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#日常_1K6畳に虫が出たとき

仕事を終えて家路につく。
買い物袋をとりあえず玄関に置いて部屋に入ると
部屋の一角からなんとなく視線を感じる。

どちらさん?

この家に住んでから初めてお会いする気もするし
日々の忙しさで忘れてしまっているだけで、何度かお目にかかっているかもしれない。

そんな見たことあるようなないような、細長い、2センチくらいの黒い?物体が、天井付近の白い壁にとまっているのを見て、わたしは絶望した。

わたしはとても蚊に噛まれやすい。奴等であれば、やられる前にやる精神で、何の躊躇いもなく息の根を止めにいける。

でもこの大きさは無理。厳しすぎる。
ていうかどういうタイプの虫?
飛ぶのどうかもよくわからん形状。

一刻も早くお引き取り願いたい。
とりあえず「虫 一人暮らし 殺せない」で検索をかける。

新聞を丸めて一思いにやっちゃいましょう記事やら
殺虫剤がどうのこうのという記事を見て
いや違うそうじゃないんだよなと思いながら画面をスクロールしていると
虫の画像が大量に出てきて思わずスマホ投げる。

だめだ、殺せん。

とりあえず相手の攻撃能力を知らなければならない。
目に向いたファブリーズを手に取り、距離を保ちつつえいやと吹きかける。

すると3センチくらいの細さだったボディが羽ばたいてひらひらと飛び始める。

けっっこうしっかりとした蛾だったのねあなた。

ひいいと叫びながらキッチンに向かい、一昨日飲み終わって干していた牛乳パックを手に取る。
あとは冷蔵庫に貼ってあった水道工事案内の紙。

この牛乳パックで閉じ込め、隙間から紙を差し込んで確保し、玄関から逃す作戦決行。

ひらひらした結果、さっきより低い位置に落ち着いた蛾を目掛けて、また距離をとりつつえいやと牛乳パックをかぶせる。

やった!と思ったも束の間、牛乳パックと壁の隙間からにょんっと出てくる蛾。

むりむりむりむりむりむりむり!!!

声にもならない声を上げた私にびっくりした蛾、またひらひら飛び始める。  

私敗北。
とりあえずキッチンに退散し、ドアを閉める。

掃除機で吸うことが一瞬頭をよぎったものの、バラバラになったところを想像し、頭を抱える。

とりあえず今の相手の位置を把握せねばと恐る恐るリビングに入り、あたりを見渡す。

天井、おらず
右壁、おらず
左壁、おらず

ベッドの布団をゆさゆさしても、おらず
カーテンをガサガサしても、おらず

雨ニモ負ケズ
雪ニモ負ケズ
ファブリーズにも牛乳パックにも負けなかった蛾は、なぜか密室1K6畳から姿を消した。

こうして私たちの同棲生活は始まった。


ー完ー


一人暮らし虫嫌いの皆さん
こういうときどうしてますか?

あんなでっかいものが家に入ってくる術とは?
そして急に消えるのもわからないし今も絶対に部屋にいるんだが!!!???

次回、同棲初夜。乞うご期待。

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