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私が写真を撮る理由
「こんな歳でも、あんな風に妻と写真を撮ってもらえるんですか?」
タクシーのトランクからカメラバッグを引っ張り出す私に、そう声をかけてくれたのは、パッと見50代半ばぐらいのタクシー運転手のおじさま。元気いっぱいのカップルさんの前撮り撮影を終え、お2人と一緒にロケ地からスタジオに帰る、その帰り道でのことだった。
その時はお客様と一緒だったので、そのおじさまとはそんなにお話しできず
「もちろん!!!」
ってお答えして、全力で、「写真撮りましょう!」ってオススメしただけで終わってしまったのだけど。
年齢とか
時期とか
場所とか
そういうものは一切関係なく、写真は「撮りたい」と思ったなら撮った方がいいし。
大切な人との「今」をより大切にしたいなら
やっぱり
「今」
撮った方がいい。
*
いつも思うのだけど
「今」は今ここにしかない。
*
「今」大切な人と繋いだ手、明日も同じように繋ぐことができるかどうかは分からない。
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「今」目の前にある大切なものが、明日も目の前にあるかどうかは分からない。
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「今」目の前に咲いている花は、明日もそこに咲いているかどうか分からないし。
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「今」見ている空は、数分後には全く違う表情を見せているはず。
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「今」こうしたいと抱いた想いは、いつか自分の中で消え去ってしまうかもしれない。
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「今」って本当に「今ここ」にしかない。
「今」一緒にいる人
「今」大切にしているもの
「今」素敵だと思った風景
「今」こうしたいと願ったこと
「今」の自分
「今」の想い
自分の身の回りにある全てが、「今ここ」にしかないから、「今ここ」にあるものをきちんと見つめて大切にしたい。
そう思って
生きている。
*
そういう意味で、私にとってカメラはとても大切なもの。
カメラは「今ここ」に在るものしか写せない。
ファインダーからのぞいた世界には、「今ここ」にあるものが沢山写っていて、その中には私にとって「今」大切にしたい人とか、「今」大切にしているものとか、「今」心動かされた瞬間=私にとっての好きやしあわせが沢山ある。
目に見えるものはもちろん、その時の気持ちや、空気の冷たさ・暖かさ、匂い、そんな「今ここ」の目に見えないものも、閉じ込めておくことができるのが写真。
ファインダーをのぞく度、「あぁ、こんなにも沢山のしあわせがあるんだなぁ…」って、カメラは気付かせてくれるし。
カメラは「今ここ」にしかないはずのものを、写真という形として残しておいて、あとで振り返ることができる。
*
毎日せわしなく生きていると、目の前にある大切なものや、目の前にある小さなしあわせに気付かずに、アレがないコレがないって「ない」にばかり目がいってしまうことがある。
過去にとらわれたり、未来の心配をしすぎて、「今ここ」を見失ったりする。
そんな自分を「今ここ」に立ち返らせてくれて、「ある」に目を向けさせてくれる。
カメラを持って出かけるようになって、本当に沢山の”好き”に気付けたし、身の回りにある”しあわせ”に敏感になれた。
「今ここ」に立ちかえらせてくれるのも、カメラと写真。
だから
私はカメラと写真が好き。
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