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池田菊苗博士とは

この方をご存知だろうか?

日本国民誰もが知っている、料理に欠かせない調味料を発見した方です。功績が認められ特許庁から十大発明家の1人に数えられています。現代を生きる私たちの食生活に、多大な影響を与えた人物です。

今回は、7/25「うま味調味料の日」に関わる科学者の池田菊苗博士(1864-1936)をご紹介します。

人の味覚『うま味』を世界初で発見した科学者・池田菊苗博士
池田菊苗博士はどんな人物?
『うま味』がわかる日本人の味覚
人の味覚『うま味』を世界初で発見した科学者・池田菊苗博士

出典:味の素公式HPうま味発見から商品化への軌跡ー池田菊苗物語 | 味の素グループ


人の味覚がいくつあるかご存じですか?

『うま味』は現在では当たり前の味覚ですが、明治時代には存在が知られていませんでした。当時の世界から認知されている味覚は、酸味、甘味、塩味、苦味の4つだけです。

科学者・池田菊苗博士が、1908年(明治41年)に昆布ダシから有機酸を結晶化させることに成功しました。これがグルタミン酸と言うアミノ酸の一種で、『うま味』の発見です。命名は池田菊苗博士によってなされました。また、グルタミン酸を原料にうま味調味料の製造方法も確立し、特許を取得しました。

そこから約100年後、2000年(平成12年)にマイアミ大学の研究チームが、舌の味蕾にグルタミン酸の受容体があることを発見しました。これにより、人間が『うま味』を感知していると科学的に立証され、世界から認められました。現在では、胃にもグルタミン酸の受容体があることも発見されています。


池田菊苗博士はどんな人物?

池田菊苗博士は薩摩藩士の次男として京都で生まれました。

帝国大学理科大学化学科(現在の東京大学理学化学科)で学び、1896年に助教授となり、1899年に文部省海外留学生としてドイツに留学、1901年にはロンドンにも滞在しています。

ドイツでは、オスワルド教授(1909年ノーベル化学賞)の研究室で学び、ロンドン滞在中は、夏目漱石とも交流がありました。

池田菊苗博士は、ドイツ留学中にドイツ人の体格をみて、日本人の栄養状態を改善したいと考えるようになりました。多くの食べ物を美味しく食べる事ができる社会を臨み、明治時代の日本人の食生活の貧弱さを変えようと奮闘しました。

特許取得後に、鈴木製薬所の代表だった二代目 鈴木三郎助(1868-1931)に事業経営を委託します。鈴木三郎助は、「味の素®」と名ずけて商品展開しました。これが現在の味の素株式会社の起源です。


『うま味』がわかる日本人の味覚

日本は、昆布や鰹節などで出汁をとる食文化です。島国ならではの、魚や海藻をよく食べ、自然の味を楽しむ「素材の味をそのまま生かす」食文化が日本人の味覚を育ててきました。

昆布ダシと鰹ダシを掛け合わすと『うま味』の相乗効果で、『うま味』が強くなります。科学的に証明されており、グルタミン酸などのアミノ酸とイノシン酸などの核酸類との相乗効果によるものです。また、塩分も『うま味』を強めます。

日本人は、昆布と鰹のダシの味と風味を美味しく感じますが、欧米ではあまり好まれないようです。ダシの『うま味』は動物に先天的に好まれる味ですが、ダシの風味は嗅覚が関係しており、風味の好き嫌いは後天的に決まります。幼い時からの食生活が、大きく関わってきます。


海藻を分解できるのは日本人特有だと知っていましたか?

2010年に日本人の体内から海藻を消化する酵素を持った腸内細菌が見つかったと、科学雑誌『nature』で発表されました。日本人は、長年海藻を常食する食文化のためだと言われています。

欧米人には、海藻を分解できる腸内細菌がいないため、大量に海藻を摂取すると消化不良を起こしてしまうようです。

最後に

『うま味』は日本人にとって、切っても切り離せない味覚です。

池田菊苗博士の功績は、現代の食卓に大きな影響を与えました。日本人の貧弱な食生活を、豊かにしたいと言う想いから生まれた調味料。

もし博士が、この豊食な時代を見たら、何を想うのでしょうか。

博士自身は、「学術上より見れば余の発明は頗る簡単なる事柄なりし」と謙遜していますが、日本人の食卓を変えた功績は多大です。博士の人柄が垣間見れます。

同じ日本人として誇らしいです。私も誰かの役に立つ、そんな仕事をします。

それでは、また〜


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