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現代版桃太郎 生誕編 第七話

初めに

小学生編(第六話〜八話)高橋家の登場人物が中心になるので高橋家のみの登場人物をまとめます。

高橋裕次郎 前岐阜県知事、本来なら裕人の父裕貴
      が県知事の後継者になるはずだった。

高橋裕貴  裕次郎の息子、次男。東京大学を卒業
      し、桃太郎の秘書を務めながら次期県
      知事の座を狙っていたが、、

  裕人  裕次郎の孫、幼稚園では隆也、明、
      そして大吾の親友。しかし、、

高橋賢太  裕次郎の息子、長男。裕次郎は裕貴を
      後継者に元から指名していたせいか兄
      弟間の仲は良くない。さらに岐阜県の
      スポンサーである61バンクで勤務。
      さらに次期頭取候補で、桃太郎を影か
      ら操っていた。しかし弟の死をきっか
      けに退職。今は明と大吾の担任をして
      いる。

  周平  賢太の息子、親同士は仲悪かったもの
      の裕人とは大の仲良し。今は南山小学
      校に通い、隆也と仲良くしているが、
      周平との付き合いをきっかけに隆也の
      心情が変わっていくことになる。

小学生ではわからない事

周平の入学式直後であった。今日の事を嬉しそうに話すと父親は微笑ましい一方、少し不安もあった。もまさか周平の友達が自分の生徒とも友達である事は流石に想像できなかっただろう。

賢太『実は、こっちにも裕人の友達がいてさ』


周平は隆也からある程度聞いていたので驚かなかった。

賢太『こっちも裕人の死について聞いてきた。多分周平もそうだよね?』
周平『そう!かなり食いつかれた!』
賢太『子供だから大人の事情って言っておいた。周平もなんとなくしかわからないでしょ?、詳しいことは大人になってからでもいいよ!』
周平『俺も、あんまり言わなかった。秘密にしておいた方がいいかな〜って思ったのもそう。』

賢太『でもね、ある程度のことを知っても絶対に言っちゃダメだよ、、』
周平『けんちg...』

『『『だからそれ以上は知っちゃダメ!』』』

賢太は相当怒った。小さい子供だから声は大きい。つまり音漏れの危険があり、周囲がこれを聞き拡散するリスクを隠すためだ。

賢太『まぁいいよ、、本当に内緒だから』

周平は泣きながら自分の部屋に帰ると、すぐに電話を取り出した。

『あ、高橋です』

『恵です。』

クシナダだ。

賢太『あ、竹の子ちゃんだ!お父さんいる?』
クシナダ『あ、いまいます!変わりますねー』

桃太郎『お、賢太!土曜日の件か?』
賢太『はい!来れるようになりました。』

桃太郎『ほー、、やっぱり君は優秀だね!さすが俺が見込んだだけあったよ』
賢太『いやいや、邪魔なやつは排除するだけです。それに、僕はずっとあなたについて行きますよ』

『弟とは違ってね』

父のそばで聞いていた恵は、強く手を握った。さらに何故か手が震えた。
すると桃太郎は笑みを浮かべながら

桃太郎『クシナダ、土曜日なんだけどさ、大吾君に会えるよ?お前が幼稚園の頃一緒にあそんだ可愛い可愛い子供たちに』

実は 大吾に会える のは高橋賢太先生経由で小学校に呼び出し、隆也と明、大吾を遊ばせる。隆也にはかくれんぼをしようと提案。明が鬼になった時、隆也は大吾を誘導し、拉致する。のちに明も拉致し、裕人に関する秘密を吐かせない計画だ。ちなみにこの計画の後、賢太先生は教師を辞め、岐阜県副知事のポストを用意されると言う小さな子供を利用した残酷な計画だ。

クシナダはこれを大吾が幼稚園の頃から知っていた。父親の秘書として同行していたせいか、父親の秘密についても握っている。当然裕人が死んだ理由についてもだ。

全てを察したクシナダは、

『私、塾があるの。この日は行きたくない。』

当然嘘である。しかしそれも儚く

桃太郎『いや、クシナダに拒否権はないよ。もう塾に休む連絡してあるから さぁ、あんたの好きな大吾ちゃんに空いに行くよ??いいね!!』

声を荒げた瞬間、クシナダは自室に逃げた。その後は窓から抜け出し、厳しいセキュリティーを突破し、クシナダは父の元から逃亡した。そして梅雨前の夕方の空を駆け抜けた。

(小学校から下校中)

明『今度の土曜日、隆也と会うの楽しみだね!』
大吾『ほんとだね!久しぶりだからね!』
明『勉強忙しいだろうね、そのこともいっぱい聴こうか。』

歩道橋を歩いていると、向かい側から艶のある髪の女性。美しさとは裏腹に下を向き、ゆっくり歩いていた。大吾はよそ見をしていたせいかその女性と激突した。

うわっ!!
明『大吾??』

大吾は強く抱きしめられていた。その女性は突然泣きながら

『守りたい、、だけど、、』

明『ねぇ、どうしたの?何かあったの?話聞くよ??』

『『恵先生????』』

明『久しぶりじゃん!!』
大吾『まさかだよ!やっぱり綺麗だ!!』
大吾『あーあ、裕人と隆也がいればなぁ、、』

恵『隆也君とあそんじゃダメ!!!!!!』

その叫び声は、電柱の鳥が逃げ出すほどだった。歩道橋の下にいた人は、視線がこちらに集まった。

恵『話したいことがあるから、こっちにきて』

しばらくして、明の家の前の公園に移動した。

恵『隆也君のことなんだけど、、』
明『なんであそんじゃダメなの?』

恵『君たちはね、、悪い大人に連れ去られるの』
大吾『待って?それと隆也とは関係ないじゃん』

『しかも君たちの賢太先生とも関係があるの』

恵は顔をあげ、明と大吾に何も喋らせないようにした。

『今から私の事をよく聞いて』

『私は池田恵、県知事の子供よ。だけど県知事の実の娘ではないの』

『実の娘とかはどうでもよくて、裕人君の件なんだけど』

『私のパパが殺したの』

二人の顔が固まる

『でも、裕人君が殺された理由はわからない。裕人の父は、県知事が悪い事をしようとしているのを注意したら、首になったの。それでね、その出来事はみんな知らないんだけど、なぜか噂が広まってて、、きっかけで岐阜県知事のお金やものをくれるお友達が居なくなって、、でも小さい子供まで巻き込むのは違うと思う。あれは自殺じゃない!他殺よ!!』

言い換えると。事実は、岐阜県知事、桃太郎が税金を私有化。それを全て運用に回してボロ儲け。さらにはギャンブル代を稼ぐため、詐欺組織を秘密裏に立ち上げ、当時銀行マンであった賢太を利用して裏金を稼いだ。カジノに使えば企業への年金に回す。バレかけた際には金で週刊誌の記事を止めさせる。書いた作者を幽閉する。幽閉に関しては何度かクシナダは見たことがある。前代未聞の悪事を裕人の父が注意、退職して消防士になって間もない頃、何か資金を不正に扱っているのではないかとの噂が流れ、スポンサーが徐々に減る。これを裕人の父がバラしたと察し、裕人一家を抹殺した。

でも流石にこれを言い換えたとしても小学生にはうまく伝えて辛いだろ。しかし明と大吾は理解した。

大吾『あいつ、いつか俺たちの手で』
明『ああ、裕人の仇』

恵は最後に、この話は誰にも言わないように諭した。これを広めれば、次は大吾達の命が危ない。

クシナダにとって大吾はかけがえのない人だから

例え県知事のそばにいたとしても

守りきる使命があるのだ。


                  続く

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