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大五郎、セラピードッグへの道【6】

【前回までのあらすじ】セラピードッグになるための第2トレーニングのトレーニングが始まった大五郎(ヨークシャーテリア、雄、1歳)だが紹介されたコースは問題犬コース。6頭の問題犬たちの中で唯一の小型犬である大五郎氏。いったいどうなる。セラピードッグへの道は遠い。かなり、遠い。

🐩🐶続きものの体で書いていますが、単話でもお楽しみいただけるよう、心がけて書いております!犬の訓練Tipsなども交えておりますよ。今回はよく吠える犬しつけTipがメインです🐶🐩

前回の話↓↓

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いよいよ問題児クラストレーニングが始まる。このクラスにやってくる犬たちは問題児であるのでスタッフ、受講者そして犬たちに怪我がないよう、まず車を会場の裏口に止め、一匹ずつ教室へと入る。教室は大きな仕切りがあり、犬たちが他の犬を見て興奮しないようにという対策である。

しかも問題児コースが普通コースの犬たちに迷惑をかけぬよう、トレーニング開始時間も8時PMと遅い(前の普通コースは7時とか6時PM開始)運転がド下手のド近眼。私は、夜間の運転が特に嫌いなのでここからもう、うへぁ、なんである。

クラスに呼ばれるまで、車待機の大五郎。落ち着きがないのでブレる。

少しでも興奮を抑えようと、私は車の中に犬が落ち着くスプレー(母犬のホルモンのにおい)をして、大五郎にも服かバンダナにスプレーをかけた。これは、無いよりはマシといった具合の効果であった。

ちなみに嫌がる犬も結構いるそうだが、大五郎さんも他の犬たちも洋服だとかバンダナなぞ全然気にせず着用する。我が家の場合、ハロウィン以外は、泥除けとか、虫よけとか、防寒とか。そんな実用的な理由でしか着せないけど。

犬用洋服ラックは自作。PVCパイプ(家庭菜園で使ったものの余り素材)で作成したため最近ではこのようにたわみが出ているが、玄関横に設置してある。洋服はほぼ市販であるが自作したものもある。犬バカだから

アホのように増え続ける犬服。

教室に来ていたすべての犬が、他の犬に対して興奮し、吠えるタイプの犬たち。ゆえに、個別入場、しかも大きな仕切り付きであるのに、始まる前からワンワン、ギャンギャン非常にやかましいBGMで流れている落ち着くはずのクラシックなんて何の役にも立たない。

ちなみに我が家では、出かける時なぞに犬用リラックス音楽動画的な、Youtubeのビデオなぞを流しているが、効いているのかは謎。大五郎氏はアホ五郎さんなので、テレビに犬が映ると吠えるので逆効果の場合すらあるのだ。

映画に出てくる犬に果敢に立ち向かうアホ五郎。やる気がみなぎりすぎている。

大五郎も張り切ってうぉんうぉんと吠えるものの、大きめのヨークシャーテリアとは言え、小型犬である。彼の吠え声は、他の大型犬の犬たちのものにかき消される。ゆえにますます吠え続ける大五郎。そんなところを頑張る必要性は全くないのである。本来のトレーニングに勤しめよ…と私は手綱をぎゅっと握り締めるのであった。

落ち着く(はず)のスプレーをし、大きな仕切りの中にいても、他の犬の気配を察する。もう始まる前からゲンナリの私と他の飼い主たちである。だが、前回のトレーニングコースと異なり、うるさいのは大五郎だけでなく、他の犬みんななので、ちょっとばかり気は軽い。げんなりだけど。

仕切りの内側には、ベッドが用意されている。犬たちは、1)指示があるまで仕切りの外にでないこと2)待っている間は、ベッドの上にとどまること、と指示される。

これがもう大変なんである。

仕切りの内側。ベッドと大五郎。

まずベッドに乗らない。ご褒美の肉(ステーキ肉。このクラスでは大好物をご褒美に持ってくるように言われている)を鼻先にもっていき、誘導する。マグネットゲームと呼ばれ、ご褒美を鼻先にもっていき、飼い主の視線や動きに従うように慣れさせる、というのは最初のクラスでもやったことで、これがまずトレーニングの第一歩である。慣れてくると、ご褒美なしでも飼い主の指や手の動きに従うようになる。

