無題

ただ、ぼんやりと座っていた。

1人でいることの、孤独感と、充実感の、丁度狭間にいるような感覚。

名前も分からない、黄色い花をつけた野草が風になびいている。

梅雨前の太陽を惜しみなく浴びる植物たちの、生々とした香りを鼻腔に吸い込み、身体に循環させる。その後で、一本の煙草にそっと火をつける。

清々しいこんな時間は、犬を散歩に連れている人も多く、まるで私を置物みたいによけて通り過ぎていく。

家でゆっくりと本を捲りたくなり、私は腰を上げた。

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