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20180326 ブイちゃん

また逢える桜ひとひら君にまた
風光る飛び交うことばは美しい
変わらない挨拶をする春の夜
いまわたし田螺のままで恋をする
汗ばんだ少年の見る蝶々かな

糸井重里さんの愛犬・ブイヨンが虹の橋を渡った。糸井さんやほぼ日のファンであるわたしと母は、ブイちゃんのことが大好きだ。ほぼ日の今日のダーリンを楽しみに読んでは、日々の話題にするくらい。

東京TOBICHIには、東京へ旅行するたびに寄った。青山で散歩しているブイちゃんに会えないかな、と思ったりした。京都TOBICHIができたときはとても嬉しくて、わたしは有給をとって、母と一緒にオープン初日のTOBICHIを訪ねた。そこには糸井さんもいた。わたしは思わぬ憧れのひととの対面に、どきどきした。ほぼ日のかたにおそるおそる「…糸井さんいらっしゃるんですね…本にサインとか…いただけるんでしょうか」と聞いた。「だいじょうぶですよ!」と笑顔で言われて、嬉しかった。

糸井さんとの対面は緊張した。緊張しているわたしの横で、その横にいた母は、ほぼ日のいぬやねこの写真を投稿できるアプリ・ドコノコを立ち上げて、糸井さんに見せるじゃないか。「これ、うちのモカなんです。ミニチュアダックスフントで可愛いんです。ブイちゃんのお写真も、いつも楽しみに見ています」

母の思わぬ行動にどきどきしながら糸井さんを見た。糸井さんはうちのモカを見てくれている。そして「モカちゃん、フォローするよ!」って言ってくれた。うちの愛犬・モカのアカウントをフォローしてくれる。わたしは握手をしてもらって「ブイちゃん、いつも見ています」なんてアイドルの握手会のようにどきどきしながらやっと言った。

家に帰った頃、ドコノコのモカのページに、shigesato itoiさんからのメッセージが入っていた。糸井さんだ!「さっき、ママに会ったんだぞ。」とコメントを書いてくださっていた。糸井さんのことば。そのことばを通じて、うちのモカとブイちゃんが、公園で出会ったような気持ちになった。

このときから、ブイちゃんのことがうちでより身近な存在になった。「今日はヨーグルト食べてる」「京都に新幹線に乗って行ったんだって」「チーンという芸を覚えたんだって」と、糸井さんのブイちゃんの写真の投稿を見てたのしく、よく、ふたりで話した。

そんなブイちゃんが、いなくなったなんて。まだ信じられない。わたしたちのように、さみしい気持ちのひとがたくさんいることが、ドコノコや他のSNSでもたくさんいることがわかる。糸井さんはほぼ日のコンテンツやご自身のツイッターで、ブイちゃんの思い出を語り続けてくれている。

大切なひとがいなくなるのはいつだって、とてもさみしい。けれど、そこには確実に残るものがあって。その残るもののことについて、ブイちゃんの思い出を噛み締めながら、その確かに残っていくものについて、ぼんやり考えてしまう。うちのモカに対しても、より愛おしく感じているこの頃である。

ありがとう、ブイちゃん。でもやっぱり、ちょっとさみしいね。

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