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出稼ぎグリーンランド

ムン島に引っ越し、コペンハーゲン街中への通勤が厳しくなったことから、泣く泣く大好きだった職場の王立病院を退職したわけですが、ヘニングは頼もしくも「大丈夫、君が仕事をしなくてもなんとかやっていける」と言っていたのですが。

元家主が下水タンクの整備を怠っていたため、引っ越し早々、庭の地中に埋めてある下水タンクに亀裂が入っており、如何にもこうにもならないという状態が発覚。
こういうことを想定して、注意深いヘニングは配管関係をすべてカバーする保険に加入していたので、まあ、保険が下りるでしょう、とたかを括っていました。

が、ああ言えばこう言う、保険屋の屁理屈で、なんと一銭たりともカバーされないと!その後、元家主とその保険屋、物件売買の際に売り手と書い手が共同で加入する保険屋、訴訟を覚悟で弁護士まで巻き込んで、すったもんだした挙句、それでも損害の半分以下しかカバーされないという事態に。
さらに、ゲスト用の棟にバスルームを作る予定で、その分、下水タンクのキャパシティを増やす計画もあり、修理代も含め、なんと日本円で総額250万円ほどがどどーんと消えました。

 さらにさらに、中庭の雨水排水がうまくなく、ゲスト棟の壁に向かって湿気が篭り、さらに雨樋が壊れていたため、大雨が降ると中庭は洪水状態になっていました。このままでは建物がだめになると、水捌けを良くする配管工事、そしてそれに伴い敷石を新しくするなど、猛烈な速さで銀行のリノベーション用口座の残高が減っていきました。

そんな事情もあって、雀の涙ほどのナースの安月給でしかありませんが、私もまた働きに出ることに。

しかし、王立病院への通勤は厳しい。家のリノベもあるので、パートで週3日程度で働きたいのですが、そんな条件で雇ってくれるようなフレキシブルな働き口、看護業界、特に田舎ではほぼありません。
フルタイムで働くとなると、畑が忙しいシーズンになる頃には厳しいし…。

そこで偶然目にしたのが、グリーンランドでの短期雇用。
グリーンランドはデンマーク王国の一部であり、独自の自治政府を持ち、公用語はデンマークです。
広大な自然と、エキサイティングな仕事内容から、デンマーク人ナースの中にも、グリーンランドに3ヶ月から半年の短期で働きに行く人がけっこういます。

行ったことのある人が「グリーンランドはすごい」とみんなが口を揃えて言うので、いつかはいってみたいと思っていたグリーンランド。2ヶ月くらいの短期なら畑の休耕期だしいいのではと、履歴書を送ってみたら、即採用が決まってしまいました。

そんなわけで、今、南グリーンランドの町ナノータリックに来ています。悪天候のせいで首都のヌークに1泊、コロナのせいで南グリーンランドの州都に5日(テストを受けるため)足止めとなりましたが、ようやくナノータリックの町での生活とクリニックでの仕事を始めて1週間が経ちました。

グリーンランドにはいいものも悪いものも、色んな先入観がありました。ある部分では先入観通り、もしく全然違うこともあったし、ある部分では先入観を飛び越した驚きもありました。
たくさんのインプレッションに溢れる毎日なので、細かく記録に残したいと思いつつ、夜になると疲れ果てて寝落ちしてしまうのがもう歳のせいかアレですが、頑張ってちょこちょことでもこちらで更新していければと思います。

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