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全ては人との出会いから。ゲストハウスの若旦那が抱く夢とこれからの挑戦。

静岡県の熱海市でゲストハウスの運営やマネジメントの仕事に6年間携わっておられ9月末に退職。退職後はキャリアブレイクの期間を活用して新しいことに挑戦される予定の杉山貴信さん(以下sugiさんと表記)へインタビューさせていただきました。


時間があることで生まれた心の余裕

出勤最終日MARUYAのスタッフたちと

ーー9月末で長年勤めておられた熱海のゲストハウスを退職されるとお聞きしました。現在どのような暮らしをされていますか?
 
sugiさん:今まで、ゲストハウスの運営や広報の仕事をしていて、週5日働いていてなかなかやりたいことにかける時間も十分に取ることができずもどかしく思っていました。今は絶賛有給消化中で時間に余裕があるので、これまで仕事やプライベートでお世話になった人のところへお手伝いに行っています。

最近のことでいうと、サウナのイベントで出会った人が生ガトーショコラの販売の手伝いを募集していることをInstagramで知って「手伝いにいきましょうか。」とメッセージ。先週、展示販売会のお手伝いをしてきました。こういうことが自由にできるのも今、時間と心に余白があるからですね。どんどん視野が広がっていくのが楽しいです。

ゲストハウスはフラットな場所

語り合いができる開放的な空間があるゲストハウス

ーーゲストハウスの魅力とは?

sugiさん:僕の勤めていたゲストハウスMARUYAには、広めの共有スペースにコーヒーとかお茶などのフリードリンクがあるので、それを入れに行ったときに「良かったら飲みます?」みたいに…話をするきっかけになるアイテムが散りばめられています。だから、宿泊者同士で自然とコミュニケーションが生まれるんです。

泊まりに来られる方々は本当に千差万別。職業や年齢、性別、国籍、宗教…そういうしがらみのようなものは関係なくフラットな場所。そこがまた魅力的で面白いんです。

僕自身、旅先でゲストハウスに泊まりに行ったときは、日常生活での肩書きは一旦そっとしまっておいて、肩の力を抜いて過ごしています。

2023年の周年イベント

ーーありのままの自分でいられる場所ということですね。

sugiさん:そうですね。ゲストハウスは普段の生活では出会うことがないような人と関わりが持てるので、様々な視点からの意見を聞くことができたり、インスピレーションを受けたりすることができるんです。

また、自分の考えをアウトプットすることで、自分自身と向き合うこともできます。こんな風に自分は考えていたんだ。と新たな発見をすることもありますね。

人と人をつなぐ拠点。guest house MARUYA

個性溢れるMARUYAのスタッフと

ーーsugiさんが運営に携わっておられたguest house MARUYAの特徴を教えてください。

sugiさん:特徴は、大きく分けて二つありますね。一つ目はなんといっても多様なスタッフがいるということ。そこがMARUYA最大の特徴であって誇りに思っているところでもあります。

ギターとか音楽が好きな人、お酒やご飯が好きな人、旅行が好きで世界一周した人など個性的なスタッフが多数います。それぞれ違うバックボーンを持つスタッフがいるからこそ、色々なアプローチの仕方でゲストをお迎えすることができます。

もう一つは、熱海の「まちやど」としての役割を担っています。まち全体を一つの宿と見立て、宿のスタッフが地域のおすすめの飲食店や、温泉、アクティビティなどを紹介して地域と連携することで、まちぐるみでゲストをおもてなししています。

実際に僕やスタッフが現地に行ってみて、この店だったらゲストに紹介しても安心だなとかここのオーナーさん面白いな。と思ったらやっぱり紹介したくなりますね。

地域とゲストを結ぶサポートができて、どちらからも喜びや感謝の言葉をいただけたときには、とても嬉しかったです。

何度も訪れたい。僕の心を動かしたインドネシアでの出会い

大学の研究メンバーでインドネシアを訪れた

ーーsugiさんは旅行が好きだということですが今まで、何ヶ国くらい旅行にいきましたか?

sugiさん:アメリカ、オーストラリア、カンボジア、インドネシア 3回、マレーシア、中国、台湾、タイ、シンガポールの9ヶ国ですね。こうやって挙げてみると結構色々なところに行ってますね。

ーーインドネシアだけ3回行っているんですね。

sugiさん:そうなんですよ。インドネシアが好きになって、3回も行っちゃいましたね。初めて行ったのは、大学の研究で現地調査をするためです。僕は、発展途上国がどうやって発展していくのかを研究していて、その対象国がインドネシアだったんです。

首都のジャカルタに行ったんですが、東京と変わらないくらいビルが立ち並んで、高級車が走っている一方で車で15分程走ると環境や道路が整備されておらず、全然違う町並みで…そのギャップに衝撃を受けてよりインドネシアのことを知りたくなりました。

もう一つは、現地の人と話した時の柔らかさかな。それがすごく居心地が良くて研究とか関係なくてももう一度行きたいなって思ったんです。

ーーインドネシアでどんな出会いがあったんですか?

