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無期雇用への転換について_20230926

無期転換ルールとは何か?

労働契約法18条1項の規定では、同一の使用者との間で有期雇用契約が5年を超えて更新された場合、労働者に無期転換申込権が発生します。
使用者(企業)との契約期間が1年の場合は、5回目の更新後の1年間に無期転換の申込権を行使することができます。
有期契約労働者が使用者(企業)に対して無期転換の申込みをした場合、無期労働契約が成立します(使用者は断ることができません)。

第18条(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)
同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。

労働契約法 18条1項

外国人労働者へ適用されるか?

この規定は労働者の国籍に関係なく、外国人労働者にも等しく適用されます。
但し、外国人労働者への適用については、外国人労働者が許可されている在留資格とセットで考える必要があります。
使用者との労働契約を基盤する在留資格は「技術・人文知識・国際業務」や「技能」などが代表的なものになりますが、これらの在留資格は有期労働契約の更新について上限が定められていないので、この規定の対象になります。
一方で、2019年に受け入れが開始した在留資格「特定技能1号」については、有期雇用契約(通常1年)の更新について上限が設定されています。
大前提として、労働基準法などの労働者を守る法律は、特定技能労働者にも等しく適用されるのですが、国は入管法によって、外国人が特定技能1号の在留資格で在留できる期間を最長5年間と規定しています。
「最長5年間」という事は、有期雇用契約(通常1年)を更新できる回数が最大4回までに制限されているという意味です。
国のスタンスとして、特定技能1号の労働者は移民ではなく、期間限定の出稼ぎ労働者という位置付けです。
この為、彼らが使用者(会社)に対して無期転換の申込権を行使できるようになってしまうと一大事であり、それは特定技能制度の意図するところではないということなのです。

非常勤の大学講師

また、大学の教員については、無期転換申込権が発生する時期について「大学の教員等の任期に関する法律」に特例が規定されています。

第7条(労働契約法の特例)
第五条第一項(前条において準用する場合を含む。)の規定による任期の定めがある労働契約を締結した教員等の当該労働契約に係る労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第十八条第一項の規定の適用については、同項中「五年」とあるのは、「十年」とする。

大学の教員等の任期に関する法律 7条1項

この特例により、大学の教員については、同一の使用者との間で有期雇用契約が10年を超えて更新された場合、労働者に無期転換申込権が発生します
大学との契約期間が1年の場合は、10回目の更新後の1年間に無期転換の申込権を行使することができます。
大学の非常勤講師として勤務している外国人(在留資格「教授」)は、原則1年の在留期間しか認められませんが、無期転換を行うことで「講師」(期間の定めのない正規講師)となり、3年の在留期間を目指すことができます。
更に、3年の在留期間が許可された場合には、永住許可申請を行うことも可能になります。

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