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これからタイ留学へ行く人へ

タイ留学と聞くとどう言うイメージを持つだろうか。
「え、なんでタイ?先進国に勉強に行く方がいいんじゃないの?」
そう思う人は多いだろう。実際、わたしは一年間タイに留学に行ったが、行く前には少なくない反対の声があった。
しかし私は、今の時代だからこそ日本で学ぶ学生はタイに留学に行くべきだと私は考える。

本記事では、私の自己紹介と、なぜタイに行ったか、どう言う点が良かったかについて解説する。また、具体的な留学手続きなどについても、別記事で紹介できたらと思う。



自己紹介

まず、筆者について簡単に説明する。
筆者は2024年5月現在、大学5年生である(つまり既に一年留年している)。
某関西の国立大学に通い、大学での専門は主に社会学で、現在卒論執筆を開始する時期に差し掛かっている(いまだにテーマが決まっていないと言う緊急事態)。

2022年8月から2023年6月までタイのタマサート大学Pridi Banomyong International College(以下:PBIC) のThai Studiesに留学していた。

これは交換留学での渡航であったため、単位取得を目的とした留学である。なので、現地では語学の授業は週1コマで、後はタイの宗教や文化についての授業を中心に履修していた。

現在は台湾に二度目の留学をしながら、残りの少ない留学生活、学生生活を噛み締めて生活している。このことについても、後日別の記事で言及したい。

なぜ「タイ」に決めたのか

さて、まずなぜ私がタイに留学を決めたのかについて話したい。
多くの人はこう思うだろう。

「なんでタイなの?もっと先進国に行った方が良くない?」
「タイで何を学ぶことがあるの?」
「東南アジアってなんだか危ないイメージがあるし、ヨーロッパとかの方がいいんじゃないか?」

この辺りは、実際に私が他の人に言われた言葉でもある。
実際、これらの指摘もわからなくはない。
しかし、私はそれでもタイを選んだ。

理由は単純で、「アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパには興味がなく、それ以外、特にアジア圏の中となると、タイは一番留学しやすかったから」である。

そもそもが、私は昔から天邪鬼なところがある子供で、みんながやっていることとは別のことをしようとする子だった。

と言うわけで、大学1年生のころ、英語の授業で、「行きたい国」というテーマでプレゼンをした時に、私以外ほぼ全員のクラスメイトたちが、欧米豪の国々をあげているのをみて、なんとなくその辺りの国には行かないようにしよう、と思っていたのである。

また、それを補強する理由として、「既に発展しきっている欧米豪の国に行っても、刺激がない。行くなら、まだまだ発展し続けているアジアに行って、若いうちに刺激をもらう方が良いのではないか」という理由もあった。
あと、欧米豪とは違う、他の人があまり行かないような地域に行けば、就活の時に目立てるんじゃないか、というやや邪な考えもあったり・・・

とはいえ、その時の私の頭の中にあったのは、「台湾」であった。
父が旅行で台湾に行った時にものすごくいいところだったと聞かされており、その時からなんとなく台湾留学を考えていた。
ところが、実際に交換留学の出願をしようとした時、台湾留学には三つほど障害があった。

一つは、台湾に行くには、うちの大学の学内選考で指導教員からの推薦書が必要であり、先生に頼みに行くのが面倒くさかった(救いようのない理由である)。
二つ目は、当時絶賛コロナ危機であり、台湾は入境が大分厳しそうな雰囲気であったため実際に行けるかどうか不安があった。
三つ目は、台湾に行きたい「志望理由書」を書くためのネタが思いつかなかった(美味しい料理を食べたいからとか、お父さんが台湾良いって言ってたので、とか、そんなの誰が留学をOKするんですか、と言う話である)


この3つから、台湾以外に選択肢を考え、「タイ」を思いついたのだった。

タイは上の3つの障害がほぼなかった。

  1. 学内選考に先生の推薦書はいらない。

  2. タイは観光の収入源が多く、コロナ渦でも比較的外国人の入国が許可されやすかった。

  3. たまたま夏にタイの大学生に日本語を教えるボランティアをしており、その経験から、志望理由書は比較的容易に書けそうな気がした。



つまり、私の中でタイ留学は、ほぼ消去法で決まったと言える。



タイに行くのに不安はなかったか

結論として、タイに行くのに不安はなかったかと言うと、そんなわけはなく、むしろ不安しかなかったし、なんなら何かしかの事件や犯罪には巻き込まれると思っていた

と言うのも、大学の危機管理オリエンテーションを受ける際、散々アジアは危険だと脅されるのである。
なかでも、「タイは犯罪大国である」「軽犯罪はタイが最も多い」などと先生に言われた。
さらに、個別で相談に乗ってもらっていた留学担当の先生にも、「タイは政情不安があるから心配よ〜」「やっぱせめて台湾に行った方がいいんじゃないの?」とかなんとか言われて、心配という体で実際にはやや反対されていた。

こんなふうに不安を煽られると、やはり心配は募っていくのである。
小心者の私は不安ばかり抱えて小さくなり、渡航直前には「なんでタイに留学決めちゃったんだろう。台湾に無理矢理でも申し込めば良かった」などとネチネチ文句を言っていた。

