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10月4日は「古書の日」

この日集まった、「日本こしょこしょ連合会」の人々の数は例年よりも多く、主催者の「日本こしょこしょ連合会」理事で、都内で古書店を営んでいる、ヒルネ氏は喜びの挨拶を行った。

「本日は遠方より皆さまにお集まりいただき、まことにありがとうございます。皆さまが一年間集められた自慢のこしょこしょ本を本日、ついに開放いたします。これだけの人数が集まっているため、開放するときの光景はそれはそれは素晴らしいものとなるでしょう。本日はよろしくお願いいたします」

そう言うとヒルネ氏は深々と頭を下げた。

さて、各地から自慢のこしょこしょ本を持って集まった古書店主たちはこの日のために吟味した、こしょこしょ本の手入れを行っていた。また、一年に一度の古書店同士の交流も兼ねているため、様々なところで井戸端会議が行われていた。

「今年はどうです? 良いこしょこしょ本が手に入りましたか?」

「えぇ、ありがたいことに数週間前にコンディションが良いこしょこしょ本が手に入りました」

「それはそれは、おめでとうございます。開放が楽しみですな」

あちこちでこのような会話が行われていた。

そして、ついに一斉にこしょこしょ本が開放される時間となった。

ヒルネ氏が開放スタートの合図をする。

「それでは皆さま時間になりました。これよりこしょこしょ本の開放をいたします。準備はよろしいでしょうか?」

その声を合図に各々こしょこしょ本を一斉にくすぐりはじめた。表紙をくすぐる者もいれば、しおり紐をくすぐる者もいた。その姿は大変に地味ながらも、それぞれの古書店主の意地とプライドを掛けて見事なテクニックで、そのこしょこしょ本それぞれのポイントを見事に突き、的確にくすぐっていた。

そして、早くもベテランの古書店主のこしょこしょ本は、羽ばたきをはじめていた。

タイミングを見計らって、ヒルネ氏は言った。

「それでは、皆さま。開放してください! どうぞ!」

その言葉を待っていたかのように、古書店主の手の中で羽ばたいて今にも大空に飛び立とうとしていた、こしょこしょ本が古書店主の手を離れて元気に飛んで行ったのだった。数百冊のこしょこしょ本が一斉に飛び立つ姿は、圧巻であり、しばし古書店主たちは見とれていた。

「皆さま、無事にこしょこしょ本は飛び立っていきました。本日は誠にありがとうございました」

こうして「日本こしょこしょ連合会」の年に一回の開放が終わった。

この飛び立った、こしょこしょ本は日本のどこかの古書店に飛んで行き、そこの棚に収まるのだ。あなたの街のよく行く古書店にいつもは見ない本があればそれはこしょこしょ本の可能性が高い。

10月4日は「古書の日」


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