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4月30日は「図書館記念日」

利用案内をよく読みご利用ください。

・端末の前でお読みたい本のタイトル、もしくはあらすじ、本だった時の表紙などを想像してください。

・AIが自動で検索し、該当図書に近い本の候補を提示します。

・お読みになりたい本が見つかりましたら、そのままインストールボタンを押してください。直接お客様の脳にインストールいたします。

・2週間の貸出期間が終了しましたら、自動的に本の情報は削除されます。

なるほど、これはすごいな。あっという間に本を選び借りることができた。物理的な物体としての本が消滅したあとも、データという形で本の情報は残り、こうして電子図書館に保管されている。ただし、脳に直接本のデータを入れる関係もあり、一部脳の電子化が必要だが、我が国の電子脳化もかなり進み、脳一部の電子化ならば20代では90%を超えている。僕もはじめて今日電子図書館を訪れたが、前時代の図書館とはくらべものにならないほど狭い、ビルの1フロアだったので本当にこの場所で合っているのか心配になった。しかしこうして無事に本を借りることができて安心し……

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ぼくは頭をすっぽりと覆うインターフェイスユニットを静かに外した。いや、これはすごいな。これほど拡張現実の世界がリアリティがあるなんて。まるで向こうの世界で普通に生活できるようだった。それに向こうの世界では現実よりできることも多い。今回は試しに本を借りてみたが、次はどんなことをしようか楽し……

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『間もなく閉館時間です。本を借りる方はカウンターまでお急ぎください。繰り返します……』

やべ、新作のSF小説に夢中になって、本借りるの忘れてた。それにしてもこの本面白いな。少し分厚いけどこの重さがまたいいんだよね。表紙のデザインも最高にクールだし。おっと、急いで借りに行かなきゃ。そういえば、僕今日は貸出カード持ってきたっ……

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それでは発表いたします。今年度の人工AI文学賞受賞作品は……
「無限図書館」です。おめでとうございます。

4月30日は「図書館記念日」





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