しかし実際、心配する必要など何一つなかったと断言できる。
私が一年間タイにいて、犯罪に巻き込まれたことは思い出せる限り一度もないし(私の運が良かったという可能性もあるが)、一年間で150回以上はバイクタクシーに乗っていたが、交通事故にも一度も遭わなかった。

留学前の私には、「つべこべ言わずに自信持って行け!」と言いたい。

今東南アジアへ留学を考えている人たちにも、同様に、過剰に心配する必要はない、と背中を押したい。

実際に行ってどうだったか

さて、一年間留学してきたわけだが、実際どうだったかというと、私の選択は大正解であったと言える。

タイは日本のやや閉塞した空気感とは対照的に、賑やかで活気があり、若干のカオス感があり刺激的な国である。

自分たちの幸せのために行動し、逆に言えば自分の幸せ、心地よさが阻害されない分には、人が遅刻しようが、既読無視されようが、特に気にしない、みたいなオープンな精神を持つ人々で溢れている。

他の人の行動や視線を気にして自分のしたいこともできないような空気感って日本にないだろうか。人が自分の期待したように行動してくれなくて、「自分はこんなに気を遣ってあげてるのに」とか気にしてしまうことってないだろうか。

私はタイに行くまで気づかなかったが、日本って特にそういった閉塞感が目立つ気がする。「礼儀正しい」「秩序がある」とか言われて称賛されることもあるが、その裏にはそういった小さな生きづらさの蓄積がある気がした。

例えば、タイの人たちは、基本的に遊びの約束は直前で決まる。
前もってしていた約束は、流れることも多いと考えておいた方がいい。
でもそれは、決して悪いことではないと思う。
人との約束のために、自分の都合が縛られるのは、結局その約束をしていた人との遊びを楽しめなくもなるし、自分の気持ちを優先せず、約束しているからという理由で遊ぶ約束は、結局「義理」であり、ともすれば、相手にも自分と同じように、自分との約束を守ることを期待する、相手への過度な期待につながる。

それは相手への監視や縛りにつながり、気持ちいい人間関係につながらないのではないか。
むしろ、「私は自分の居心地良いようにようにするから、あなたも自分が心地よいように行動していいよ(タイでは、「心地よい」を、サバイサバイと言ったりする)。それで、もしお互いのサバイサバイがいい感じに合ったら、その時は一緒に遊びに行って楽しめたらいいよね」。タイで人と遊ぶ時には大体、こんなノリだと考えておけばいい。

「私はここに行きたいなって思う。あなたも都合がついて、その時も行きたいなって思ってるなら一緒にいきましょうよ」と言った具合に、相手に過度な期待はかけず、自分のやりたいようにやった方が、結果的に相手にとっても心地が良いということは案外多いのだ。


タイに行くことで、世界にはさまざまな価値観があることを思い知らされ、自分の生きてきた世界の小ささ、価値観の偏りに気づいた

確かに、ヨーロッパやアメリカに留学に行ったとしても、そう思ったかもしれない。しかし、タイには、先進国が創り上げてきた「当たり前」だとか、スタンダードとかでは説明がつけられない幸せがあると思った。

「いい加減」ってそんなに悪いの?
遅刻することってそんなに責められることなの?
それよりももっと大事なことがあるんじゃないの?

タイで生きると、そんなことをよく考えるようになった。
自分の当たり前は、他の人にとっても当たり前じゃない。
当たり前とか思ってきたことは、私個人の一つの価値観でしかない。

そんな大事なことに気付かされた留学生活には感謝しかない。

最後に

タイを目指して日本を飛び出してはや2年が過ぎようとしている。
タイから日本に帰ってからはちょうど1年と言ったところか。
タイに行って一回価値観がぐちゃーっと大きく変わって、この一年間でまたちょっとそれが形を新しく整えて形成され始めている感じだ。

帰国直後は、タイが一番素敵な国に見えたし、タイに生きる人々は、みんな能天気にのんびり生活しているように見えた。
しかし、最近はタイの強烈な社会的格差や教育格差に気づくようになり、タイの人たちもそれぞれ悩みを抱えていたり、タイで生きることの限界を感じていたりすると知った。
どんな社会も一長一短、これが最高で最適な社会、といった理想の桃源郷などないのかもしれないと最近は思う。
だから、前みたいにタイを全肯定できる姿勢は今の私は少し薄らいできた。

とはいえ、今の私の価値かにゃ、物事を絶対視しない姿勢は、紛れもなくタイで過ごしたから形成されたものであるし、今の考え方も、タイの留学がなければ絶対に成り立たなかった。

今、留学しようか悩んでいる人、タイに行くことを少しでも考えている人は、絶対に行ってほしいと思う。
今のあなたが思いもしない世界や人々に出会うし、価値観が変わる。
ここで、私の大学の先生が語っていたある言葉を引用したい。

「欧米は、最先端の知や技術を学びに行く場所かもしれない。
しかし、東南アジアは、あなた自身が最先端の知を発見し、あなた自身が知を構築する場所である」

誰かに教えてもらうんじゃない。自分だけの知を発見できる。
そんな留学って素敵だとは思わないだろうか。
私は、今の学生には東南アジア留学、タイ留学をゴリ推ししたい。




何か質問があればいつでも待っています。
また、今後もタイ留学に関すること、今やっている台湾留学のことも発信する予定なので、よければ待っていてください。


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