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神道文化学部のすすめ【神社実習編】

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神社実習は、御神域での合宿であり、実習という名の修行だった— その体験談を通して、神社の向こう側にある世界の一部をご紹介します。助勤(アルバイト)の話もあり。
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2021年11月の記事一覧

神社の向こう側にある世界|明治神宮で禊(みそぎ)の日々 1

私は45歳で突然、謎の声に導かれるように、会社を早期退職した者である。 その後、不思議な体験やさまざまな紆余曲折の末、47歳にして大学で神道を学ぶことになった。詳しい経緯は、以下の連載に書いた通りだ。 だが、「うちは仏教だから」が合言葉の家庭で育ち、神社や神道には人一倍縁がない方だった。 正直なところ、勢いで大学に飛び込んでしまったのである。 そんな初心者も甚だしい私が、入学した年の夏、いきなり明治神宮へ3泊4日の神社実習に向かうこととなった。 「思ったよりも修行だ

48歳、初めての神社実習に臨む|明治神宮で禊(みそぎ)の日々 2

早期退職後、47歳にして大学で神道を学ぶことになった私。 48歳になり、無事前期の授業と試験を終えて迎えた、夏休みのある日。私は、25年ぶりのリクルートスーツに身を包み、朝の原宿駅に降り立った。 手には大きなスーツケース。中には、3泊4日分の装束が詰まっている。いよいよ初めての神社実習が始まるのだ。 駅から歩いてすぐの所にそびえ立つ、明治神宮の大きな鳥居。いつもなら、ここから参道に入る。 だが、今日の私は参拝者ではなく、実習生だ。 手を合わせて実習の無事を祈った後、

神様の前で禊をする|明治神宮で禊(みそぎ)の日々 3

早期退職後、47歳で大学に入学した年の夏休み、明治神宮で初めての神社実習に臨んだ私(第2回) 1日目の夕方、ついに禊行をすることになった。舞台は研修所のほど近くにある禊場である。 禊について禊は、身体を洗いすすぐことで、身についた凶事や罪穢(つみけがれ)を取り除いて清めることである。 古事記や日本書紀で、イザナギが死後の世界である黄泉国(よもつくに)から帰ったとき、その穢を祓うために行ったことが神話的起源とされる。 御神前で奉仕するには、心身が清浄であることが求められ