シリーズ『日本の残されし民より未来の全人類(選ばれし民)へ』第一章 ③

『出エジプト記』に読む神のご計画
 第一章 ③

ヨセフを知らない新しいエジプトの王による苦役 - 牧師の書斎

https://youtu.be/TmprCNY_YVo

【聖書箇所】出エジプト記 1章

2.

エジプト王(ファラオ)の恐れ

ヘブル人(=イスラエル人)がおびただしく増加することに対して、「ヨセフのことを知らない新しいエジプトの王」は恐れました。

なぜなら、ヘブル人が増えることがエジプトにおいては大きな脅威(社会問題、人種問題)となりつつあったからです。

脚注1

ヘブル人の存在がエジプトの脅威となったのです。もし戦いが起こって敵側に彼らがついたとすれば、自分たちはやがて彼らに牛耳られてしまうかもしれないという恐れのゆえに、ファラオはこれ以上にヘブル人たちがふえないための二つの策略を練りました。

(1)

苦役を与えること

倉庫を建造させ、その過酷な重労働によって奴隷化しようとしました。

(2)

生まれたばかりの男の子を殺すこと


  • また、ヘブル人(脚注2)の助産婦たちに命じて、生まれてくる段階で男の子を殺害しようとしました。しかもそれは「過酷を極めた」(新共同訳)とあります。

「なぜエジプトを『ミツライム』と言うのか」


  • しかしエジプトの王の計らいは成功しませんでした。虐待されればされるほど、彼らは増え広がっていったからです。

脚注1


「ヨセフのことを知らない新しい王

(ファラオ)」

(1章8節)とは?

エジプト人は非常に早くから自国の歴史を書き残しており、第1王朝から第30王朝に至る各王朝の歴史を見れば、王の名前を一人も抜かさずにたどっていくことができます。

しかもその間の様々な出来事が記されています。ところが、紀元前1770年頃から1580年頃の期間については、記録の面から言えば、まことに空白の時代なのです。

この期間は北方から「ヒクソス」(外国の支配者)が侵入して、エジプト北部を占領し、南部はエジプトが支配するという時代が第14王朝まで続きました。

その後、15、16王朝になるとヒクソスの統一支配によってエジプトは王座を奪われてしまいます。

17王朝で再び南部がエジプト人の王の手に戻され、18王朝に至ってようやくエジプト全土を奪い返して、ヒクソスを追い出すことに成功したのです。

「ヒクソス」はセム系の民族で、イスラエルの民とは同じ系統の混成集団であったようです。

創世記のヨセフ物語に登場するパロはこのヒクソスの王であったと考えられます。親戚関係の民族であったゆえに、ヤコブ一族のエジプト移住も優遇されたと言えます。

ところが「ヨセフのことを知らない新しい王」がヒクソスを追放して国を奪回したエジプト人の王朝であるとすれば、イスラエル民族に対する酷使、虐待政策はよく理解できます。

脚注2


「ヘブル人」と「イスラエルの民」という呼び方について

「ヘブル人」と「イスラエルの民」という呼び方について、ヘブライ文学博士の手島佑郎(てしまゆうろう)氏は次のように説明しています。


「エジプト人との対応の場面ではヘブル人と呼び、自分たちの身内同士で呼ぶときはイスラエルの民と、両方の呼び方が使い分けられている」

(「混迷を超えるプロジェクト『出エジプト記』」12頁、1992、ぎょうせい出版)。


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