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劇光仮面と「今一番面白い!」について思うこと 

劇光仮面の最新巻を買って読んだので、ネタバレ有りの感想を書きます。
今一番面白い!とあちこちで言われてた劇光仮面。多分前々巻3巻の終わりから前巻4巻がそのピークだった。

最初から完成形で世の中に出ない、「連載マンガ」には、経過を一緒に過ごすことでみんなで一緒に盛り上がるという楽しみ方がある。
かつてのアイアムアヒーローも該当すると思ってるけど、こういう漫画なのかな?と思ってたストーリーが、読者全員が同じタイミンクで一斉に期待を裏切られる、そこの驚きと先への期待感が一体感として盛り上がって増幅されて、作品そのものの評価が爆上がりする。。、ことがある。(最後まで終わってないにもかかわらず)
劇光仮面の「今一番面白い!」はそういう一体感に裏付けされたドンデン返しによる快感と期待が混ざったところだと思ってる。
だから、へえー今一番面白いんだ〜と思って後追いで読み始めた読者は、じつはその一番面白いの大部分を占める、みんな同時に期待を裏切られたという一体感は味わえず、遅れて体験するので、多分そこまで盛り上がれない。=面白みが薄れる。のではないか、と思う。

いや何が言いたいかって最新巻が面白くないとかじゃないです、言いたいのは、確かに4巻でそこ?!そー言う話なの?!コレ??!!と喜んで興奮もしたけど、それは同時に読んでた読者の勝手な一体感と盛り上がりであって、多分これ最終話まで終わらせた後はこの最大瞬間風速のときほど面白いって言われないんじゃないかなぁ。と。

いや違うんです、面白くないと言いたいのではなく。シグルイの山口先生だから多分絶対最後まで面白いと思うんです。でも、「今一番!面白い!!」の盛り上がり方は、作品全体が面白くて盛り上がるときの評価軸と、ちょっと違うところにあるよなあって。

5巻まで通しで読むと、前巻登場のキャラはあっさり退場する。作者が4巻で明らかにした怪異と、その先を見据えてこれまでの話が構築されてきてることが、わかる。散りばめられて回収されてない気になるシーンがたくさんあるし。どんでん返しは狙ったのかもしれないけど。

なお、これまでの劇光仮面の中で感動したり良いなと思うシーンやセリフはたくさんあったけど、今回はそれらを更新して最高に刺さったセリフがある。
「なんで私がそこまでしなきゃいけないのって思っちゃってる」グサッ。
心から血が流れたかと思ったよ。ヒーローになれなかった不甲斐なさ、でもじつはヒーローになりたくないと思ってる、なる覚悟もなかった自分に気づく。これはきっと凡庸に生きてる全読者、特に女性(凡庸に行きていくことを決めて自身を納得させた女性)のリアルの声なんじゃないか。自分がそう思ってるだけかもしれないけど。。。

そういうわけでやっぱり最新巻もすごく面白かったです。早く続きが読みたいです。


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