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【長期留学中の途中帰国】アリ?ナシ?

今回のトピックは、留学中に途中帰国することはアリなのかナシなのかについて。
世の中の大半の大学生というのは、ヨーロッパとか、アメリカとか、日本から離れた場所へ留学に行く人が多いと思う。
だから、最初から片道切符状態で、日本に帰ってくるとかいう考えはない、という人が多いと思う。
しかし、私のようにタイとか台湾とか、日本からほど近い国に留学している人、あとは、長期留学で、日本に帰る時間が留学中に確保できる人、成人式とか、家族の冠婚葬祭でどうしても日本に帰らなければならない人がいることも事実だ。
今回は、留学中に途中帰国することについて、私の体験談と、その時に考えたこと、実際途中帰国ってアリなのか、やめた方がいいのか、これから途中帰国する人に向けてのアドバイスなどを紹介する。
私の体験談は前半で紹介するが、アドバイスだけ聴きたいという人は目次を見て、自分の興味のある所までスキップしてもらえればと思う。


私が途中帰国を決めた背景

まず、私はタイに留学していた時、留学の折り返し地点の1月に日本へ一週間途中帰国した。留学を開始した最初の頃は、途中帰国するつもりはなかったのだが、当時の私の心理状況はこんな感じだった。

「ああ、なんか留学、疲れちゃったな・・・
このまま、あと半年間タイに居続けるって、先が長く感じるなあ・・・」

初めて本格的に親元から離れて海外で一人暮らし。
それに加えて、当時恋愛面で悩んでいたり、留学生の友達の間で息苦しさを感じる局面があり、精神的に疲弊していた。

めちゃくちゃ日本が恋しかったわけではない。
ただ、このままあと半年、日本に帰ることができない、次に日本に行くのは留学が終わったあと、と考えると何だか怖い感じがした。
一回日本に戻りたい、なんか戻らないと!と思った。

あと、日本に帰国する前に、フィリピンとかシンガポールとか、周辺国に旅行に行き、移動することに抵抗がなく、フッ軽になっていたこと、タイ人の友達で日本に旅行に行く子がいたり、留学生の中にも、長期休暇でヨーロッパに行ったり日本に帰ったりする子がいるのを見て、日本って案外近いし、「途中帰国」ってそんなにハードルが高いことじゃないんじゃないかと思うようになっていたことも理由の一つだ。

何となく、海外にせっかく留学に来たんだから、途中帰国したら、海外に修行に来てる感が薄れるんじゃないかとか、周りの人からよく思われないんじゃないかとか色々考えたが、まあ結局友達にも「いいんちゃう?」と言われ、大した反対も受けなかったので帰ることにした。

半年ぶりの日本

さて、色々悩んではいたものの、途中帰国を決めてからは内心ワクワクしていた。

日本食いっぱい食べよう、いろんなところへ行こう、友達と喋ろう、家族とたくさん過ごそう、日本の電車が恋しいな、日本製品いっぱい買っとこう、アニメイトにも行こう、アニメグッズ買い溜めよう・・・

それはもういろんなことが楽しみだった。
で、関西国際空港に降り立って、迎えに来てくれた母と車で家まで帰った。
その途中、窓から日本の風景を見てみたが、内心驚いた。

そこから見えたのはタイとは違う
整然と整備されたビルの林
曇った冬の空
暗い顔をして行き交う人々・・・

あれ、これが、ここ最近私が帰りたいと思って楽しみにしていた国なの?
なんか暗くないか?日本ってこんな暗かったか?
元気なくないか?
閉鎖的で、そこはかとなく可能性を感じない閉塞感漂う社会・・・

帰ってきた時、日本に対して抱いたのはこのようなイメージだ。
タイのカオス感と、騒がしい社会から来る、何とも言えない都市と人々の活気や自由さと比較して、日本は私の目には、何とも寂しげに映った。
タイが元気ある若者に例えられるならば、日本は成熟しきったお年寄りの国に見えたのだ。

