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私なんてたいした存在じゃない、と思うことも一つの救い #新社会人

「社会人として専門職としての責任をもて」と入社式でいわれた。でも、責任だけでは潰れてしまう。特に真面目で一生懸命なタイプほど。「私なんてそんなもん、こんなもん」と割り切ることも、職場では必要と最近感じる。

私はいつでも真面目と言われるタイプだった。
授業のノートはきちんととる、寝ない、提出物は絶対に期限を守る、テスト前にまとめをつくって自分なりに整理、テスト期間や受験に向けてスケジュール作り、ひとつも苦手は作らない、どの教科も手を抜かない。
テスト前にまとめノートを友達に貸したこともあったし、きれいに整理して覚えることが勉強だと思ってた。
自分でいうのもなんだけれど、きっちりかっちりな優等生タイプ。
学生までは、テストの点数や提出物への評価、受験合格、または先生から褒められる、というわかりやすい指標があって、
その結果はある意味わかりやすいものだった。

助産師で働き始めた今、私は今もまとめノートをつくってしまう。
たぶんこれはもう自分のクセで、心配になったときにいつでも見返せるように、怖い先輩にきかれたときにすぐに答えられるように、という防衛と不安のため。
でも、この仕事の困難なところは
“新しい症例に日々出合うこと(時に偶発的に)”
“知識で覚えていた項目の羅列はすっ飛んで、目の前の事象を考えないといけないこと”
だと思う。

😭私の患者さん38度に発熱した!なんで?(いろいろ勉強したのにでてこない…そっか感染症の可能性か…あれ、他に何を観察したらいいんだ?あれ、他に何を疑うんだろう)
😭血圧いきなり150台!?どうしよう(妊娠高血圧症候群?あれ、他になにをみればいいの?あれ、だれにどう報告したらいいの)
😭授乳中にいきなりお母さん泣き出しちゃった!(マタニティーブルー?なんて声かけたら関わったら正解なの!?)

日々日々こんなパニックに襲われている。
そのたびに自分の考えを伝え、先輩に指摘され、教えてもらい、自分で復習しなおして、それをまとめたノートを、私は勤務の時毎回持っていくようにしている。

そのノートを2人の先輩にみられたとき、言われた言葉にちょっと傷つき、でも納得した。
🙂「こんなんつくってるの?えらいねえ。絶対テスト前にまとめるタイプだったでしょ」
😗「ほんとえらいよね、私にはできないわ。私そういう子からノート借りるタイプだったもん」
🙂「わかる、私もそっち。テスト前とかに必死に覚えて、終わったら忘れるの」
😗「忘れるよね、でも手を動かしてなんか体で覚えるみたいなね。」
🙂「実習もそう、感覚で覚えてくかんじ。これはこうだったなみたいな。」
😗「だからね、真面目すぎて疲れちゃわないようにね。」

納得したのは、私はこうやってまとめて知識を文字で羅列するのは好きだけど、
たしかにそのように意識が向いて、実際にみたらどうなのか、観察したらどうなのか、のほうに意識が向いていないかも、とふと思ったから。
でもきっとこれは私なりの防衛方法、不安の解消方法だから
真面目すぎない程度に続けていけたら、と思ったりもした。

少し逸れてしまったけれど、 私なんてそんなもん、こんなもんと割り切る大事さについて。
私はたぶん、社会人として、助産師としての専門職の責任として
少しでも覚えたことを忘れないように、新しいことに出会ったら勉強して、ノートにまとめて持ち歩いている。

でも、実際に現場で症例に出会うまでは、出会った「しまった、わからない、やってしまった、どうしよう」とパニックになるまで、穴が開くほど教科書で知識を勉強していたとしても役に立たないし、身についてないと知ってしまった。
それに、実際に出会うまでは結局何もできない。
できるところはここか?とトライしてみてから、先輩に指摘され、正しい方向に導いてもらったことの何度多いことか。

「またこんなこときくの?」と先輩に思われてもいいし
私なんてこんなもんです、教えてください、と飛び込んだ方が、結果的に得られるものが多いと思う。
その時同時に「私なんてダメだ」と落ち込むけれど。

私なんてそんなもん、と思う大事さを、先輩たちが気づかせてくれた言葉はいくつかある。
①😑「自分の勤務内でできなかったらそうやっていえばいいんだよ。皆できる範囲はそれぞれだし、1日で患者さんも全部覚えたりできるわけじゃないんだし。」
ある人の授乳方針へのケアで困っていた時、その日はこれができた、で十分だと教えてくれた。
②😑「夜勤の自立は、自分で受持ち患者の全部ができることじゃないよ。大切なところはきちんと自分でやって、他の人に任せられるところは、頼んでやってもらったり、持ちつ持たれつができることだよ。」
夜勤一人立ちが不安と話をしたときに、こう言ってもらって、本当に楽になった。実際は何を任せたらよいのか悩むこともたくさんあるけれど。
③😑「いままで積み重なってきた家族や本人の問題を、入院の1日で全部変えられないよ
自分ができることを考えて向き合ってみたらいいよ」
真面目な私は、重い問題を抱えた患者さんに気持ちごと捲き込まれそうになっていた。そのとき冷静に教えてくれた先輩の声がありがたかった。

社会人の責任。
100点満点も、期限も、終わりもないものだからこそ
自分なんて、1年目で新しいこといっぱいだし、困ることたくさんあるし、助けてもらうこともあるし、でも自分なりになんとかできるようになろうとしているし
そんなもんなんだから、いいや、と思えることが
とりあえず毎日勤務に行ける自分を支えていると思う。

偉い人でも、たいした人でもない、だから今日も自分なりに一生懸命やろう、と。

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