緑茶を飲む私たちに対し、科学的根拠のあるカテキンの機能を示し、私たち消費者が正しく商品が選べるようにしたいそうです。

私たちは新たな情報を得ることにより、カテキンを始め、健康食品に対して抱いていたイメージや健康食品の見方がどう変わるのでしょうか。

そして、東野くんがさらに大きな興味を持ったのは、緑茶の意外な使い方でした。

例えば、静岡県の学校では緑茶でうがいをしていたり...

また、緑茶エキスを配合した除菌スプレーもあったります。 

緑茶には脂肪燃焼作用だけでなく、抗菌作用もあります。

緑茶にはもっといろんな可能性がありそう!と東野くんが設定したテーマはもう一つ!

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カテキンと言っても様々な種類があり、それぞれのカテキンで異なった機能が報告されています。 

「一体、どんな機能と活用法があるのか?調査と実験を通して発見していきたい」と東野くんの強い意志が感じられます!

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農研機構 食品総合研究所 山本(前田)万里先生に取材している様子

事前リサーチをがんばっていたので、先生の話に専門用語が出てきても、なんのその!

カテキンの新しい活用法の具体例について、質問を積極的にしています。 

さてさて、いかがだったでしょうか?

紹介した2人の高校生の研究テーマは私たちにとても身近で、関わりが深いテーマです。 

そこで!読者のみなさまに聞きたいことがあります!(当時のご回答者様ありがとうごじざいました) 

□ 腸内細菌環境を意識して、ふだん生活していますか?

□ 乳酸菌食品に対してどんなイメージを持っていますか?

■ 緑茶エキス配合製品にはどんなイメージを持っていますか?

■ 日頃からカテキンを意識して緑茶をどれだけ飲んでいますか?

そして、アンバサダーたちは、8月8日の中間発表にむけて、慣れない英語の発表資料とセリフ作りに奮闘中です。

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