夫が昨日も今日も、一日中寝ている。
夫が昨日も今日も、一日中寝ている。
食事もとらないがたまに水分(OS-1)を摂取し、お手洗いも行くこともあるようだけど、とにかく1日中ベッドの中だ。
省エネな、静かで害のない小動物のようだと思う。
OS-1だけで生きているあたり、もしかしたら哺乳類の皮を被った機械みたいなものなのかもしれない。
夫は寝たくて寝ているわけではない。
寝たいのはむしろ私の方だ。
寝ていいよと言われたら、体が痛くなるまで寝続けられる自信がある。
特に二度寝、三度寝で、夢をコントロールしながらうつらうつらと現実と夢を行き来する時間が好きだ。
いや、これは余談だった、本題は夫のことだ。
夫は、年に30〜40日くらい(月に数回)は、丸一日何もせずに寝ている。
寝たいわけじゃない、寝るしかないのだ。
夫はひどい頭痛持ちだ。
夫は、ひどい頭痛持ちで、気圧の影響なのか精神的なものなのか、とにかく頻繁に頭痛が襲ってくるようだ。
ひどい時は、吐き気(実際に吐く)、立っていられないほどのズキンとした痛みにより、ベッドから起き上がれない。
食事をすると吐き気が出るので基本何も食べられない。
脱水になるといけないので、水分は少しずつとってもらっている。
氷枕を頭に乗せて、とにかく、寝る、というか、横になる。
そして早ければ数時間後、遅いと3日後くらいにのそのそと起きてきて、お味噌汁を飲んで、急にお菓子とか食べ出して、普段の暮らしに戻る。
冬眠から目覚めた熊か。
戻るのは意外とあっという間で、拍子抜けするような感じだ。
胃が空っぽのところにお菓子を入れるのはどうなの、、、と思っていたけれど、本人が食べたくて、そして調子が悪くなるわけではないならいいじゃないか、と最近は思う。
かつて病院にも行ったけど原因は不明。偏頭痛だろう、という見解。
私もちょこちょこ頭痛くなることはあるから、やばいなと思ったらすぐ薬を飲むようにしていて、大抵薬が効いて楽になる。
薬は本気で痛くなる前に飲むもの、と私からの助言は彼は無視で、いつも痛くなってから飲んでいて効かない。吐く。効かないと思いこんでいるから飲まない、痛い、吐く。その繰り返し。
夫が頭痛で寝込む頻度が高いので、お出かけはしょっちゅう無しになるし、仕事も休まないといけなかったり、うまくいかないことも多々ある。
楽しみにしていた旅行がなくなったこともあるし、海外旅行中にホテルから出られなくなったこともあるし、登山が趣味だった頃は遠征によく出かけていたから、帰りの車で頭痛になると私が4時間無言で運転して帰る、、、なんてことも度々あった。
そうすると、安易に人と約束ができなくなったり、もしかしてキャンセルしないといけないかも・・・と思うと旅行も予約しづらい。
自営だから仕事は割と気軽に休めるけど、普通の会社員だったらどうなっていたんだろう。頭痛のまま無理やり行って仕事にならないだろうし、有給は使い果すことになるどころか減給かもしれない。
初めの頃は、かわいそう、優しくしてあげたい・・・と思っていたけれど、あまりにも頻繁に起こるので次第に呆れてきた。
周りの人や家族にも「またなの?」「病院行った?」「かわいそう」「薬飲んだ?」「あそこの病院行ってみたら?」「ストレスとかかな?」「旅行とか行けないね」なんて、夫ではなく話をする私に対して100万回くらい言われてきたので、いい加減めんどくさくなってきた。
夫の頭痛によって予定が狂いまくること、関係者に毎回謝らないといけないことにだんだんがっかりするようになり、「体調が悪いのは仕方ないし可哀想だけど、わかってるんだから病院行くなり薬をちゃんと飲むなりしてほしい。私は自分で工夫して治してる。対処しようとする姿勢がないのがイラつく。」と思っていた。もしかしたら本人に言ったこともあるかもしれない。
もちろん年に数回なら、私だって体調不良で寝込むこともあるし、誰だって仕方ないと思う。でも単位が違うのだ。
誰かとの約束に行けなくて、私が代わりに謝る。
お店に夫がいないと「どうしたの?」と聞かれて「ちょっと外出で」と答える。
人に謝るのも、ごまかすのももう嫌だ。
彼のせいで旅行に行けなかったり、予定が変わったりするのが嫌だ。
一時期はそんな風に思っていたけれど・・・。
なぜかいつの間にか、「夫の頭痛は体質だし、仕方のないこと、それも彼の特性として、それが彼の"普通"として受け入れてみよう」と思うようになった。急に達観した私。きっかけはわからない。頭でもぶったのかな。。。
達観した私は、夫が頭痛で苦しんでいると神様の目線でこう自分にメッセージを送る。
「彼は苦しんでいる。そっとしておくのが一番彼にとって良いこと。何事もなく振る舞い、氷枕とOS-1を与え、暖かい部屋を作り、起きてきたら味噌汁を作ること。自分がやるのはそれだけで良い。約束が守られないことで人に謝る必要はなく、彼はこういう特性があるからと伝える。その繰り返しで人はみんな理解してくれる。自分が申し訳ない思いをしなくていい。それが彼の普通であるのだから。旅行だってまた行けばいいし、お金が無駄になるとか、時間が無駄になるとか、長い人生なんだから大したことないじゃないか。」
繰り返し繰り返し、自分に言い聞かせる。
そうすると、夫が本当にただのおとなしい小動物に思えてくるから不思議だ。
「ゆっくりおやすみ。元気になったらお菓子をあげる。大丈夫、きっとよくなるから、今は何も考えず横になっていればいいよ。誰もあなたを嫌いになんてならないし、季節が変わるまで寝てても私は起きるのを楽しみに待ってるよ。」
それくらい、謎の寛大さが生まれてくる。
今はもう、夫の頭痛にイライラしたりは全くない。
月に数日、急に寝込む生き物、という存在として認識したら楽になった。
今日も早速、友人との約束を破ることになってしまったけど、幸い友人も彼の特性をあらかじめ理解してくれていて、「仕方ないしまたの機会にしよう!当日の様子でまた延期しても大丈夫!」と言ってくれた。(優しい)
最近は、気圧の変化によるものかもしれないと自分なりに考えて、アプリで様子を確認するようになったようだ。
今日初めて「危険マークがついていたら少し前に薬飲むようにしてみるね」と言っていた。
何年越しに気づいとるんや、アホか、遅すぎるわ!!!はよやれや!
と、私は言わない。
夫が月に数回寝込んでも、ちゃんと元気に起きてくれる、それが一番大事だから。
自分が楽しいことをしてたらうっかり周りも楽しくならないかな?という気持ちで活動しています。応援してもらえるととても嬉しいです!