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インド瞑想旅が私を変えた

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静かに瞑想三昧の日々を送るはずが、次々と非常事態に見舞われた私。ところが、マイナスに見える体験の先に、新たな世界が待っていました。人生を変えたい方におすすめの連載です。
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インド瞑想旅から、無事帰国しました

この年末年始は、インドへ瞑想三昧の旅に出ていた。12月27日から1月14日なので、3週間近い。 この旅は、一言でいうなら「過酷な旅」だった。 会社を早期退職してから7年。その激動の日々を、瞑想のメッカで静寂とともに振り返り、この先の人生に想いを馳せる。 そんな時間になることを想像して日本を発ったはずだが、実際には全く違った日々が待ち受けていた。 「サバイバル」という言葉がぴったりの生活を余儀なくされたのである。旅に出て、ここまで無事を喜んだのは初めてだ。 でも、振り

インド瞑想旅が私を変えた 1|波乱の予感

私は42歳の時に瞑想を始めた。 「このままの自分では嫌だ」「新しい自分になりたい」と思い詰めた末に出会ったのだ。 3年後。私は突然、会社を早期退職した。さらに、その足でインドへ瞑想三昧の旅に出た。 何の計画もなく会社を辞めた私は、ある方の「人生が変わる」という言葉に惹かれたのだ。 あれから7年。本当に人生が大きく変わった私は、この年末年始、再びインドに旅立つこととなった。 思いがけず「過酷な旅」となった、今回の旅。 だが、私を変える、人生の分岐点となる体験だったと

インド瞑想旅が私を変えた 2|想像以上の非常事態

天から降ってきたような気持ちに導かれ、7年ぶりにインドへ瞑想三昧の旅に出かけた私(第1話)。 世界中から1万人が集まって、2週間あまり瞑想するコース。 何が起こるのかと期待を膨らませて旅立ったものの、飛行機が4時間遅れ、いきなり出鼻を挫かれた。濃霧のデリー空港で8時間待つ羽目になったのだ。 だが、この体験が霞むぐらいに衝撃的な出来事が、すぐに私たちに降りかかることとなる。 嵐の前の静けさ早朝の5時過ぎにホテルに到着し、日が昇ってから床についた私。目が覚めたのはお昼過ぎ

インド瞑想旅が私を変えた 3|世界の瞑想者による戦い

瞑想会場に着いたものの、予約したはずのテント(個室の宿)が建設中で、目を疑った私(第2話)。 多くのテントは屋根しかできていない。私たちがいる間には完成しないと覚悟してしまう状態である。 とはいえ、2週間あまりの間、朝早くから瞑想する生活。できれば会場内で泊まりたいところだ。 結局、Nさんと話し、ドミトリー(大部屋)に予約を変更した上で、何とか宿を確保することにした。 だが、私たちは、世界中の瞑想者による熾烈な戦いに巻き込まれることとなる。それは、カオスと呼ぶのにふさ

インド瞑想旅が私を変えた 4|過酷な日々のはじまり

世界中の瞑想者による熾烈な戦いに敗れながらも、何とか泊まる場所を確保した私(第3話)。 だが、軍隊のような狭い二段ベッドが所狭しと並び、100名以上が詰め込まれた、薄暗い部屋だった。 静かに瞑想三昧の日々を送るつもりだった私にとっては、真逆の環境。 しかも、そのような部屋で、思いがけず、世界中の人々と共同生活を送ることになったのである。 それは、過酷な日々のはじまりだった。 不安な船出私とNさんが確保したのは、部屋の奥にあるベッドの上段。下段には既に外国人の二人組が

インド瞑想旅が私を変えた 5|闇が光に転じる体験

静かに瞑想三昧の日々を送るつもりが、真逆の環境で世界中の人たちと過ごすことになった私(第4話) 軍隊のような狭苦しい二段ベッドに、100名以上が詰め込まれた、薄暗い部屋。常に喧騒の中での生活。 心静かに過ごすはずの瞑想会場でも、座椅子や場所の争奪戦に巻き込まれた。 だが、瞑想を続ける中で、次第に闇が光に転じる体験をすることになる。 一方、同じ頃、日本では大きな災害や事故が勃発していた。 それに呼応するかのように、この地でも、日本人に次々と災難が降りかかることになる。