地元の観光地にも足を伸ばしたが、やたらと人の視線も気になった。
ちょっと寒かったので、フードをかぶって歩いていたのだが、ちょっと人と違う服を着ているだけで、人の目線を浴びる。
異端な存在を監視するような社会だな、と感じた。
たったそれだけのことだったが、私にはひどく日本がつまらなく、そして息苦しく感じた。
タイではどんな格好をしていようが、何を着て誰と一緒にいようが、人はあまり気にしない。
昔、タイの大学生に日本語を教えるボランティアをしていた時に、男装女装の話になった。タイの学生は、「もし仮に、明日うちの日本語のクラスのM先生が女装をして大学にやってきたとしても、あんまり何も思わないかなあ」と発言していた。
タイの人々にとって、人がどんな格好をしているかとか、人がどんな行動をするかとかに対して、あまり興味関心が割かれていないのだと思う。

人よりも、「自分が」心地いいと感じているかどうか。
それが肝心なのだ。

タイで半年間暮らして、今まで自分が感じてこなかった、日本、地元の京都の息苦しさ、閉塞感にその時初めて気付いたのだ。
それと同時に、ああ、私はタイの留学が終わったら、この場所に戻ってくるんだな。

じゃあ、残りの半年間、やれることは全部やって、自由を謳歌しなくちゃいけないな、と強く感じた。

一時帰国って結局どうなの?

さてここからが本題というか、私がこの記事で伝えたいメインのことだ。
結局の話、一時帰国ってどうなんだ?

ネットで調べると、高いお金をかけて交換留学に来ているのに、途中帰国するなんて論外なんじゃないか、とか、途中帰国に対していい考えを抱いていない人もちらほら見かける。

しかし私は、結論を言えば「100%アリ」の立場だ。
帰れるなら帰ってみたらいいと思うし、帰ることで気づけることが絶対にあると思っている。

もちろん、取り立てて日本に帰りたいとも思っていないのならば無理して帰る必要など当然ないし、その時間を留学先での旅行とか、勉強とかに使えばいいと思う。積極的に一時帰国を奨励するつもりは、私にもない。
ただ、ちょっと帰ってみたいな、と思っている人に対しては、罪悪感を感じず、思い切って帰ってみたらいい、と背中を押してあげたいと思う。

実際、私も一時帰国をして、留学先の国と日本、両方の国を客観的に見ることができた
日本に帰ってきたからこそ、日本って私が思っていたほどキラキラしてないのかも、なんか疲れてる国だったのかも、とか気付けたし、逆に、騒がしくて生活するのにしんどさを感じていたタイは、明るく元気で、自由な国だったな、とタイの良さにも気付けた。
途中帰国していなかったら、ずっと、タイの生活に嫌気を感じ、日本に帰りたいと漠然と感じ続けた留学生活になっていたと思う。

また、途中帰国することは、シンプルに心のリフレッシュになる
意外と長期留学というのは、留学先で精神的エネルギーを使うものだし、思っている以上に疲労が溜まっており、「留学先で異文化に触れられる」というありがたみを感じにくくなっているものだ。あと、留学期間の折り返し地点は、人によるが、シンプルに留学生活のマンネリ化が起きやすい時期だと思う。そんな中、途中帰国を罪悪感から渋っていては、結局ずるずる留学生活をやり過ごすことに集中してしまい、残りの留学生活が充実させられない原因にもなる。
途中帰国して、地元の友達や家族と会って、ちょっと気分転換をすることが、回り道に見えて、実際には留学を充実させるための近道になるかもしれない。

これから途中帰国する人へアドバイス

今まさに留学中で、これから途中帰国を考えている人もいるだろう。
そんな人に向けてアドバイス。

途中帰国、したいと思うならしてみよう。
ただし、途中帰国したときの印象は絶対にメモして覚えておこう。

本当にこれだけはしてほしい。
長期間日本を離れることって、なかなかないことだし、その時に感じた日本に対する印象ってこれからの人生の中でも大事で、新鮮な気づきを必ずもたらしてくれる。
こんな貴重な経験、覚えて記録しないなんて絶対に勿体無い。
私は、その時のことを辛うじて覚えているので今こうしてnoteにかけているが、本当のことを言えばもっと詳細に当時の気持ちを綴って記録しておけばよかったと思っている。

その時に日本に抱いた印象が、この先の将来の価値観とか未来設計に意外とつながってくるのだ。今、大学5年生で、就活に片足突っ込んでいる私にはわかる。

これから途中帰国する人たち。
日本、楽しんできてください。
そして、日本を余所者の立場で一度よく見てみてください。
そのあと、留学先に帰って、今度はその国の余所者として、その国を観察してみてください。
きっと何かしら新しい発見があるはずです。

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