普段なら、食い意地のはった大五郎氏であるので、ご褒美の効果、しかもステーキは絶大である。しかし興奮している犬にご褒美を見せても、なかなか視線にいれようとしない(なのでトップランクのおやつが必至)どうにかこうにかベッドに乗るように仕向けるものの、すぐにベッドから降りたり、仕切りの隙間から外を覗き見る。こういった場合のコツは、手綱を短めに持ち、犬の行動範囲を狭めた上で、視線と注意を飼い主とベッドに向けることである。

ちなみにこのベッドに落ち着いて座る、というのもトレーニングの基本だと言われた。家の中でも、家以外の外にいる時も、自由時間以外は、飼い主がヨシ!というまでベッドの上でリラックスして待機できるようにしましょう、というもの。

そんなもん、この落ち着きのないアホ大五郎に可能であるのかと真顔で考え込んだが、考えてみれば、大五郎がセラピードッグになり、学校や病院などに行く時、飼い主がOKというまで大人しくしておかねばならないのだから、確かに基本であり、重要であるのだ。

また、他の犬や動物、人間などに吠え捲る犬に対しては、この「視界を遮る」という手段が有効である。

散歩中でも、他の犬の姿が見えたら、くるっと方向を変えたり別のルートをとることが推奨される。外で大五郎がクジョー(スティーブンキングの映画に出てくる狂犬)になった折には、私は手で目隠しをして、他所の犬が過ぎるのを待つことがあるが、これは割と効果があった。

また散歩もいつも同じ時間、同じルートではなく。バラバラの時間、ルートにバリエーションをつけることで、縄張り意識が減るので、他の犬にあまり気を取られなくなる、と言われたので、そのようにしている。

訓練中は、何度も、何度も、ベッドに誘導、のせる、落ち着かせる、でもまた降りる、もしくは吠える。という循環に落ちいるのだが、これを苛々せず、飼い主が落ちついて忍耐強く繰り返さなければならない。

大声を出さない、手綱を引っ張らない、毅然と冷静に対応する。

こんなことを繰り返し言われるが、そんな無茶な。言うは易く行うは難し(文字通り)なんせ大五郎は興奮しきっている。吠えることを止めても、なんせまだ子供な大五郎さんである。すぐに落ち着きなくちょろちょろする。私はヨガの呼吸で、う~~さ~~~、う~~さ~~と繰り返し、イラっとしないように頑張らねばならなかった。

やり続けるうちに、「なんだよ、どんだけやらせるってんだ(苛)こんなんで普通になるもんか!」とイライラするわけだが、犬の訓練に最も大切なものは飼い主の努力と忍耐なのである。くっ。

この問題児クラスでは、犬の問題行動と同時に、飼い主の犬に対する態度へのトレーニングも行われる。前回の普通クラスでは、アホみたいに吠え捲る犬が大五郎しかいなかったため、私は常に汗だくで泣きそうな気持になりながら訓練に励んだのであるが、今回は違う!皆がワルなのである。なので私もいささか心強い。大きな室内に設置された仕切りの向こうから、「No、No」という言葉が聞こえるたびに、あぁ、うちだけじゃないんだ、と胸をなでおろし、がんばるぞ、という気持ちさえわいてくるのである。

大五郎の事をアホ五郎呼ばわりする私であるが、私もまたアホなので、共に学んでいかねばならぬ、とこぶしを握るのだが、その気持ちが大五郎に通じているのかどうかは定かではない。

