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5月8日は「紙飛行機の日」

家出娘と名付けた紙飛行機は、勢いよく空を飛ぶ。ただし最初だけでもってしかも低空飛行の為、いかんせん高い空の強く吹く風には乗ることができない。

通常営業が低空飛行又低速。

何丁目何番地から村を出て、市を出て、町を出て街を出て、ちょうど隣の街との境にある大きな川に超低空飛行で来た。

この川での主な思い出はバーベキューをしたり、そして花火をして騒ぎすぎて警察がきてみんなで「え? これ逮捕?」って顔になったり、その時のみんなの顔を思い出すと眉毛がほぼ男子女子全員「ハ」の形になっており、その点をもってしてもこのクラスは団結力があるなと感心したものだった。その後、警察から未成年だから補導だと言われて、みんなの眉毛が「ーー」の形に戻ったという青春エピソードを披露。

どう考えても、この思い出の川を越えなければ家出は完遂できないと、ほとんどの人は思うはず。だってまだ買い物によく行くコストコより遠くないもん。ゆらゆら飛ぶ紙飛行機は、世の中的にはいわゆる「心配の種」らしく、道行く心優しき人々は、

「大丈夫かしら、今にも地面に落ちそう」とか

「ママ見て、あの飛行機地面すれすれを生きてる」とか

妙に確信をつく子供にご意見を頂いたりしながら、自分のがっつり生活圏を進んだ。地面に落ちそうになったら、今までの思い出(楽しいこと悔しいことどちらも)を燃料にして進んだ。

個人的にはもっと高い空の上を気持ちよく鳥のように飛んで、鳥瞰のごとく我が生活圏を見るつもりだったが、自分でびっくりするほど高度も上がらないし、地面すれすれで思う家出と現実の家出はまったく違った。

そして燃料が切れそうになり、

当機は間もなく緊急着陸の可能性があり、ホノルル空港行の当機はダサい四畳半のあの部屋に戻り不時着いたします。皆さまシートベルトをおしめください。

ついさっきまでは、ホノルルって英語? が心配事でさらについさっきまでは川を渡れるかが心配事で、でもホノルル行を諦めた今は、あたしのお気に入りの白いスカートが緊急着陸で汚れないかだけがもっぱらの心配事になった。

5月8日は「紙飛行機の日」




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