神奈川の大学生

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神奈川の大学生

ご覧いただきありがとうございます。現在大学生ですが、文章を扱う仕事がしたいと考え、小説を書いていきたいと思います!ご覧いただけたらコメントでご感想頂けると執筆の励みになります。是非お願いします。

最近の記事

無題

なんだか、カーテンも窓も開けずに、部屋に引きこもっていると、体調が悪い気がしていけない。 読書にものめり込めないし、なんだってする気がなくなってしまう。 「今こそ、文章を書いてやるぞ、綺麗な文章が書ける気がする」なんて、思いながら文字を書き始めると、身の丈に合わない仰々しい文章になってしますから、ひとまずパソコンと向かい合っている次第。 20歳とはなんて不幸なのだろう。 気楽だなんて易々と口にしないでいただきたい。 肩身は狭く、楽観的な印象がひとつだってありはしない

    • 無題

      ただ、ぼんやりと座っていた。 1人でいることの、孤独感と、充実感の、丁度狭間にいるような感覚。 名前も分からない、黄色い花をつけた野草が風になびいている。 梅雨前の太陽を惜しみなく浴びる植物たちの、生々とした香りを鼻腔に吸い込み、身体に循環させる。その後で、一本の煙草にそっと火をつける。 清々しいこんな時間は、犬を散歩に連れている人も多く、まるで私を置物みたいによけて通り過ぎていく。 家でゆっくりと本を捲りたくなり、私は腰を上げた。

      • 歯車

         その街には大きな歯車があった。雲にも届きそうなほど大きな歯車には幾つもの小さな歯車が噛み合っており、街の人々はその歯車の周りに小さな家を建てて暮らしていた。まぶしい朝日が昇ってくると、小さな家々からぞろぞろと人が出てきた。人々はそれぞれ顔も合わせずに大きな歯車を回すための作業に取り組み始めた。小さな歯車に縄をかけて力任せに引っ張る人、大きな歯車に新しい歯車を噛み合わせようとする人、歯車を回す人の汗をぬぐったり水を用意したりする人もいて、とにかく全ての人々がありとあらゆる方法

        • 同窓会

           「一生に一度だから」そういわれて何となく参加した中学の同窓会。私は数少ない地元の友人に誘われて今この場にいるわけだが、やっぱり来なければよかったという思いが頭の中で渦巻き続けている。なんで成人式の日には学校の同窓会というように決まっているのだろうか。20年の人生のうち3年間しか一緒に生活していなかったわけだし、特別この日に集まる必要もないんじゃないかとここに来る前からずっと考えていた。私は元来お酒は強いほうで、少し飲んだ程度ではそんなことも忘れて同窓会を楽しむ気にはなれなか

          珈琲と沈黙

           ぬるくなった珈琲は嫌いだ。酸味が際立って、後味が悪い。私は運ばれてきた珈琲をなるべく早く飲んでしまおうと急いで口にした。彼女は紅茶に角砂糖を2つ入れ、音をたてないように静かにグラスの中を回している。私たちは都内の駅から少し離れた閑静な住宅街のアパートの一室で2年前から同棲を始めた。「天気予報、ちゃんと当たったね。」何となくついていたニュース番組で今日は都心で急な豪雨の可能性があるとか言っていた。家を出たときは小雨であったけど、あまりにも雨が強くなってきたので私たちは一時的に

          小さな1歩(下)

           この週末は気が重かった。楽しい事もあったのだか、頭の片隅に月曜日の作戦があって心が落ち着かなかった。特に理由はないが、野球部のメンバーにも月曜日までは3年生との試合のことを打ち明けないことにした。  月曜日を迎え、朝のホームルームの前にグループのみんなを集めて、3年生とのバスケットコートをかけた試合の計画を話した。みんなは戸惑いながらも賛成である様子であったが、勝弘が心配そうな表情を浮かべていた。「コート使ってる野球部の先輩の1人って伊庭さんだろ?あの人に声掛けるの怖くな

          小さな1歩(下)

          小さな1歩 (上)

           僕は今ピンチを迎えている。今日の献立のカレーに気をとられて全く意識していなかった。サイドメニューにプチトマト入りのサラダがついてるなんて。トマトが出るって知ってれば、よそってもらうときにトマトを除けてもらうこともできた。しかし、僕は配膳の時間に廊下で友達とサボっていたため誰かがよそって僕の机においてくれたのだ。悪い事は重なるもので、今日に限って隣の席で雑食の大林は休みだし、毎日別々の給食班を転々としている担任が今日は僕たちの班のところに座っていたのだった。  今日僕たちは

          小さな1歩 (上)

          死に際 (2111字)

          ふわっと体が宙に浮く。体が空中に飛んで落ちていく寸前、あの瞬間が僕の今までの人生の中で一番長い1秒間であっただろう。「あ、間違いなくここで死ぬんだな。」とはっきり意識させられた。  大学生になったと同時に始めたピザ配達のバイト。原付で街を走るのは嫌いではなかったからこの仕事は向いていると思った。このバイトを始めて既に2年と半年近くたっている。その日は朝からの長時間勤務で最後の1件の配達途中だった。シーフードピザを積んだ僕のバイクは、既に日が落ちて薄暗い住宅街を走っていた。こ

          死に際 (2111字)