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大五郎はその性格ゆえか、年齢のせいか(犬の1歳というのはまだまだ遊びたい盛りである)それとも犬というものがそういうものなのか。ある程度、吠えたら、唐突に、スンと落ち着く。トレーニングのメインは問題行動をなくす、すぐさま辞めさせる、ということであるため、それではいけないのであるが、このスンとなる瞬間が他の犬たちに比べて早い。そして、寝る。

最初のトレーニングクラスでも騒ぎまくった挙句、部屋のど真ん中で💩をしてその後は寝ていた。大人しくなるのはうれしいのだが、貴様、トレーニング中である!金を払っているのだ!と思うが親の心、子知らずというものである。

どこか不貞腐れた顔にすら見える訓練開始後、20分の大五郎。もう褒美の肉(傍らにある茶色いの)にすら興味を失っている。

このクラスでは、1匹ずつ「慣れていく」トレーニングが行われる。トレーナーさんらが他の犬を訓練している時は、この衝立の中・ベッド待機。で、呼ばれて衝立の外に行き、訓練される。興奮しない、という状況を学ばせるわけである。

最初の訓練は、まず障害物に慣れること、飼い主に注意を向けさせること、であった。スタート地点から10歩ほどのラインまで犬を歩かせる。部屋の反対側に、トレーナーさんと障害物(標識や大きな犬のぬいぐるみ)がいる。それに気づいた犬が反応しないように飼い主が誘導し、誘導するまま、スタート地点に戻り、お座りのコマンドで数秒間、待機させる、というもの。

このステップを少しづつ、難しくしていくのだ。途中に別の障害物を置いたり、本物の犬(トレーナーさんの犬。訓練済)を待機させたりする。

書くのは簡単なわけだが。まず、衝立の外に、おとなしく出すこと、これが難しい。ちょろちょろとよそ見をし、隙あらば吠える。そして、スタート地点に立つこと(そこでお座りをさせる)、限られた範囲内だけを視線誘導しながら歩かせる。これらのことが上手に出来たそのタイミングで、クリッカーという道具でかちっと音を鳴らし、ご褒美をあげ、褒め、そして次のステップへ、というものなのだ。

私なんぞは、基本、常に落ち着きなく、テンパっている人なもので、いつもワタワタしてしまう。ので、せっかく大五郎ができても、あわわ、あわわ、となり、クリッカーを鳴らし、褒美を与える、というタイミングがなかなかにできず、トレーナーさんによく注意された。

まずあなたが落ち着かなきゃだめ。飼い主の気持ちは犬に伝わるから、あなたが落ち着かないと、大五郎もあわわ、あわわってなるのよ。

そうか……君が悪五郎なのは、私があわわわとなっているせいもあるのだな、とちょっと申し訳ない気持ちで大五郎を見ると、当犬は暢気にあふん、とあくびをしていた。

そして、訓練中に気づいてしまった。

トレーニングは1時間半。子供年齢の大五郎、しかも彼にとっては(私にとってもな!!)楽しいものではないため、いくら肉褒美、しかもステーキがもらえるとはいえ、満腹になるか、だんだん味に慣れてくる(贅沢な!)のか、クラスも半分を過ぎる頃にはおやつ・褒美に見向きもしなくなるのだ。そしてまた私の言うことを聞かなくなる。そして飽きてくる。

完全に飽きて、ぼんやり五郎。

まったくもって!終わりがみえない!!!(叫)ステーキへの興味を失った大五郎に何を使ってトレーニングしろというのだ……(呆然)

訓練に通うようになって、少しはマシになった大五郎ではある。それでも、この終わりなきセラピードッグへの道へ私は、頭を抱えたのであった。

To be Continued….(もう続けたくないよ!私は!)

映画 Clifford the Big Red Dog (こちらでメジャーな巨大赤犬、クロフォードのお話)クロフォードにちょっと似ている大五郎氏。アホかわいいところが似ている。ちなみにこの映画は子供向けかもですが、犬スキの人にはお勧めです。とてもかわいらしいお話。


我が家の犬の話をまとめたマガジン。








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