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酒井いぶき×ヒステリックグラマー『IBUKI YOUTH展』レポート

すごく不思議な瞬間、というのがある。
たとえば思いがけない場所で
思いがけないときに
思いがけない人と偶然会った瞬間。

そこで出会った人と今も繋がっていて
そういう奇跡のような出会いを信じている。


ぬいぐるみ作家・山本ヨーコさんにインタビューしたとき
このようなことを言っていた。
私はそのとき、びっくりしたのだけど
今、同じように思う瞬間がある。

酒井いぶきちゃんを知ったとき
私は彼女を全く知らなかった。
なのに馴染み深くて、嬉しかった。

変な言い方だけれど
もう会えないと思っていた、
あるいはとっくに忘れていたひとを思い出した、
というのに近い気持ちだった。

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酒井いぶきちゃんは、モデルでアーティスト。
オフィス用品のテプラやシールを使った
アート作品で注目を集めている。

どこか懐かしくもありながら
新鮮で独自の世界観。
彼女は22才、と聞いて驚く。

デザイナーでプロデュースも行う
HYSTERIC GRAMOUR 北村信彦さんと
酒井いぶきちゃんのインタビューを読んだとき
共感する気持ちにしみじみ浸ってしまった。
(2019.8.21 news)


いぶきちゃんのことを知ったのは3ヶ月前。
5月の終わり代官山で
山本ヨーコさんのインタビューをしたとき
ヨーコさんは可愛らしい関西弁で楽しそうに話してくれた。

「いぶきちゃんの展示、大阪のポップアップショップに行ったとき、
パリで買い付けてきたステッカーとか並べてはったりで。
20年前、若い頃に探していたものとすっごい似てて。
ちょっとくすっと笑えるような、可愛いレトロな。 」

ヨーコさんのキラキラしたような
嬉しさに包まれる気持ちがわかった。

IBUKI  YOUTH展、
酒井いぶきちゃん × ヒステリックグラマーのコラボレート作品は
昔の自分や友人にばったり会ってしまうような
奇妙ななつかしさを味わえてとても良かった。

「90年代を謳歌した40-50代の子供が今20代。
親子で同じものを好きになるように、価値観が似ているのよ」
とスタイリストの結子さんが言っていて、
ああ、なるほどと思った。

展示の楽しみの一つは
酒井いぶきちゃん × 山本ヨーコさんのコラボレートぬいぐるみと
北村信彦さんが温めていたネタ、
いぶきちゃん等身大ステッカーだった。

なつかしい昔のHYS服を着た
等身大いぶきちゃんステッカーは
全部で3枚展示されていた。

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いぶきちゃんは大分若いけど
私の好みと変わらないような…
自分は全然成長なんかしてない、
という気持ちになった。
あのころのままだなあ、と。

あまりにも自分の20代の頃と
変わらない様子をしていたので
時間が戻っていくような気がした。

HYSやヨーコさんとのコラボレート作品は
いぶきちゃんデコレーションで表情豊かながらも
いぶきちゃんのバランスの良さや
謙虚さみたいなものも相まって、
ずっと見ていられるようだった。

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ヨーコさんも書いていたけれど
作品の一つひとつが嬉しそう。
いぶきちゃんシールがはられていることを
作品が愉しんでいる感じ。

ささやかでフレッシュ。
たとえばちょっとした
鼻うたくらいの軽やかな感じ。

こんな風に自分の世界観を保ちながら
バランス良く何かと
コラボレートできることは素敵だ。

私の目には酒井いぶきちゃんは
とても成熟したひとに映った。
カッコ良くてスマートで、軽やか。

一方で、この展覧会に向けた
いぶきちゃんの情熱が好きだった。

北村信彦さんといぶきちゃんのインタビューの中に
「(ファンジンは)ヒスやノブさんへのラブレター」
と書かれていた。

ファンジンを手に取ってみた。
ぱらぱらとめくっただけで
私には強烈な「なつかしさ」だった。

そこに写っている酒井いぶきちゃんも
空気感も
ラブレターを送る気持ちも
知ってる気がした。

20代のころ
たしかにこんなふうだった。
実は私も20代のころ
HYSへラブレターを送ったことがある。

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funjin photography : Hidemi Ogata

ファンジンに載っている
HYS服もなつかしかった。

煙草も当時、
一緒に長い時間を過ごした
オシャレな友だちを思い出した。

「(ファンジンは)ラブレター」
と言っても、甘えや媚びは
微塵も含まれていないことに
私は胸を打たれる。

女のコがラブレターを送るとき
そういうものが含まれている気がするから。
いぶきちゃんのそれは、
そういうものを感じない。

渋いのにあかるくて、
軽快だけど薄っぺらくない。

クリームソーダを前に
煙草を吸っているいぶきちゃん、
ちょっぴりビターで
HYSのイメージによく似合う。

モデルさんだから何でも
着こなせると思うのだけど
HYSのブートレッグ展が
いぶきちゃんで良かった、と思う。

私が20代のころ見ていた
ヒステリックグラマーを
オシャレに着こなしている人の
イメージそのものだから。

なつかしいHYSのアートとあいまって
甘酸っぱさの中に渋みある、
爽やかな後味の展示だった。

いぶきちゃんのデコレーションは
音楽でいうなら何だろう?
(頭の中で鳴ったのはゲーム音)

*

ところで最近、
いぶきちゃんは金髪になったもよう。
勇敢だな、と感心する。

山本ヨーコさんのぬいぐるみ制作
25年の集大成となる本
yokodoll book』でモデルをつとめる
いぶきちゃん。
撮影日は金髪だったのかな?

20代の自分も
友人も金髪だったことを思い出して
なんだか照れくさくて
気恥ずかしい気持ちになった。

いぶきちゃんの Instagram ストーリーズは
いぶきちゃんが仕事のキャリアを
アップさせていることを伝えてくれる。

いぶきちゃんもヨーコさんも
少しずつ重なりながら
みんな一人ずつ
別々の場所にいる。

つき進むいぶきちゃんやヨーコさんを見て
すごいなあ、と思う。

私よりずっと早いスピードで成長しているひとを
キラキラするような嬉しい気持ちで眺める。

クリエイターとの出会いは素敵だ。
「どうすれば成果が上がるか?」と考えるのも
最高に楽しいけど
クリエイティブなひとからは
クリエイティブに生きていくための
刺激をもらう。

いぶきちゃんみたいに軽やかでスマートなのも、
ヨーコさんみたいにこだわりがあるのも、
どちらも、とてもカッコイイ。

仮に今、
いぶきちゃんやヨーコさんみたいな人たちに触れられる
人生の中の特別で特殊なときだとしても
この夏、関わったひとたちが
彼ららしくやっている、と思えることは
今後も自分を支えてくれると思う。

神様はいる、みたいな不思議な8月だった。
夏の終わりに、思ったことでした。


追伸:
いぶきちゃんもモデルとして参加、
ぬいぐるみ作家・山本ヨーコさん25年の集大成『yokodoll book』
クラウドファンディングは目標金額達成。

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山本ヨーコさん作のヒステリックグラマーぬいぐるみを抱えた酒井いぶきちゃん(POP!)。クラウドファンディング応援ありがとうございます🐷

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追記:
動画レポートも貼っておきます。山本ヨーコさん作ヒステリックグラマーぬいぐるみ × 酒井いぶきちゃんのトリプルネーム作品を紹介しています🧸✨

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