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9月19日は「九十九島の日」

九十九島には何があるのか、いいや九十九島は実在しているのかというのは、未だにはっきりとはわかっていない。

九十九島から一番近いとされる(これはあくまで憶測で、一島からが一番近いという説を唱える学者もいる)九十八島の住人たちも、九十九島を実際に見たものは少ない。その中でもよく聞く噂では、霧が深くなった9月に九十九島は現れるというものだ。

「霧が深いある9月の日。大きな影が九十八島から見えました。その姿はまるで絵本に出てくる大きなクジラのようで、突然現れて、そしてすぐに消えてしまいました。目撃した人は少ないと思います」

霧に紛れて大型の船でも見間違えたのではないかというのが大方の島民の意見だった。夢でもみていたのではないかと笑うものもいたという。

そこで私は念のため、他の取材メンバーから離脱して、九十七島で話を聞いてみることにした。すると驚愕の事実が判明したのだ。

「九十九島をご存じですか?」

「あんた何言ってるんだ。今あんたが来た島が『九十九島』じゃろうが」

「……?」

そうなのだ、九十七島の島民は九十八島のことを『九十九島』だと思っているのだ。なんとややこしい話だ。念のため九十六島でも聞いてみたが、やはり一つずれていた。

ということは……九十八島で霧の日に現れる『九十九島』とは何だったのだろう。謎は深まるばかりだった。

9月19日は「九十九島の日」


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