機械仕掛けの街6
昨日の出来事について聞きたいことは山ほどある。
なぜアルファは異常事態に陥ったのか。なぜ記憶抹消をしなければいけないのか。ベタ……というのは何なのか。そして事の発端は何なのか。自身の花のせいなのだろうか。そうであれば謝らないといけない。
星野瞳は一人でぐるぐると考えている。
人間様の家にて、ベッドに横たわるアルファを不安そうに、心配そうに見つめる。アルファの傍では人間様が座っている。昨日の苛立っていた雰囲気は無いようだが、どこか近寄りがたい雰囲気を纏わせている。
「あ、その、私の花のせいでしたら、ごめんなさい。言い訳になるかもしれないけど……こういうことになるとは知らなくて……」
「俺も知らなかった。ただの花が機械人間に危険を及ぼすようなことになるとは。……その花屋の営業は停止してくれないか」
「!!」
当然と言えば当然なのだろう。危険なものは排除すべきだし、販売をするなんてもってのほかだ。
だが、星野瞳はすぐに返事ができなかった。稼ぎなんて関係のない街で、花を全ての民に届ける。それは星野瞳にとっては夢であって成し遂げたい願望なのだ。ただ、その夢が危険な存在とみなされている。その事に素直に追いつけない。俯いて答えを探す。
「すぐにとは言わない、だが、早めに決断をして欲しい」
そう言って人間様は去っていく。
人間様が出ていってしばらくすると、エラー反応を起こしていたアルファが起きていたのか手招きをする。星野瞳はその通りにアルファのそばに寄る。
「ごめんなさい、アルファ。私のせいで病気にさせて……」
「病気じゃない。むしろ目を覚まさせてくれた」
「……え?」
アルファは勢いよく上体を起こすと、声を潜めて話し始める。
「俺たち機械人間は、元々お前たちと同じ人間だったんだ」
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