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見かけた言葉に沈む

こんにちは。音海奏乃です。
先日見かけた言葉と、思ったこと。
それを、ただ書いていきます。

【一生のうち、自分の作品を好きと言ってもらえる機会は何回あるか】

ぱっと見かけた、文章に目を奪われた。
完全に同じ文章ではないかもしれない。
でも、そう書いてあるように見えた。

自分が、好きだと思ったもの。
自分が、大切にしているもの。
それを、形にして、作品が誕生する。

その作品が、自分の世界から、外の世界へ。
そのとき、どういう言葉をかけられるのか。

好き、という言葉をもらう。
これは、心がふぅわりと、温かくなる。
体験しているから、よくわかる。

好き、という言葉をもらう。
作品を作り、投稿しなくては始まらない。
生きているうちに、あと何回……?

作り上げた作品を、売ろうとしたとき。
誰も買ってくれない、と結果だけを見てしまいがち。
【必要とされていない】
そんな思いが影となり、足首をつかむ。

【必要とされていないのに、何をしているの?】
進みだそうとするたびに、影はささやく。
何度も聞いて、違うと言おうとするが、声は出ない。
【必要とされていないものの、存在意義は?】
ここにいては溺れてしまうとわかっている。
わかっているのに、踏み出せない。

立ち尽くしたまま、震える手を胸にあて、問い直す。
【買ってほしいから、作ったの?】
そう聞けば、首を横に振る。

【好きって言われたくて作ったの?】
そう聞いても、首を横に振るばかり。

【まだよくわかってない】
だから、答えられないのだという。
ただ、問いを重ねて、深く、深く潜る。
どうせ息がうまくできないのなら、沈めばいい。
光の届かぬ深さまで、沈め、沈め……。

青が黒に変わるころ、何かが手に触れた。
よく見てみようと、顔を静かに近づける。

【幸せを届けたい】
確かにそう、書いてある。
これが、一番深いところにある思いらしい。

アクセサリーも、小説も、言ってしまえば単なる手段だ。
自分が、楽しみながらできるだけの、単なる手段。
それで、人が少しでも幸せになれるのなら。
それは、どれだけ幸せなことなんだろう。

幸せな人を見ると、うれしくなる。
「あぁ、いいことがあったんだろうな」
どんないいことがあったのかまで、想像してしまう。
幸せなことがあると、うれしくなる。
胸のあたりが、ほわ、と温かくなる。
あの人も、そんな感じだろうかと、思いをはせる。

その幸せになるきっかけを、作りたい。
そのきっかけは、どちらでもいい。
書いた小説でも、アクセサリーでも。
届いた先の人が、ひとときでも、幸せになる。
わずかな瞬間でも、幸せになる。
そんな時間を、瞬間を届けられるなら。

そのために私は生きていきたい。
そのために私は時間を使いたい。

一番深い場所から見上げた先。
そこには、光だけが自由に泳いでいた。

好きと言ってもらえたら、それだけで幸せ。
そう、思い出させてくれた言葉。
その先を、考えさせてくれる言葉。
出会えたことに、感謝して。

音海奏乃

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