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名前にまつわるエクストラ

こんにちは。きっかけアクセサリーのお店カナ・ノワール堂、店主の音海奏乃です。

今回はタイトルから、だいぶ何かが想像できますね。波止場でさみしそうなペリカンを見ながら、カニは食べに行けても、カニカンは食べられません。

カナ・ノワール堂で販売しているアクセサリーの名前は、今でこそ安定していますが、そこまでにはいろいろ試行錯誤がありました。そんなアクセサリーの名前について、お話していきますね。

見たまま、インスピレーション!

ずばり、これです。見たままの名前を付けていることがほとんどです。だと思った、という人は、よくタイトルを見てくださっていますね。そしてイメージが伝わっているという、何よりのうれしい報告です。

それはさておき、基本的にカナ・ノワール堂で販売しているアクセサリーは、製作したアクセサリーには、見た目どおりの名前を付けているアイテムがほとんどを占めます。

例えば、このイヤリング。

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見た目のとおり、香水瓶のような形をしているから、この名前がついています。コットンパールとカットガラスの色が異なるので、きっと香りも違うだろうな、とイメージしました。実際に、香りはしませんが……。

それから、このネックレス。

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青いガラスの中にはきれいな花の模様があります。このガラスは、日に透かすとまるで海の中にいるような、透明感あふれるブルーが見られます。だから、海中に咲く花。海で咲く花といえば、イソギンチャクやサンゴの仲間が思い当たりますが……その話は、おいておきましょう。

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とまぁ、こんな感じで見た目のイメージから作品名をつけることが9割なのですが、残り1割、違うパターンもあります。それは、「作品から浮かんだイメージ」が名前になる場合です。パッと見では想像できませんが、パーツの名前や意味、使われている色などから、風景が見えることがあるのです。たまに違うテイストの名前があるな、と思ったら、説明文を読んでみてもいいですね。

寄せるか、寄せないか

ハンドメイドをネットで販売しようとしたとき、一番悩んだのはこの「寄せるかどうか」でした。何に寄せるかというと、検索エンジンに、売れる側に、です。ハンドメイドの作品名をつけるときに、「ハンドメイド 作品名」などと検索すると、大体同じような記事があふれています。どの記事も共通しているのは、「検索エンジン対策をしっかりする」ということ。

売れるためには、検索されやすいキーワードを商品名に入れましょう、というところまではわかります。かわいいピアス、よりは、かわいいうさぎのピアス、のほうが検索で出てきやすくなります。そこまではいいのですが、ちょっと腑に落ちないのは、単語を区切る、という部分です。

かわいいうさぎのピアス、よりも、うさぎ かわいい ピアス のほうが、単語として認識されるので、検索対策がしやすいと複数のサイトに書かれていました。理屈は、わかります。機械は単語のほうが学習しやすく、また現代の人は何か検索するとき、単語で区切って検索します。機会に覚えてもらいやすい単語と、検索してもらいやすい区切り。わかります、わかりますが、腑に落ちない……。

個人的な印象ですが、単語で区切るとなんとなく、無機質な感じがしませんか? かわいい うさぎでは、なんか、キュートさが切れちゃっている気がして、もったいない気がするのです。また、検索されやすい単語を使うということは、没個性になりやすいですよね。プリティうさちゃん、では検索する人が少ないから、かわいいうさぎ……。意味は同じなのに、なんか、違う気がする。細かいことを気にしていてはいつまでも進めませんが、何となく、私はこの違和感を抱えたままです。

そして生まれたきっかけワード

その違和感のまま、名前を付けて販売してきましたが、ある日発想を変えてみました。「検索されて売れるため」という表現が何となく苦手でしたが、「検索されてきっかけにつなげるため」と言い換えれば、なんとなく幸せな感じがしました。

けれどやっぱりタイトルを区切ったり、他と同じように見せるのは苦手だったので、説明文の最後に単語を並べてみました。検索エンジンは写真を認識できない分、ワードはタイトルでも説明文でも拾っていくと書かれている記事を見かけて、「それなら最後に入れてみよう」という気持ちになったのです。思い浮かぶ季節やモチーフなど、単語を並べて、それが誰かのきっかけとなっていく。そうして、きっかけワードが誕生したのです。

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まだまだ全作品についているわけではないのですが、一つでも多くの作品にきっかけワードをつけていって、たくさんの方に届けられるようになりたいです。

それぞれでいいじゃない

タイトルにある「エクストラ」という単語は、日本語では余分や余剰を意味するそうです。(てっきり強いとか幅が利いてるとか、そういう感じの言葉だと思っていました。)余分と聞くと、いらないとか、減らしてスマートに、といった考えが多い気がします。それもわかりますが、余分には余分の、楽しみ方があると思いませんか

確かに、作品名のケースでいえば、すっきりとなにのどういうなにか、というのが伝わったほうがわかりやすいです。桜色うさぎのレジンピアスというタイトルなら、色もモチーフも、素材も種類もわかる。けど、その前に、「春を待つ」とか、「うららかな森」とか、付いてもいいと思います。

ハンドメイドの世界には正解もなければハズレもありません。しかしマーケットに出た瞬間から、それは変わります。何があるかといえば、売れるか、売れないか。市場では、お金という物差しで価値を判断するしかないからです。無駄なく、効率よく、最小の労力で、最大の利益を。大学にいたころ、よく聞きました。

誰もそんなタイトルじゃだめだ、とかわざわざ言いに来ませんが、そういう雰囲気があるように見えるのも、市場にいる以上は仕方がないことです。売れなければだめ、売れたらそれは成功。本当にそうでしょうか。もしも、市場がそんな単純なら、苦労しませんよね。私はまだネットの世界ではハンドメイド作家として実績がないので、大きなことは言えませんが、そう思うのです。

そんなわけで、視点を変えて、市場から少し離れた位置で見てみることにしました。たとえ栄養が豊富でも、無理してまで流れが速く、栄養が豊富な潮に飛び込むことはないのです。私にとっては栄養を手にする、言い換えればお金を稼ぐことが一番大切な目標ではないのだから。

無理せず、自分だけの、自分に合った、自分らしいやり方で、広い海を目指しても、いいんです。名前の付け方も、型にはまらず、感じる心を、思いを、浮かんだイメージを大切にしてつけていきたいですね。

長くなりましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございます。同じように作品名で悩んでいる作家さんはいらっしゃると思いますが、どうか、自分らしさを失わないでいてほしいです。あなたのなかにある、あなたらしさを大切にしてくださいね。それも立派なぶれない一つの軸です。

……なんていいながら、実力(市場における売上実績)があれば、さらに説得力あるのに、と思う音海奏乃でした。



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