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4月24日は「植物学の日」

新しい眼鏡を買った。今までとは少し違って、そのなんというかおしゃれな感じの眼鏡を選んだのは、女性の店員さんの「よくお似合いです」の一言があったからだ。

新しいものを買うと気分が良い。無駄にウキウキしながらいつもなら絶対に寄らない店に入って、いつもなら絶対に買わないものを何度も買いそうになった。その中の一軒に不思議なものが売っていた。
その名も「植物とおはなししよう! plant talk」

説明書を読むと、体温計のような形をしたplant talkを、鉢植えに差し使用しますとのこと。植物が思っていることをplant talkが言葉にします。あなたのお家の植物と会話してみましょう!だそうだ。

普段だったら絶対に買わないが、今はテンションが高い。おもしろそうだと思い、レジへと向かった。

家には観葉植物があり、それに差そうと考えていた。いったいどんなことをしゃべるのか楽しみだ。水がもっと欲しいとか、日当たりが悪いとかいうのだろうか?
それとも、植物は無口で全然おはなししてくれないかもしれないな。しかしどちらにしても楽しみだった。

さて、家に着きさっそくplant talkを箱から出し、説明書通りに鉢植えの土に差してみる。電源をオン。しかし、いくら待っても何の声も聞こえない。別に誰かが見ているわけではないのに、小さな声で「元気?」とか「生きてる?」とか自分から観葉植物に話しかけてもみた。結果は同じで、無言のまま。

うーん、これは騙されて変な商品を買ってしまったかなと早くも後悔。まぁ、そのうちしゃべりだすかもしれないと気長に待つことにした。

その夜、ベッドに入り眠りについたころ、なにやらボソボソと声で目が覚める。だれかが小さい声でしゃべっているような声だ。気味が悪いなと思い、はっとする。まさか、ようやく観葉植物がしゃべりはじめたのか?
plant talkは不良品じゃなかった。しかし、ここで慌てて観葉植物に近づき、観葉植物を驚かせたら、また無言になるかもしれない。
眼鏡をかけ、音をたてないようにゆっくりベッドから抜け出して、静かに観葉植物に接近。その間もボソボソと声がする。これは間違いないぞ。あと少し近づけば何と言っているか聞こえそうだ。

真夜中に静かに観葉植物に接近しているのはかなりの不審者だが仕方がない。ほふく前進に近い状態でついに観葉植物の目の前で、その言葉を聞くことができた。

「その眼鏡、似合ってないよ」

4月24日は「植物学の日」


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