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『母性』湊かなえ

「愛能う限り娘を大切に育ててきました」
『母性』湊かなえ


「ああ、この人には一生及ばないなあ」と
日々感じる存在が物語の主人公です。

友人から受け取ったこの本。似通った家庭不和など、お互いにだけ言えた感情があった友人。 
どの部分が琴線に触れたんだろう。
なんでこの本を?と思いながら読んだ備忘録。

人に何かを伝える時に、どんな言葉を選んでも誤解や少しのズレは当然あるもの、
望んだ通りに相手に届かなくても、
恐れず伝えてみようかなと、潔く綴ります。



女子高生が自宅の中庭で倒れているのが発見された。母親は言葉を詰まらせる。「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」。世間は騒ぐ。これは事故か、自殺か。……遡ること十一年前の台風の日、彼女たちを包んだ幸福は、突如奪い去られていた。母の手記と娘の回想が交錯し、浮かび上がる真相。これは事故か、それとも――。圧倒的に新しい、「母と娘」を巡る物語(ミステリー)。


不穏な始まりから悍ましい出来事全て、
母から色んなところに矢印が飛ぶ
「歪んだ愛情の向け方」
がテーマです。

起こったことは全て過ちのように見えるけど、一人一人の不成熟さが故なので、全然間違ってないと言ってあげたい。

そして、戦略的とまでは言わなくても、相手が欲しい言葉を選ぶ姿は、演じてばかりでは幸せになれないことを物語ってるよう。


ここからは完全なる私の手記です。

高校生の時、再婚した義理の祖父母から二世帯住宅を強いられ、数ヶ月生活を共にした。
(この本でも、同じような状況になります)

その後、一悶着、一悶着とトラブルは重なり、話し合いは袋小路に陥り、最後には家族丸々
勘当され、逃げるように今の家に越しました。

いつも安堵させてくれる最愛の母が耐え忍ぶ姿を見るのは苦しかったし、片意地を張り合ってしまう父と祖父母の攻防も見るに堪えなかった。

そんな思い出も少し美化してみようと悪あがきするけど、微塵も変わらなかったから考えることをやめていました。

でも、図らずもこの本と重ねてしまい、色々閉じ込めてたことが出てきそうな予感が。

そんな予感は命中し、目を向けてみたら、少し整理がつきました。極端な結末にしかならなかった理由は、色んなものを取っ払い、日々打ち明ける小さな強さを誰も持ち合わせていなかったから。

相手に失望、と思えば希求してみたり、人間の難しさは、この1番小さなコミュニティから学びました。

自分を突き動かすものはやはり本や人からの言葉。止まっていたところから加味されていく感覚を感じました。

本にも色々な読み方がある。重ねながら、気が済むまで本を読み漁り、これからも少しずつ
アップデートされてみたい🕵🏻‍♀️


この本の大きな議題は、人への感情の向け方や受け止め方。

今の私は人から有難い言葉を頂くとき、表層だけじゃない嬉しさを心から受け取れます。

でも、あまり充足感を感じられない。

誰かの受け売りは苦手で、求めてやまないものは、自分が立ち上げる場所。

達成できるまで、大きな部分で自分で自分を認めてあげられないんだと思います。

自分に酔いしれるくらいになるのは、長期戦かもしれないけど、少しずつやりたいことを形にして、築き上げていきたい👣


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