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ほら、出会いは未来だ

東京のとある場所で、様々な状況で家族と一緒にいられない子どもを一時的に預かる活動をしている。
たとえばシングル家庭で親が海外出張に行くだとか、親が突然入院することになったとか、兄弟に重い障がいがあって親がいっぱいいっぱいになってしまったとか。
いろいろ、いろいろある。
活動をはじめて1年半くらい経つけど、みえないところで孤立しそうになる家族は結構、たくさんいる。

なんで僕はここにいなきゃいけないの?お願いだから家に帰らせて
と叫ぶ子もいる。
なんで私はここから出なきゃいけないの?みんな私を追い出すんだ
と言葉を投げる子もいる。

泣きたくなる。
でも本当に一番泣きたいのは、どう考えてもその子で。

そりゃそうだよ。あなたの言う通りだよ。
あなたは何にも悪くない。だれかひとりのせいでもないし、理由はひとつじゃない。

世の中にはどうにもならないことがたくさんあるけど、あなただけがその小さな体と心でそれを受け入れなきゃいけないはずがないし、それは私が嫌。

私は情けないことにそれを取り除いたりすぐにどうにかする力はないけど、ここにいることはできる、だからここにいる。

いつかあなたの何かになればとか、覚えていてくれたらと思うこともたまにはあるけど、そんなことよりあなたが今この瞬間楽しいとか、心地いいとか、そういう感情でちょっぴりだけでも満たされたらいいと願う。

こないだまで預かっていたあの子と2人でみた映画のエンドロールで流れた曲、私にとってはあの子と過ごした日々の主題歌みたいに思えて、お守りにしている。

人はやがて
消え去るの
すべてを残さずに
綺麗にいなくなり
愛も傷も
海の砂に混ざり
きらきら波間に反射する

今のうちに
旅をしよう 僕らは
悲しみにひらひらと手を振る
窓を開けて 風に笑み
意味なく生きては
陽射しを浴びている

過去 背なに雨
目の前には
まだ知らぬ景色

惹かれ合うのは なぜ
ただ「見て、綺麗」だと手を引いた
海にゆれる 光の跡
消えてゆくのに なぜ
ただ 忘れたくない思い出を
増やすのだろう
ほら 終わりは
未来だ

『光の跡』/星野源

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