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美味しく食べるのに「知識」が必要な食べ物


初めて市販のプレーンのスコーンを買ってきて家で食べた時

「なにこれ、パサパサやね」と思った。


そのあと、試しにいろんな場所でスコーンを買うたびに

「口の中の水分が全部奪われる食べ物だな。」

という認識しかなかった。


だけどいつかどこかで買ってみたときに「少しあっためると美味しいので温めてくださいね」と言われて、「ふ〜んそうか」と思ったけど、家に着いたら忘れて温めずに食べた。

まあこんなもんか(慣れてきたな)という感じだった。


またある時は「スコーンは温めて食べるものなので、こちらの紙に書いてあるように温めてみてくださいね。ジャムや生クリームつけると美味しいですよ。」と言われて、「なるほど!」と思い、初めて「スコーンを温めて食べる」ということをやってみた。

ホカホカで、外はサクッと中は程よくしっとりして、ジャムの甘さとスコーンの小麦味がマッチして、口の中でとろけるようになりめちゃくちゃ美味しかった!


そうだ、わたしがヘコタレながらもいつもスコーンを買ってしまうのは、お店で出されたスコーンが美味しくて、あの味を求めていたのだ。

なんども買うたびに「あれ?お店の味じゃない」と思っていて、でもそのままの味わいにもそこそこ慣れてきた頃だったが、、、やっと気づいた。

温めればいいだけだったんだ。


***


それからスコーンを食べるたびに思うことがある。

ここのお店のスコーンは「美味しい食べ方」の説明が書いてあるかな?と。


スコーンは「美味しく食べるのに知識がいる食べ物」だと思う。

袋を破ってすぐ食べても美味しいクッキーやパウンドケーキと並んで売られている割に、スコーンだけが「一手間がいる」のだ。


もちろん、そのまま食べても美味しいスコーンもあるかもしれないし、別に温めなくてもまずいわけではない。

ただ「本来のスコーンとしての美味しさ」を存分に味わうのであれば、温めたほうがいい、というのは、常識かもしれないけれどどれだけの人が理解しているのだろうか。


冷たいままのスコーンはもパサパサとかたくて食べづらく、味も薄く分かりにくい。

何だかもそもそっとした小麦の塊を食べているように感じることもある。

(最近はそれはそれで好きなのだけど)


なのにトースターで少し温めるだけで、香ばしく、中はしっとり外はさっくりの、紅茶にぴったりなおやつになる。

プレーンのスコーンは味が薄く感じることもあるけれど、それはジャムやクリームをつけて食べるという「前提」であったりもするからだ。

ここにもちょっとした教養とすら言えるものが必要になってくる。


スコーン自体に馴染みがあるか、好きかどうかによって、「そんなの当たり前でしょ」と思う人もいれば、「何それ知らなかった!」という人もいると思う。


「説明がないと本来の良さを伝えられず、説明通りにやらないと本来の良さが発揮できない商品」というものがこの世にはきっとたくさんある。

取説の「正しい使い方」と同じようなものだ。

個人的には「説明書のいるお菓子なんて」と思う部分もあるけれど、かといって全く説明のないままだとわたしのように「味ないやんけ・・・」という印象になってしまうのも否めない。


説明書をつけるのか、

店頭で声をかけるのか、

そんなのしゃらくせえ、いらんわ!と客のリテラシーに委ねるのか・・・


今日もスコーンを温めながら、「お!今日のはなにも説明が書いてない、お客様任せタイプのスコーンだな。どれどれ。」などとチェックをするいやらしい女はわたしだ。

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