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自分への弔辞

「妻としての人生を全うしたあなたへ」

カナさん、いえ、Kの奥さん、あなたは本当に良き妻としてなすべきことを成し遂げました。
18年という長い年月にわたって「妻」という役割を全力で果たしてきたのです。



あなたには理想とする妻のイメージがあり、それに近づくために精神的にも肉体的にも信じられないほどの力を発揮してきたのです。

誰に頼まれたわけでもないかもしれません。
でも、あなたはどうしてもそうしたかったのでしょう。

時には完璧を求めすぎて自分を追い込み、「なすべきこと」を過剰に自分に課していたこともありましたね。
それは、あなたなりの挑戦でもあったのです。

それまでは
「できるわけない。自分には関係ない。」と近づこうともしなかったことにも勇敢に飛び込んで行ったのです。
そして、敢え無く撃沈し、自分を責める結果となってしまった。

分不相応のことに手を出してしまった、と自分の判断の甘さを思い知ることにもなりましたね。

しかしそれは、
「できたから良い、できなかったから悪い」などという単純なものではありませんでした。
そのことに挑戦するという経験自体に意味があったのです。



あなたにとって、「簡単にできること」などやる意味はありません。

あなた自身、いや誰もが「そんなことできるはずがない」と思うようなことに挑戦し、実際に経験することでしか学べないものを学び感情を感じることで、あなたの魂を成長させることが目的だったのです。

あなたは妻として、十分すぎるほど良く頑張りました。

誰も褒めてくれない時もあったでしょう。
努力が報われない、と虚しく感じたこともあったでしょう。

いつも夫を喜ばせることを考え、「これ以上ないほど」に力を尽くしてきたのです。
しかし、その努力と夫婦の絆は比例しませんでした。

あなたが思う「理想の妻」は夫が思う理想とは違っていたということです。
つまり、お互いに全力を尽くして我慢をし続けてきたわけです。
これはどちらのせいでもありません。

なぜならあなたがた夫婦は「この人しかいない」という思い込みに依存した関係に基づいてあらゆることを判断し、行動してきたからです。
「この人しかいない」という思い込みはいつしか「諦め」に変わっていきました。
つまり、この夫を選んだ自分に責任があるのだと。
夫がどんなに自分の期待と違う行動をしようと、それは自分の責任である、と。

それは確かに、一部は真実でしょう。
あなたが夫に望むことを伝えても伝えなくても、結果は変わらなかったし、だからと言って夫を非難する理由はないのです。
でも、その責任をとる必要など、もともと誰にもなかったのです。

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