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花と器 #2 アガパンサスと紫陽花

6月、二十四節季の「芒種(ぼうしゅ)」を迎えると雨の季節が始まります。そんな梅雨の頃の花といえば紫陽花を思い浮かべる人も多いのでは。
街角でひょこりと顔を出している愛らしい姿や、雨に濡れて雫を滴らせるたおやかな姿、お天気によって見せる表情の違いを知ってしまうと、雨の日も外に出るのは悪くないのかも、と思えます。
今回は、紫陽花と同じ頃に街の中で見かける花も一緒にご紹介。

草花を知るということは、街や野山で「偶然、知り合いに出会った気分」をより味わえるから不思議。

梅雨の代名詞「紫陽花(アジサイ)」

学名は Hydrangea macrophylla. 
花言葉は、色々とあるようですが、花の色が赤や青に変わることから「移り気」とも。

日本での名前は「アジサイ」ですが、最古の和歌集『万葉集』では「味狭藍」「安治佐為」、平安時代の辞典『和名類聚抄』では「阿豆佐為」の字で登場するのだそうです。
「藍色が集まったもの」を意味する「あづさい(集真藍)」がなまったものとする説が最も有力とされていますが、数千年前の日本人も楽しんだ花ということを思うとなんとも風情のある話ですよね。

そんな紫陽花、庭で豪勢に咲いているからと摘んできて花瓶などで飾っていると、あっという間に萎れてしまいます
原因は「水ぎれ」の可能性
切り口の状態が悪いことで、水分を十分に吸い上げられなくなり水不足になるだけでなく、吸い上げる水分量よりも、葉や花から蒸発する水分量が多い場合、たちまち水不足になってしまいます。
花弁と思われている色のついた部分は、実はガクなのですが、葉も大きく、ガクを含めた花も数多く咲くことから、蒸発してしまう量も多いため、深めの花瓶でこまめに水を足し、花瓶の中の水圧を高めてあげることで水を吸いやすくしてあげると良いと思います。

水切れを防止するための「水切り(※)」のポイントは
①不要な葉を取り除き、②切り口が斜めになるようにカット、③茎の中の白い綿の部分を取り除きます、④さらに、斜めに切った茎を縦に割るように切れ目を入れて。
なるべく水に接する面を増やすように切ることで、吸収率をぐんとあげることができるのでお試しください◎
※水切り:茎を切る際に、水を吸い上げやすくする切り方

街角のひょっこりさん「アガパンサス」

「アガパンサス」、名前はあまり知られていないけれど、実は見かけたことがある人も多いこの花。
梅雨の紫陽花が咲く頃にすらっと長い茎を伸ばして咲く花です。
南アフリカ原産なのですが、アガパンサスという名前はギリシャ語で「agapa(愛らしい)+ anthos(花)」という意味。紫君子蘭(ムラサキクンシラン)とも言います。
花言葉は「恋の訪れ」や「ラブレター」。
淡い青や紫の花の色から、少し切なさも感じられる「恋」の花。

街の花壇にひょっこりと咲いている花、今度外を歩くときに探してみてあげてください。意外とあちらこちらでひょろりと長い茎に青や紫の可憐な花をつけた姿に出会えるはず。もちろん、花言葉どおり、告白のきっかけにするのもいいかも。

ここから先は、いけばなの解説を少しだけ。
わたしがいけて先生からご指導いただいた<アガパンサスの一種いけ>の作例を解説します。

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