インド瞑想旅が私を変えた 6|思いがけない心境の変化

日本人が次々に倒れ、身の危険を感じる一方で、闇から光に転じる体験をした私(第5話)。 深い瞑想をした後。それまで冷たい態度だった階下の二人が、突然、別人のように温かく私に話しかけてくれたのだ。 自分が良い状態なら、人は本来の姿を見せてくれる。頭ではなく身体全体でそう感じる体験だった。 私はこの先も、光と闇を代わる代わる体験した。その中で、心境が大きく変わっていくことになる。 突然寝込む1月3日の朝。私は突然、起き上がれなくなった。ここに来て6日目のことである。 昨晩

インド瞑想旅が私を変えた 7|マイナスがプラスを生む体験

瞑想会場に来て6日目。突然寝込み、体調がなかなか回復しなかった私(第6話) 高熱は出なかったものの、喉の痛みや咳や倦怠感がなかなか治らない。食欲も戻らず、食事の代わりに果物を食べ続けた。 静かな環境で瞑想三昧の日々を送りたいという願いが叶わなかったばかりか、体調まで崩すことになったのだ。 一方、この頃を境に、思いがけない心境の変化が訪れた。 「これで良かったのかもしれないな」と心から思うようになったのである。 それには、ある理由があった。 ドミトリー生活の変化軍隊

インド瞑想旅が私を変えた 8|1万人で瞑想する日々

過酷な環境の中、体調を崩しながらも、心と身体が思いがけない方向に変わっていった私(第7話) 相手の悪い面よりは良い面が目に飛び込んでくる。一見失礼なことをされても、愛おしくなる。 マイナスな状況が、むしろ私の中にあるプラスの心を引き出したかのようだった。 さらには、髪も肌も驚くほどツヤツヤになった。身体はこの状況を喜んでいるのかと思うほどだ。 同時に、私は瞑想でも新たな境地を得ることになる。だが、ここでも光と闇が交差していた。 1万人で瞑想する日々今回参加したグルー

インド瞑想旅が私を変えた 9|幸せに満ちた、もうひとりの自分

1万人が世界平和のために集まったはずの瞑想会場で、嫌な思いをした私(第8話) 瞑想をするための座椅子や場所を得るのに、流浪しなければならない。ようやく確保したと思ったら、「そこをどきなさい」と言われる。 「これが本当に世界平和のために集まった人たちなんだろうか」と思ってしまう状態だった。 だが、ここでも私は闇から光に転じる体験をする。さらには、大きな気づきを得ることになった。 至福を感じる瞑想ここに集まった人たちは、上級の瞑想の実践者だ(シディプログラムという)。

インド瞑想旅が私を変えた 10|平和は既にここにある

思い通りにならないことが続く中、1万人で瞑想する日々を過ごす内に、大きな気づきを得た私(第9話) 問題だらけの状況が、闇から光に転じる体験を何度ももたらし、私を大きく変えた。 「問題を否定したり、引き起こした原因を探したりする必要はない」 「自分の状態が変わると環境が変わる。問題はその体験をするためのものでしかない」 心の底からそう思ったのだ。 旅の後半。私は瞑想の面でも新たな境地を得ることになる。その結果、考えが大きく変わっていった。 思いがけない引っ越しある日

インド瞑想旅が私を変えた 11|これからの私が生きる道

新たな瞑想の境地を得て、「平和は既にここにある」と確信した私(第10話) 目を閉じるだけで、すぐに「幸せに満ちた、もうひとりの自分」を感じられるようになった。 そのことが、私の考えを大きく変えたのだ。 「平和は実現するものではなく、存在に気がつくもの」 その思いが、全身を覆った。 数日後。瞑想会場で、突然ある想いがやってくる。 突然やってきた想いこの旅が終わりに近づいていた、ある日。 私は夕方の瞑想を終え、いつものように横になって休んでいた。 夕闇が迫る中、瞑

インド瞑想旅が私を変えた 12|今の自分に満ち足りて生きる

突然、人生を変える出会いとこれからの私が生きる道について、二つの想いがやってきた私(第11話) 夕闇が迫る中、瞑想会場の中を風が吹き抜ける。まるで、風と自分が一つになったように感じた時の出来事だった。 多くの体験をもたらしたこの旅も、ついに終わりの刻を迎える。 帰国の日。私は思いがけない心境に至った。 最後の試練帰国があと数日に迫った頃。突然、私の身体に異変が起きた。 つい先程お手洗いに行ったはずなのに、すぐに行きたくなってしまう。どうにもコントロールができないのだ