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8月26日(土) 時間がたつのが遅いときにすること

待つしかない。でも何も手につかないようなときにすること。
一、小説を読む
二と三はない。没頭できることなら何でもいいと思う。人によっては掃除だったり筋トレだったりするだろう。

実家から大学への通学も、実家から会社への通勤も1時間半ほどかかったので、当時は電車の中で小説を読んでいた。
最近は、そんなに長く電車に乗ることがあまりないので、読書をする機会がめっきり減ってしまった。読んでも実用書とか漫画とかエッセイとか。
軽く読めるものが多くて、小説をほぼほぼ読まなくなった。
あんなに読んでたのになぁ…

日常ほとんど読むことがなくなったけど、冒頭のようなシチュエーションのときは、小説を読むのがわたしには合っている。
物語に没頭するために、未読であることが必須。
現代ものより時代ものがいい。小説の中の描写や状況から、自分のいまの状況を思い出すことがあまりないから。

いま、本はほとんどKindleで買っているけど、小説は紙で読んだ方が話に没頭できるし、長時間持って読むので軽い方がよくて文庫本を買っている。

ということで、今回家族の不調にあたって読んでいるのは、こちら。

宮部みゆきさんの三島屋シリーズが昔から好きで、この前本屋によると新刊が出ていたので迷わず買った。
買ってすぐは読まずに、こんな時のために取っておこうと思って置いておいた。過去のわたし、ありがとう。

時代背景は江戸なので、自分からは少し遠い世界として読み進められる。
価値観も現代とは少し違う。
でも人としての心の機微は今と同じで、温かくなることもあるし、やりきれなさみたなものもある。
物語の登場人物も、いい思い出ばかりではなく、やりきれない過去・想いを抱えながらも、いまを懸命に、誠実に生きている。
そんな中で少し立ち止まって、少しの不思議が混じった昔の話を語っていく。当時の想いを蘇らせながら。
語り終わったらまた日常に戻っていく。

自分とは時代も価値観も違う、でもやりきれなさは同じ、というちょうどいい塩梅が、こんな時の自分には助かる。
考えても仕方ないのに不安や焦りがあるとき。待つしかないとき。読んでいると気持ちが落ち着く。

全編を通して登場する軸になる人物もいるが、それはあくまで聞き手であり、お話のメインは事件ものの短編集のような構成なので、「前の巻はどこで終わったっけ?」と思い出す必要もなく、すぐに読み始められるのもいい。
ストーリーテラーの宮部みゆきさん作なので、ひとつづつのお話も展開が気になってどんどん読み進められる。

しんどいときじゃなくても、とてもおすすめの小説です。

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