インドネシアで出会ったファミリーと

sugiさん:僕が屋台でご飯を食べてるときに隣に座ったファミリーが気さくに話しかけてくれて、いつの間にか話が盛り上がって、「明日、観光連れて行こうか?」と。色々街中を案内してくれた後、「せっかくなら今日、家に泊まって行きなよ。」と言って泊めていただいたんです。

それがもうすごく嬉しくて「なんかお礼をさせてください。」というと悩んだ末お父さんが「じゃあ、ガソリン代だけ。」と伝えられた金額が日本円にして500円程度。その家族の温かさや気遣いに感動して、インドネシアが大好きになりました。

ーーコミュニケーションは英語で取っていたんですか?

sugiさん:いや、それが、英語では伝わらなくて、インドネシア語の本のようなものを買って挨拶や自己紹介などを覚えたり、翻訳機を使ったりして何とかコミュニケーションを図ろうと必死でした。

母子の健康調査で現地を訪れたとき

ーーそれは本当に凄いです。インドネシアの観光地が良かったとかではなく「人との出会い」に心を動かされたということですね

sugiさん:そうですね。優しい人がいるあたたかい町というのが印象に残っていますね。あとは、大学での開発経済学の研究と繋がるところもあって、研究内容をもっと詳しく言うと「母子の健康」をテーマに調査していたんです。

日本で使われているような母子手帳がJICAの支援でインドネシアにも何十年も前からあるんです。

現地の調査で出会ったお母さんの話を聞いたとときに「インドネシアには母子手帳っていうこんなすごい物があるんだよ。」と僕に嬉しそうな顔をしながら教えてくれたんです。街の人のそういう姿を見てこの国の人たちにどんどん心惹かれていきましたね。

ーー旅をするとき大切にしていることがあれば教えてください

sugiさん:旅先での出会いは特に大事にしてますね。インドネシアでの人との出会いもそうですし、現地の方と交流を楽しみます。

そのために、現地の簡単な挨拶を覚えたり、旅先で出会った人とまた会うために次の目的地を決めたりすることもあります。

カンボジアで出会った日本人と

例えば、大学生のときにカンボジアのツアーに参加したんですが、その時にカンボジアで出会った日本人と今でも仲が良くて、岐阜県の高山に住んでいるその友人に毎年会いに行っているほどです。

そして、高山へ行くと、高山のゲストハウスやカフェのオーナーさんと繋がっていく。一期一会の出会いを大切にして、出会いがまたどこかで結び着く。縁って不思議ですね。

人の可能性を広げる力になりたい


旅先には必ずカメラを持っていくというsugiさん

ーー旅や職場での人との出会いで新たな視点を切り開いてきたsugiさんですが、今後の展望や夢を教えてください。

sugiさん:次は、国家資格でもあるキャリアコンサルタントの資格を取ることを考えています。

というのも、今までゲストハウスで働いているときに若い子たちを育てるという立場だったんですが、自分の想いがなかなか上手く伝わらなくて悩んだことがありました。

そこに専門的な知識が加わると、より若い子たちの可能性を広げることができたのではないかと。そこからキャリア支援に興味を持ち、もっと深く勉強したいと思うようになりました。

今まで、旅や仕事での経験が僕の心を動かし、人生を豊かにしてくれました。思い返してみるとそこに共通していたものは全て「人との関わり」によるものでした。

人との出会いによって自分の可能性を広げてもらえたので、今度は僕が人の可能性を広げられる人になれたらいいなと思っています。

編集後記

常に前向きな姿勢で新しいことを学び続けるsugiさん。人との出会いを大切にされているからこそ呼び寄せる温かい人々。

周りに恵まれたと幸せそうに笑顔で語るsugiさんですが、優しく包み込む陽だまりのような存在だからこそ、旅先で出会った人が親切にしてくれたり、職場の後輩に頼りにされたりするのではないかと思います。

これからキャリアブレイクの期間で学びを深め、更にパワーアップして新たな一歩を踏み出されるsugiさんの挑戦は始まったばかり。多方面で活躍されることを応援しています。


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